その人の人生は その人の責任で決断し、 行動することでしか、
本当の改善は起こりません。
こちらの価値観や期待を 押しつけることを止め、
本人の選んだものを 大切にすることです。
普通の家庭から 境界性パーソナリティ障害が生まれる場合は、
ほとんど主体性と責任を 侵害されてきています。
そうしてでき上がってしまった 「偽りの自分」 に対する拒絶反応が、
パーソナリティ障害となって現れます。
問題を起こしたとき、 本人かわいさに守りすぎると、
結局 どんどんエスカレートしてしまいます。
ただし、 危険なことをしたり 限度を超えた行動に 及ぶときは、
はっきりストップを かけなければなりません。
〔 「境界性パーソナリティ障害」 岡田尊司 (幻冬舎) より 〕
心子は 普段は社会的にも適応し、
主体性を持って、 責任ある仕事も こなしていました。
心子や母親から 聞いた話の限りでは、
子供の頃から 主体性や責任を 奪い取られていたことは、
ないのではないかと思います。
父親は心子を独りで生きていけるように躾け、心子は幼いころから何でも自分でする子だったといいます。
でも、 一旦 傷ついたり落ち込むと、 独りでは何も できなくなってしまいます。
状態の悪いときには、 病院へ通うのも 必ず僕が同伴したり、
役所の手続きにも 終日付いて回ったりしました。
それから、 自殺企図を見せたときは、 必ずそれを 止めなければなりませんでした。
心子は本心では 助けてほしかったのです。