新聞をめくっていたら、
「コハダのシンコ」 という 小さな写真記事がありました。
「シンコ」 は 「新子」 と書き、 コハダの稚魚のことだそうです。
(コハダは出世魚で、
シンコ → コハダ → ナカズミ → コノシロ と名前を変えます。)
新子は体長5センチほどの 小さな魚ですが、
江戸っ子の寿司屋にとっては こだわりの粋 (すい) だということです。
酢でしめて、 三枚におろすと 3センチくらいになるので、
5~6枚はぎ合わせて やっと一貫になります。
非常に手間がかかる上に、 新子の初物の卸値は、
何と キロ3~5万円もするとのこと。
一貫千円ほどにも なるのだそうです。
僕は回転寿司屋に入っても コハダは食べませんが、
心子と回転寿司に入った 思い出はあります。
当時、 心子は回転寿司に まだ行ったことがないと言っていて、
映画を観たあと 一緒に入ったのでした。
心子は 寿司の食べ方は通なのか、 箸を使わず 手で食べていました。
そのころ心子は 会社で苛めに遭っていたのですが、
その日のデートが とても楽しかった, こんな日が 月に一回でもあれば、
やっていけると思うの、 と 涙ぐみながら言っていたものです。
ところで、 「三枚におろす」 には、 拙著にも書いたエピソードがあります。
以下に引用しましょう。
「バイト先の喫茶店で、 魚を三枚に下ろしてくれと 言われたとき、
心子はあっという間に 『できました』 と言った。
店長が驚いて見ると、 魚が 頭, 胴体, 尻尾に切断され、
心子はニコニコしていた。
本人は大まじめだ。
豚肉は水で洗った。
友達からは 心子に料理を作らせるなと 言われている。
呆れたことに、 心子は調理師免許を持っている。」