早いもので、今日6月30日で1年間の前半がちょうど終ります。
仕事柄、当然ですが依頼人の企業・個人の皆さまから
様々な手続やその概要について尋ねられることが多々あります。
最終的には、自分の得意とする分野で無い場合には、
その道の専門家をご紹介すれば良いのですが、
それにしても、「その手続は私の専門外ですから!」と
クライアントの方々を突き放して何もご説明しないことは、
流石にできません。
すくなくとも、どなたかをご紹介するにしても、
アウトライン程度のご説明や最低限の情報を
ご提供申し上げることは当然必要となります。
そんなテーマの一つである、米国査証について、
昨年の1月16日から、イミグレーションロー実務研究会を通じて、
米国ビザコンサルタントの船曳先生から学ばさせて頂いておりましたが、
とうとう、今回の6月15日(土曜日)が第5回目の最終回となりました。
http://www.immigration-law.jp/past-seminar/2013-6-15/
今回の最終回の講義は、特例査証制度である
Eビザ申請の具体的申請方法についての
仕上げ的な講義である実践・実務講座となりました。
つまり、勤務先会社からの英文レコメンデーションレター
の実際の書き方などについて、書かなければいけない点、
逆に書き過ぎてはいけない点、文面で気をつける点、
分量で考量すべき点、一般的に領事が最も重視している箇所や、
逆に、読み飛ばす点、そして、最後には必ず法律文面に慣れた
ネイティブスピーカーによるチェックの必要性等々、
実に細かい点に至るまで丁寧なアドバイスを頂きました。
ところで、Eビザについて、念のために「おさらい」をしてみましょう!
まず、在日米国大使館でEビザ申請ができる米国に進出する
本邦の会社ですが、
1.米国と日本に通商協定があること。(これは問題ありません。)
(注)ヨーロッパ系、中国系、韓国系などの日本の
子会社(日本法に従って設立された会社でも)、
外国系企業の支店・支社はすべて対象外となります。
2.その会社の純日本資本の比率が50%以上ある会社であること。
(注)米国永住権を持った日本人株主が過半数を占める会社は、
外国会社とみなされます。また、公開会社で外国人株主が、
過半数を占めているような会社も対象外となります。
次に、Eビザを申請できる社員としては、
① 米国移民法214条bに従って、その社員の赴任終了後には、
必ず帰国する意思を表明すること。
② 日本国籍者であること。
(注)在日する外国人社員の方々は、Eビザの対象外です。
③ 組織上、重要なポジションを務める者か、又は特殊な能力を
持った者であること。
④ 基本的には、学卒者又は10年以上の専門実務経験者であり、
学卒の新入社員や社内での経験の浅い社員も対象外です。
ちなみに、MBA保持者や海外勤務経験者は有利となるようです。
⑤ 給料は、付加給も含めて7万ドル以上あること。
⑤ 過去に特に問題となるような刑事罰を受けていないこと。
などが、基本要件です。
これらの要件のうち、資本要件やポジションでの要件に満たない社員を
派遣しなければならない場合には、現地米国の移民局に対して、
日本の在留資格認定証明書に相当するペティションという、
在日米国大使館でL査証などを発給して貰える該当性の証明書を、
米国移民局から事前に取得(通常は、在米移民弁護士に依頼する!)
する必要があり、むしろこの方法がノーマルです。
従って、米国移民法を真似た日本の在留資格制度で云えば、
「企業内転勤」か「投資・経営」に近い在留資格が、特定査証として、
事前の在留資格認定証明書の取得なしに、海外公館にて
例外的に取得できる制度だと考えて頂くと分かり易いかもしれません。
また、Eビザ取得者の場合には、米国子会社間の転勤が容易の
ようですが、L査証(企業内転勤に相当)取得者では、本邦と同じく、
本邦の子会社間、孫会社への転籍は簡単には認めないようです。
最後に、米国査証について、知識は限りなくゼロに近い状態であった
多くの受講者達を、5回の受講にして、米国査証の「イロハ」程度が
語れるようにして頂いた船曳先生に心より御礼を申し上げたいと
思います。長い間、どうもありがとうございました。
なお、この米国ビザ講座は、大阪府行政書士会でも6回のコースとして、
開催されるようですので、関西方面にお住まい方々はご期待下さい。
なるほど、サムシング(仮名)のような例があるのですね!在韓国の米国大使館でした受け付けないと思っていましたが、そうでは無いのですね。
まだまだ、分かっていない点も多々あるようで・・・。
また、追加講義を是非お願いしたいものです。
非常にコンパクトにまとめて頂きまして、ありがとうございます。
外国系企業の日本の支社に勤めている社員が、アメリカに赴任する場合、このE-2ビザを東京のアメリカ大使館で申請できる場合があります。たとえば、日本サムシング(仮名)という韓国企業の韓国人社員は、このE-2ビザを申請することができます。つまり、かつて日本への入国手続きでお客さんになった韓国人社員が、アメリカビザ申請する場合も、また、この韓国人社員の依頼を受けることができるということになります。外国の大企業の場合、どうしても高額報酬の外国人弁護士事務所に仕方なく依頼しているので、このアメリカビザの仕事を日本人行政書士が奪うことができます。頑張ってください。