「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

自傷行為を 強化してはいけない

2010年01月29日 19時23分00秒 | 「境界性パーソナリティ障害」より
 
 自傷行為をしたとき、 心配しておろおろしたり、 止めさせようと叱りつけたり、

 大騒ぎすることは、 自傷行為によって 得られる満足を増大させ、

 強化させてしまいます。

 思いやりはあるが、 穏やかで冷静な態度を 保つことが重要です。

 議論をしても 逆効果です。

 境界性パーソナリティ障害の人は 頭がよくて 理屈っぽい人も多く、

 自殺などの問題行動を 正当化する論理を組み立てます。

 こちらの言葉の 揚げ足を取ったり、 矛盾を巧みに突いてきます。

 生きるか死ぬかの 二分法で議論すると、 思考の罠に陥り、

 相手を説き伏せることは 困難です。

 議論はせず、 本人の言い分を 黙って聞いた上で、 入院などの枠組みを確認し、

 端的に結論を告げるのが、 本人を冷静にさせ、 強化を防ぎます。

〔 「境界性パーソナリティ障害」 岡田尊司 (幻冬舎) より 〕
 

 心子の自傷行為に対して、 穏やかではいられませんでしたが、

 毅然とした態度は 取っていました。

 死んでいいか悪いかの 議論をしたことはありません。

 目の前で 自殺行動に出たときは、 有無を言わず止めるだけです。

 ただ僕は、 死にたいほどの苦しみを 否定することはできません。

 かつて僕自身、 一線を越す手前まで 行ったこともあります。

 死んでもいいとは 決して言いませんが、 死にたいという 気持ちに寄り添うと、

 相手は 胸中を分かってもらえたと感じ、

 かえって一命を 取り留めることもあります。

 「生きていれば いいことがある」 「周りの人が悲しむ」

 などという常套句に 意味はなく、

 死ぬなと強調するほど、 死にたい気持ちが 起こったりしてしまうでしょう。
 
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