インラック首相が憲法裁判所の判断により失職し、
その後、軍部によるクーデターという事実上の政権転覆が起きた昨今、
タイは、政治的には不安定で混乱している国に見えてしまう。
また、軍部がクーデターで国権を掌握したという事は、
政治的にも非常に不安定な国に写ってしまう。
ところが、タイでは、驚くことにクーデターが実に
過去に19回も起きている国なのだそうだ!
このタイという国、1238年にスコータイ王朝が誕生して以来、
アユタヤー王朝、チャクリー王朝、そして首都をバンコクに移した
現王朝ラッタナーコーシン王朝に至るまで、欧米による植民地化や
国家を占領されたことが、実は一度も無い国なのである。
中国は、近代でもイギリスによる香港やポルトガルによるマカオ、
ロシアによる満州、そして日本にも満州国という傀儡国家によって
事実上占領されていた国なのである。
一方、我が日本も太平洋戦争の敗戦により、連合国という名目で
駐留していた米軍GHQに、1945年10月2日から1952年4月28日
までの約7年足らずほども事実上占領されていたのである。
ところが、タイはヨーロッパ人に国土の領土の一部を割譲したものの、
アジアで唯一、国として占領や植民地化されたことのない国なのである。
また、太平洋戦争当時、南方進出していた日本軍に対して
表向きは日タイ攻守同盟を結んで、日本軍に協力していたのであるが、
裏では「自由タイ運動」を通じて連合国であるアメリカと連絡を取り、
戦後は連合国からの占領を免れたのである。
また、国連には1946年12月16日という早い段階で加盟しており、
日本やドイツとは違って敵国条項の対象国にもされなかったのである。
この様に、タイという国は、実に外交的にはしたたかであり、
ある意味では、日本や中国などよりも政治的にも、外交的にも
アジアでは最も安定した国であり、投資対象国家として、
カントリーリスクが最も小さい国と言えるのである。
更には、人口8億とも言われるASEANのメンバー国でもある。
たからこそ、4,000社もの日本企業が進出しているのである。