昨年から急騰した石油などの資源や原材料、そして食料までにも及ぶ投機的な世界的インフレによって冷え込んでいたビジネスマインドでしたが、ここ数ヶ月で顕在化した米国発の金融危機により、景気は完全に冷え込んでしまいました。巷では、世界恐慌の再来さえ危惧する声があがっています。こんな時、我々庶民はどのような行動パターンを採るのでしょうか?
一般的には、無駄な出費や消費を極力抑えようとする心理が働きますから、全体的には消費行動は鈍化します。但し、必要な消費は当然のごとく続けますし、不必要な消費であっても買いたい物を買うという行動の抑制には、さほど大きな変化は見られません。つまり、どうしても買いたいと思っている商品やサービスは、やっぱり売れるのです。ところが、どうしようかな?買おうかな?買うのを止めようかな?なんて思われている商品やサービスの多くの部分は、不景気になると消費行動へとはなかなか結び付きません。つまり、こうゆうケースで落ち込んだ消費部分と、いわゆるリストラなどで、物理的に買えなくなるような状況に陥った消費者が消費を止めた部分。これが、不況による落ち込み部分に相当します。
不景気で一番問題となるのは、物理的に消費行動が採れなくなった消費者数が急増した時です。つまり、日本での失業率が、6%とか7%という数値にでもなれば、これは明らかに不況です。まして、失業率が10%を超えるような事が起これば、これは未曾有の経済恐慌といえる状態です。
物が売れない状況と云われる経済状態に陥ったとしても、必要な商品やサービスの売り上げの落ち込みは、せいぜい5%程度です。しかし、元来消費する必要のなかった商品やサービスでは、場合によっては50%以上の売り上げの落ち込みがあり得ると思われます。つまり、本来無用であった商品やサービスが、売れなくなったというだけの話なのです。
つまり、消費者によって、どうしても必要な商品やサービス、或いは、欲しいと思わせる商品やサービスでは、影響がほとんど無く、実際に影響を受けるのは、物理的に消費できなくなった層が与える減少部分だけなのです。極論を云えば、くだらない商品や質の悪いサービスは、この不況という経済浄化作用によって陶太されるとういうだけの話なのです。例えば、結婚指輪やお米は、不景気だからといって買わないという消費行動とはなりません。但し、明らかに無理して買うような超高級ブランドの結婚指輪やら、馬鹿高くてさほど美味しくもなく、ダイエットに良いとの噂?だけのお米なんかは、その商品をきっと買わなくなって、他の商品に切り替えるという消費行動パターンに変わる可能性が非常に高いと思われます。
ですから、不況或いは不景気の時に、ビジネスを立ち上げて、順調に伸びているビジネスをしている企業で、今現在でも無理な経営をせずに、着実に業績を伸ばしているような企業は、本来はあまり心配する必要が無い筈なのです。むしろ、心配すべき企業は、なぜ売れているのかが分からない程、急に売り上げを伸ばした企業や、コンプライアンスを無視して、今なお消費者を騙し続けているような企業などで、この様な企業は、今後は本格的に陶太される運命にあると想像されます。
もし、ビジネスを始めようとして、景気の見通しが悪いという理由で、様子を見てみようと思っているような自信の無い商品やサービスを考えているならば、やはり失敗する可能性は高いと思います。そうでは無く、これから売ろうとする商品やサービスには絶対の自信があるのならば、これは最大のチャンスです。なぜならば、この様な時期ですから、追随するライバルの絶対数が少なくなるからです。本来、消費者から受け入れられる商品やサービスであれば、ライバルの出現が遅れたり、或いは少ない事により、成功する可能性が更に高くなるからなのです。
さて、貴方の始めようとするビジネスの場合は、どちらのケースなのでしょうか?