一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

「埋蔵金男」高橋洋一氏の本3冊

2008-12-05 | 乱読日記
買いだめてあった3冊をまとめて読みました。


著者は財務省から小泉内閣で経済財政諮問会議の事務局、安倍内閣で首相官邸内閣参事官などをつとめ財政投融資改革・公務員制度改革を支え、安倍内閣の退陣とともに官僚を辞めた「霞ヶ関埋蔵金男」「官僚すべてを敵にした男」などの異名をとる異色の経歴の持ち主です。

最初は霞が関埋蔵金男が明かす「お国の経済」 (文春新書)

3冊の中で一番薄いのですが、埋蔵金問題(=財政投融資、政府特別会計のしくみ)、道路特定財源、財政改革、日銀と金融政策、公務員制度改革問題などを理論的な背景も含めてわかりやすく書いてあります。


つぎはさらば財務省!―官僚すべてを敵にした男の告白
これは小泉政権下の政策立案・決定の過程、郵政民営化が官僚や自民党内の抵抗を排除してどのようにして可能になったか、そして安倍内閣の下で公務員制度改革がなぜ頓挫したかについて、インサイダーとして詳しく分析しています。
これは金融論、経済理論というよりは政治の裏側の話を書いた本です。


最後は財投改革の経済学
書名から著者が携わった財投改革などの理論的バックボーンを整理したものと思ったのですが、中身は過去に書いた論文のアンソロジーに近いものです。
論文に加筆してそれぞれの章として構成しているのですが、残念ながら全体のつながりがよくありません。
それぞれ独立の論文として執筆時期や背景を解説してもらったほうがわかりやすかったと思います。
その意味では最初の本が薄い割には網羅的に論点に言及しています。

面白かったのは「第7章特殊法人改革」。道路公団はなぜ民営化すべきなのか、年金財政がいかに破綻しているかを(後者はあまりうれしくはないのですが)明解に解説しています。
経済学的な分析は9章が中心なのですが、ページ数の割りに内容が詰まっているので経済理論に詳しくない僕にとっては表面をなんとなく理解するには量が多いし、掘り下げて理解するにはもう少し説明がほしい、という感じでした。


国の財政や経済に関心のある人は1番目の本、政治過程に興味のある人は2番目の本がお勧めです。









コメント
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