住宅を扱うJリート2位のニューシステム・レジデンス投資法人が、負債総額1,123億円あまりを抱えて倒産した。ところで、最近よく耳にするリートとは何の事であろうか?
Real Estate Investment Trust、が正式名称である。この英単語のぞれぞれの頭文字であるR.E.I.T.をとった略称がリート(REIT)なのである。直訳すれば、不動産投資信託で、不動産投資物件への一つの投資、維持・管理形態なのである。
そもそも、アメリカで1960年頃始まったシステムで、特定目的の不動産投資法人を通じて、店舗、病院、或いは、ビルや商業施設などへの不動産投資を促進させる目的で始まったシステムらしい。但し、 不動産の開発・分譲を原則として禁止して、投機的な機能を制限したり、その物件からの配当の投資家への分配割合を90%以上にすることで、この投資法人の法人税の優遇措置が得られるそうだ。米国では、これらの物件へ投資する小規模投資家のための信託管理システムとしてや、その物件の資産価値の維持・管理システム(メンテや模様替えも含む)として、それなりに機能していた模様だ。
ところが、Jリートと呼ばれるリートは、その生い立ちからして、ちょっと違うのである。つまり、バブルで塩漬けとなっていた物件などを、主に外資系ファンドなどに売却するために、始まったようなのだが・・・。実は、英語が母国語の帰国子女の走りである某ぽん友が、数年前まで担当していた分野(今は、違います!)がリート事業部であったのだった。当時の彼の口癖は”利回り”利回り”であった。それは、その投信を買う外国人投資家達の声(本音)でもあったようだ。
リートの対象物件は、ビルなどの不動産物件で、配当される原資が、その賃貸料であることから、確かにリスクは少ないのかもしれない。しかし、この不動産投資法人の多くに、かつてのバブル物件を作り上げたデベロッパーが多数居る事が、問題となるような気がしていたのである。つまり、本来、投機目的を禁止している筈のリートが、このリートの後ろにいるデベロッパーが作り出した新たなバブル物件の窓口として売りさばかれる危険性が当初からあったからだ。
既に、都心などでも、昨年あたりからミニバブルが収束しており、”実際ババ抜き状態になっている”との業界関係者の話を聞いていた矢先だったのだが・・・。最近、特に低迷しているマンション価格からして、今回の破綻は当然の帰結だったのもかもしれない。今後、主にオフィスビルなどに投資しているリートがどうなるかを注目して行きたい。