行政書士中村和夫の独り言

外国人雇用・採用コンサルティング、渉外戸籍、入管手続等を専門とする26年目の国際派行政書士が好き勝手につぶやいています!

弁護士側から見た非弁の解釈

2010-07-20 14:43:41 | 行政書士のお仕事

 東京都行政書士会が主催する総合研修が、事務所から歩いてゆける明治大学で行われていたこともあって、日曜日にもかかわらず参加してみた。

 4、5年前(?)も総合研修を受けたことがあり、実際に受講してみると意外と面白かったので、今回も久しぶりではあるが今一度参加してみたのである。

 第一回目の科目は、『行政書士と職業倫理』とはなっていたが、実際は兼子説とは異なる非弁行為に関する日弁連の考え方の一部紹介であった。それは、講師が、日弁連の非弁問題等対策本部本部長(本部長は日弁連会長)代行である髙中正彦氏という事実上の非弁問題の最高責任者であったからである。

 さて、講義内容であるが、士業間の業際問題での日弁連側のスタンスやら、弁護士数急増に伴う弁護士さん達ご自身の職域確保の問題と絡めた観点、あるいは、もうすでに起きている専門分野に特化してきている弁護士業務の実態、それに弁護士さん達ご自身が想定している近未来の弁護士像なども伺えることができるたことは、想像していた内容を遙かに上回る大変有意義で参考となったお話であったと思う。

 特に、弁護士数急増に伴って、日弁連として弁護士法72条を使ってどのように非弁活動を排除したらよいかを考えていると思わせるお話もあったり、すでに始まっている司法書士業務、行政書士業務等への進出への可能性を臭わせるお話もされていたのは大変興味深かった。

 我々行政書士もスペシャリストとして、専門分野における専門家としての確固たる地位を築いて行かない限りは、遅かれ早かれ、ファームにも勤務できずに、やむなくゲリラ的に独立開業してくる数千・数万の若い弁護士さん達が、生きるためになりふり構わず、司法書士、行政書士、社労士業務、税理士業務など他士業の業務に参入して来る可能性が極めて高いことが今回はっきりしたようだ。

 しかしながら、一方で手離れの良い、報酬的に割の良い仕事ばかりを追い求めて、刑事事件や面倒な事件、あるいは、外国人が絡む事件など、労力の割には報酬が少ない事件に対して、巨大弁護士事務所やベテラン弁護士さん達の多くが受任しようとしない傾向が強く、今現在でも続く事実上の弁護士不足、あるいは弁護士の大都市偏在状態の中で、果たして弁護士さん達の経済的な利益のためにだけに、法と正義の旗手として、国民の多くが今後も司法修習制度の公費による維持や弁護士法72条の内容を現状のまま支持・堅持することに賛同してくれるかどうかという大きな疑問を今回の講義から強く感じたのでありました。

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コメント (6)
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