「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

家族の同意のみで 初の臓器移植

2010年08月10日 13時43分18秒 | Weblog
 
 ドナー本人の 臓器の提供意思が不明で、 家族の同意のみによる 脳死移植が、

 臓器移植法が改正されてから 初めて行なわれました。

 改正前の移植法では、 本人の書面による 意思表示のうえに 家族の同意が必要で、

 提供のハードルは 世界でも突出して高く、

 現場からは  「これでは移植禁止法だ」 という声が出たほどの 厳しい規則でした。

 そのため 脳死移植は、 移植法施行後 約13年間で、

 わずか86例しか 実施されていませんでした。

 アメリカでは年間数千例、 欧州でも数百例が行なわれています。

(今回の改正では、 従来認められていなかった、

 15才以下の患者からの提供も 可能になりました。

 また、 ドナーの家族に 優先的に臓器を提供できる 制度も加わりました。)

 今回のドナーは 20代の男性ですが、 生前家族に 臓器提供の意思を伝えており、

 家族はそれを尊重したい という意向でした。

 ドナーの善意は、何人もの人を 救うことになります。

 心臓, 肺, 肝臓, 腎臓, 膵臓などが、

 それぞれ 移植を待つ患者に 届けられました。

 ドナーの体の一部は、 今後も彼らの体の中で 生き続けるのです。

 今後、 臓器提供の機会が 増えることが期待されますが、

 慎重な対応も求められます。

 本人が生前に 拒否の意思表示をしていなかったかどうかの確認,

 脳死判定の厳格さ, 家族への充分な 説明と納得などが、

 保証されなければなりません。

 本人が提供を希望していたとしても、

 同意した家族が 後々になって後悔する というケースもあります。

 家族へのケアも 充実されなければならないでしょう。

 日頃から家族の間で、 万一の場合について 話し合っておくことが望まれます。

 なお、 当ブログで連載中の  「生死命(いのち)の処方箋」は、

 臓器移植法が施行される前に 書いたものです。

 脳死, 移植の実態について、 参考になれば幸いです。