行政書士中村和夫の独り言

外国人雇用・採用コンサルティング、渉外戸籍、入管手続等を専門とする26年目の国際派行政書士が好き勝手につぶやいています!

米国渡航前のESTA(電子渡航認証システム)で否認される考えられるケースと、その対処策について

2012-11-14 13:26:41 | イミケン

 今週の11月12日の月曜日夜6時から

 イミグレーションロー実務研究会の

 第8回特別研修会が開催されました。

 講師は、米国移民法弁護士であり、

 日本のテンプル大学法学修士課程でも米国移民法を

 教えていらっしゃる、マーカス・カズンズ氏です。

12nov20121

12nov20122

 実は、かつて、私は何度となく米国へ渡航していたのですが、

 兼業していたスペイン語通訳の仕事を極力減らして、

 行政書士業に専念してから、この11年ほどは、

 米国とはすっかりご無沙汰になってしまったのです。

 よって、米国渡航前には、ESTAで事前に電子渡航認証を

 得なければならない事は知っていても、一度も使ったことがないのです。

 さて、これからは講師のマーカス先生のお話から引用すると

 以下のようなお話しです。

 米国に出張や観光に行く前に、事前に自宅や会社PCから、

 このESTA申請をしなければならず、通常は直ぐに認可されますが、

 希に否認される場合があるのだそうです。

 それも、否認の理由は、原則として何も伝えられないそうです。

 これは、日本の在外公館とまったく同じです。

 こういった場合、日米査証免除協定の対象外となり、

 在日米国大使館の領事部か領事館に、出張者であるのならば、

 B1査証(VISA)を、観光目的であればB2査証を、

 別途申請しなければならないそうです。

 その具体的な方法は、後述するとして、先ずはどのような理由で

 否認されるかを正確に把握しておかなければ、

 当然ですが、具体的な対処手続はできないとの事です。

 一般的には、ESTAで否認されるケースとは以下のようなケース

 がよくあるのだそうです。

1.超過滞在(オーバー・ステイ)となったことがある場合

  ア.90日の滞在期間に対して3ヶ月、つまり91日と

    1日だけ超過滞在した場合も含む。

  イ.留学生の学業終了後の30日の滞在許可に対して、

    1ヶ月と勘違いして、1日だけ超過滞在した場合も含む。

2.米国、若しくはその他の国で刑事処罰を受けた記録が、

  米国当局に残されている者

  ア.起訴された者は、執行猶予であっても永遠に対象となります。

  イ.飲酒運転、スピード違反などで米国で刑事罰受けた者。

    ただし、駐車違反など行政罰の場合は除外される。

  ウ.喧嘩・暴行などで、傷害事件を起こした場合も含まれます。

3.米国で、当局(警察、FBI、CIA、NSAなども含む)に逮捕や

  取り調べをされた経験のある者。

  ア.任意での取調や聴取を受けた者も含まれます。

 3.の任意での取調や聴取を受けた者までもが含まれるとは、

 正直、驚きでした!

 また、日本のように5年経過したら良いという訳では無く、

 未来永劫に駄目という事らしいので、超過滞在、刑事事件、

 或いは、取調などの経験者は、ず~とこのESTAシステムがある限り、

 否認されるようです。

 では、否認された方々に、B1,B2査証が許可される可能性があるのか?

 という、米国移民弁護士のノウハウに関わる点についてですが、

 現在の職業、素行、社会的な信用度と、問題となった超過滞在、

 刑事事件、取調の内容が至って軽微であり、些細なミスであった場合や、

 若気の至りであったようば場合には、救済方法があるようです。

 実は、私も一度そんな手続を受託して、幸いにも成功した経験があります。

 とはいえ、今も米国移民法や米国査証の専門家ではないので、

 今では到底お引き受けして、成功する自信が無というか、

 むしろお断りして、こういったマーカス弁護士等をご紹介する方が、

 プロとして正しい選択肢だと思っています。

*********************************

 ところで、このマーカス弁護士の話を日本語に通訳して頂いたのは、

 同事務所に所属されている行政書士の大川洋子さんという

 何かひょうひょうとした方ですが、この方、実は凄い方です!

 ニューヨーク州弁護士資格をお持ちの上、南の楽園国である

 パラオ共和国(日本から4時間半)の弁護士資格もお持ちなのです!

 そんな、大川先生に、第2部として、米国弁護士資格や

 パラオ共和国弁護士資格の取得方法などをお話し頂きました。

 面白かったのは、パラオ共和国では、日本人投資家が詐欺被害に

 遭うことが多く、空港から街に向かう側の看板には

 「本当に、投資をしても大丈夫ですか?」と書いた看板を設置し、

 また、空港に戻る側の裏側には、

 「やっっぱり、言ったでしょう!」と書くべきだとの

 お話しには、全員が大爆笑しました。

12nov20123

 この様に、仮にクライアントがトラブルに遭ったときに、

 事前にお話しできるような大変有益なお話を伺うことができました。

 勿論、研修会後には、講師のマーカス先生や大川先生を囲んで、

 多国籍料理と飲み放題(私はワイン1本飲んじゃいました!)

 で楽しい一時も過ごさせ頂きました。

 事務局の俵さん、いつもありがとうございます。

 ちなみに、今回の研修会は、イミグレーションロー実務研究会の

 研修会費は、会員は何と無料でしたので、

 懇親会の飲み食い費用だけでこれだけ、

 有意義な話が聞けたは、流石、太っ腹のイミケンでした。

 http://www.immigration-law.jp/contact-us/

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