行政書士中村和夫の独り言

外国人雇用・採用コンサルティング、渉外戸籍、入管手続等を専門とする26年目の国際派行政書士が好き勝手につぶやいています!

SF 2050年のスーツ!

2007-10-28 13:11:24 | 社会・経済

 96歳になるまで、まだ働いているとは思わなかった。それも築地にある民間拘置所の警備員としてだ。でも、あと4年でやっと満期年金生活者になれるのである。生きるのが、こんなに辛いとは思わなかった。そして、このいかめしい100~1000倍のパワースーツも脱げるのである。

 万能細胞のおかげで、弱かった胃、腎臓、肝臓そして心臓は、この万能細胞で作った人造臓器によって移植済みだから体調は悪くはない。但し、筋肉移植はまだトラブルが多いので、今年2050年の時点ではパワースーツが補っている。

 しかし、このパワースーツを着用すれば、若い頃の筋骨隆々のスポーツマン以上の怪力を出せるのである。法律上は、一般人は一番パワーの弱いスーツの着用しか認められていないが、一部の者には~100倍スーツ、~1000倍スーツの着用がその職業や年齢によって認められているのである。

 このスーツが普及し始めた2025年頃から高齢者や女性のあらゆる分野での社会進出が始まり出し、すべての作業効率も大幅にアップした。いわゆる、3Kと呼ばれた肉体労働の仕事は全く無くなってしまったのである。逆に、パワースーツを着れる職業という事で、今では人気職業になっているのである。

 スーツは、米国バイオ・ペンタゴン社製か日本のロボット・スーツ社製の2社しかなく、この2社で世界市場を独占している。一般人は、健康保険の適用を受け75歳以上から着用を許可されるのだが、70kgの重量を7kgまでにしか感じない一般の70歳以上の中年や女性、身障者用の2~10倍スーツ、90歳以上の一般人者にも許可される700gまでにしか感じない10~100倍スーツ、そして90歳以上の警察や警備関係者のみが着用を認められている100倍~1000倍スーツなどがある。

 ところが、中にはコモンセンスセンサーの故障によるストッパーが作動せず、街中で暴れ出して暴力事件を起こす高齢者が増えている。最近は、それが大きな社会問題化しているのである。だから、街ですれ違うと、人々はスーツ着用者である高齢者を避けるのである。殴られたら一溜まりもないスーツ着用の高齢者や女性が皆恐いのである。

 30年前、政府は人手不足を外国人で補おうとしたのだが、中国での人手不足が深刻になり、まともな外国人の来日が見込めなくなったのである。そこで、日本政府は、20兆円という莫大な国家予算を使って、高齢労働者活用の実用化大プロジェクト研究を急遽始めたのであった。

 これに伴い、年金受給開始年齢も65歳から70歳、85歳、100歳と、あっという間にどんどんと引き上げられたのであった。それにより、結果として年金問題や健康保険問題も一挙に解消されたのであった。但し、まだまだ、出生率は相変わらず低いのである。だから、人口は昨年、とうとう1億人を割り込んだのであった。尤も、15年前の関東大震災と東海地震、南海地震による人口減も原因の一つではあるのだが・・・。

 今日は、かつての友人達と有楽町のガード下の焼鳥屋で一杯やるのだ。まあ、どこにいても今は肩に埋め込まれたチップが、現在の所在地を家族と国家治安局に通知してしまうから、酔っぱらって、逆方向のリニアモーター電車に乗り間違える事もないのである。まあ、有り難いやら、寂しいやらで・・・。そんな愚痴を友人と話しにゆくのだが・・・。

 引退したら、Paul Stuart製の一般人用の洒落たパワースーツを買おうと、銀座のショーウィンドウーを覗きながら、大昔の若者のように闊歩している96歳の拘置所警備員の私であった。 

コメント (8)
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