「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

コハダのシンコ

2010年08月29日 21時17分26秒 | 心子、もろもろ
 
 新聞をめくっていたら、 

 「コハダのシンコ」 という 小さな写真記事がありました。

 「シンコ」 は 「新子」 と書き、 コハダの稚魚のことだそうです。

(コハダは出世魚で、

 シンコ → コハダ → ナカズミ → コノシロ と名前を変えます。)

 新子は体長5センチほどの 小さな魚ですが、

 江戸っ子の寿司屋にとっては こだわりの粋 (すい) だということです。

 酢でしめて、 三枚におろすと 3センチくらいになるので、

 5~6枚はぎ合わせて やっと一貫になります。

 非常に手間がかかる上に、 新子の初物の卸値は、

 何と キロ3~5万円もするとのこと。

 一貫千円ほどにも なるのだそうです。
 

 僕は回転寿司屋に入っても コハダは食べませんが、

 心子と回転寿司に入った 思い出はあります。

 当時、 心子は回転寿司に まだ行ったことがないと言っていて、

 映画を観たあと 一緒に入ったのでした。

 心子は 寿司の食べ方は通なのか、 箸を使わず 手で食べていました。

 そのころ心子は 会社で苛めに遭っていたのですが、

 その日のデートが とても楽しかった, こんな日が 月に一回でもあれば、

 やっていけると思うの、 と 涙ぐみながら言っていたものです。

 ところで、 「三枚におろす」 には、 拙著にも書いたエピソードがあります。

 以下に引用しましょう。

「バイト先の喫茶店で、 魚を三枚に下ろしてくれと 言われたとき、

 心子はあっという間に  『できました』 と言った。

 店長が驚いて見ると、 魚が 頭, 胴体, 尻尾に切断され、

 心子はニコニコしていた。

 本人は大まじめだ。

 豚肉は水で洗った。

 友達からは 心子に料理を作らせるなと 言われている。

 呆れたことに、 心子は調理師免許を持っている。」