自傷行為をしたとき、 心配しておろおろしたり、 止めさせようと叱りつけたり、
大騒ぎすることは、 自傷行為によって 得られる満足を増大させ、
強化させてしまいます。
思いやりはあるが、 穏やかで冷静な態度を 保つことが重要です。
議論をしても 逆効果です。
境界性パーソナリティ障害の人は 頭がよくて 理屈っぽい人も多く、
自殺などの問題行動を 正当化する論理を組み立てます。
こちらの言葉の 揚げ足を取ったり、 矛盾を巧みに突いてきます。
生きるか死ぬかの 二分法で議論すると、 思考の罠に陥り、
相手を説き伏せることは 困難です。
議論はせず、 本人の言い分を 黙って聞いた上で、 入院などの枠組みを確認し、
端的に結論を告げるのが、 本人を冷静にさせ、 強化を防ぎます。
〔 「境界性パーソナリティ障害」 岡田尊司 (幻冬舎) より 〕
心子の自傷行為に対して、 穏やかではいられませんでしたが、
毅然とした態度は 取っていました。
死んでいいか悪いかの 議論をしたことはありません。
目の前で 自殺行動に出たときは、 有無を言わず止めるだけです。
ただ僕は、 死にたいほどの苦しみを 否定することはできません。
かつて僕自身、 一線を越す手前まで 行ったこともあります。
死んでもいいとは 決して言いませんが、 死にたいという 気持ちに寄り添うと、
相手は 胸中を分かってもらえたと感じ、
かえって一命を 取り留めることもあります。
「生きていれば いいことがある」 「周りの人が悲しむ」
などという常套句に 意味はなく、
死ぬなと強調するほど、 死にたい気持ちが 起こったりしてしまうでしょう。