「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

動物実験 …… 「生死命(いのち)の処方箋」 (13)

2010年08月14日 23時08分58秒 | 「生死命(いのち)の処方箋」
 
(前の記事からの続き)

○東央大病院・ 外景
 

○同・ 第二外科・ オペ室

  開腹された術部。

  肝臓が切り取られ 摘出される。

  その肝臓を 隣の手術台に運ぶ。

緒方 「レシピエントの 腸管の鬱血は取れてる

 か?」

山岡 「はい、 大丈夫です」

緒方 「心臓への血液還流は?」

山岡 「よく確保されています」

  緒方ら 数人の医師が、 犬による 肝移植の

  実験を行なっている。

  美和子と世良、 見学している。

  真剣な表情の美和子。

緒方 「バイオポンプの調子は いいようだな」

小池 「循環動態、 安定しています。 出血量も

 問題ありません」

緒方 「左肝静脈、 右肝静脈を連続縫合、 次に

 門脈の順で行く」

小池 「分かりました」

  緒方、 摘出したドナー肝を レシピエント

  犬に 手早く吻合し始める。

  緒方の 熟達した手技を 見つめる美和子。

世良 「(美和子に) 見事な手さばきだな」

美和子 「肝臓を摘出してから 血流が再開する

 までの時間を、 どれだけ短くできるかが

 肝移植の勝負どころなの」

世良 「(美和子の肩に しっかり手を置き)

 緒方先生なら きっとやってくれる」

美和子 「…… でも、 脳死のドナーが 出ないこ

 とには ………」

  手際よく 実験作業を進めるスタッフたち。