調理の準備をしているとき、 そこへ 認知症の強い I さんが 近づくと、
準備をしているHさんが、 「あっちへ行って」 と言いました。
でも I さんは動こうとしません。
あちらを立てれば こちらが立たず、 というシチュエーションです。
あとでスタッフに聞くと、
Hさんが何故 「あっちへ行って」 と言ったのかを、 考えるように言われました。
恐らく、 I さんがとんちんかんなことをして 調理の邪魔をしてほしくないと、
思ったのではないでしょうか?
そういうとき、 ただ二人を 離せばいいのではなく、
二人の関係を繋ぐようにすることが 大切だといいます。
例えば I さんに何か 仕事を頼めば、 やってもらえるかもしれない。
そうすると、 Hさんの I さんに対する気持ちも 変わってくるでしょう。
実際、 何もできないと 思われた人が、
やってもらうと 驚くほどのことができることが あるようです。
自宅では何もできない人が、 施設では 中心的に動いている という例もあります。
利用者さんが動ける 「環境」 を作ることが、
スタッフにとって 大切な仕事だということです。
一般に、 相反する利用者さんの気持ちを 損なわないためにどうしたらいいのか、
一番 難しいことではないかと思います。
そういうときは スタッフ二人で、
それぞれの利用者さんに付き、 それぞれの対応をするのも いいといいます。
それも阿吽の呼吸の チームワークだそうです。
スタッフが二人の間に入って、 もう一人の利用者に 背中を向け、
それとなく気持ちをそらす やり方もあると聞きました。