「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

沖縄リカバリートーク (2)

2013年12月04日 21時11分34秒 | 「BPD家族会」
 
(前の記事からの続き)

○ 万華鏡

 そんな心子が 突如豹変します。

 ある日の帰宅途中、 心子は少し具合が悪くなって、

 僕は  「タクシー乗る?」 と気遣いました。

 その途端、 彼女はキレました。

 心子にとっては、 乗るかどうか聞く前に、 タクシーを拾うのが 当然だったのです。

 心子が求めるのは、

 痛みを100%理解されて、 全てを抱擁される 完全無欠な愛情です。

 1%でもそれが足りないと、 悲しみが怒りと化して 荒れ狂い、 自他を傷つけます。

 心子自身、 その感情を抑えることができません。

 その反面、 ガラス細工のように デリケートにできていました。

 ほんの僅かなことで落ち込んで 鬱状態に陥り、 引きこもってしまいます。

 まるでオセロのようです。

 ひとつでも黒に変わると、

 それまでの白が 一瞬にして 全て真っ黒になってしまうのです。

 ボーダーの人は、 周りの人たちや 治療者も巻き込んで、 苦しめてしまいます。

 そのためボーダーは 最も誤解されやすいものだと思います。

 ネガティブなイメージばかり抱かれがちですが、

 ボーダーの人は チャーミングな面もあります。

 心子の純粋さや魅力も 伝えられたらと思っています。

 また、 僕が心子との葛藤のなかで、

 どんなことで支えられ、 持ちこたえられたかも 述べたいと思います。

○ 天国と地獄

 心子は、 絶えず 蜜月と修羅場の間を 行き来していました。

 何でもないことにも 過敏に反応するので、 僕は薄氷を踏む思いです。

 心子と相対するには、 細心の注意を 払わなければなりませんでした。

 けれども トラブルはいつでも起きました。

 彼女の期待に 常に先回りして応えるのは、 僕には不可能なことでした。

(次の記事に続く)
 
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