(前の記事からの続き)
○世良の車の中
街路を走っている。
助手席に美和子、 運転席に世良。
世良 「美和子から 肝臓を貰うことが、 ずっと
ジュンくんの 重荷になってたのかもしれな
いな」
美和子 「(しょんぼりして) そうなのかな…
……」
世良 「自立しようと もがいてるんだよ、 ジュ
ンくんの自我が、 美和子から ………」
美和子 「………」
車の前方に 人だかりが見える。
世良 「何かな ?」
美和子 「(目を凝らす) 人が倒れてるみたい。
止めて」
世良、 車を止める。
○車の外
美和子、 素早く車を降りて 人々に声をか
ける。
美和子 「どうしました? 私は医者です」
A 「(美和子に振り返り) あ、 この人が倒れ
て …… !」
人々の間に 木下幸枝 (40才) が 意識不明
で横たわっている。
世良も車を降りてくる。
美和子 「(幸枝に) 大丈夫ですか!? ここが
分かりますか!?」
反応のない幸枝。
美和子、 幸枝の額を下げ 顎を上げて気道
を開放し (頭部後屈・ 頤部挙上法)、
幸枝の口に 耳を当てて 呼吸を確認する。
頸動脈を触知して 脈を取る。
世良 「どなたか 救急車は呼びましたか!?」
B「さっき 電話を掛けました!」
美和子、 幸枝の衣服の 胸を開ける。
幸枝は びっしょり汗をかいている。
世良 「(美和子に) どうなんだ?」
美和子 「(幸枝の目を開いて 瞳孔を診なが
ら) 脳卒中かもしれない …… !」
救急車のサイレンが聞こえる。
音のほうに 向き返る美和子。
○サイレンを響かせて 走る救急車
○東央大病院・ 救命救急センター
川添 (37才) ら、 医師とナース数人が
幸枝に アンビューバッグで人工呼吸を施し、
心臓マッサージをしている。
川添 「マニトール10ミリ、 静注の用意を!」
ナース3 「はい!」
川添 「それから ドプラム1バイアル!」
ナース4 「分かりました!」
(続く)
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