昨日のエントリの最後に書いた
一定以上の契約期間で賃料が相場より低廉であったとしても更新料の割合が大きすぎて実質的に賃借人の期間内解約を制限する(=期間内解約すると残存期間の更新料分損をしてしまう)ことになってしまうようなものは無効になる可能性は出てくるかもしれませんね。
について補足
テレビでは、不動産業者の動きとして、物件を比較しやすくするため、更新料等の名目いかんに関わらず契約期間中の負担金額を月額に均して「めやす賃料」というのを表示しているところがあると紹介されていました。
ただ、めやす賃料が同じでも、更新料は更新時にまとめて支払うので、期間内解約をすると借りた期間中の平均賃料は割高になってしまいます。
下のグラフはそれを比較したものです。
(大きいグラフはこちら)
青が月額賃料10万円
緑が月額賃料92,300円、更新料184,800円
(今回の判例と同じ更新料2ヶ月(事例では1年契約ですが))
ピンクが月額賃料は80,000円とお安い代わりに更新料48万円
横軸が解約する月
棒グラフが累計負担額、折れ線グラフが解約月までで計算しためやす賃料になります。
そうすると、賃料8万円で4ヶ月目で解約すると、めやす賃料は20万円/月になります。
更新料6ヶ月というのはさすがに大きいかもしれませんが、更新料2ヶ月パターンでも138,500円/月とけっこうになります。
これが何が問題かというと、契約したときはいいと思っていても、更新料が大きいと期間内解約をすると極端に不利になる場合がありうることです。
借地借家法38条5項では、定期借家においても200平米未満の居住用建物の賃貸借においては借家人に期間内解約の権利が一定程度認められています。
転勤、療養、親族の介護その他のやむを得ない事情により、建物の賃借人が建物を自己の生活の本拠として使用することが困難となったときは、建物の賃借人は、建物の賃貸借の解約の申入れをすることができる
にもかかわらず、上のように更新料の割合があまりに大きいと、普通借家でありながらも期間内解約をした場合に相当な経済的不利益をこうむることになるので、これが度を越えた場合は「消費者の利益を一方的に害する」というようなことになるのではないか、ということです。
一般的には極端に更新料が高い契約を結ぶ人は少ない(または更新する気がない)と思うのでこういうトラブルはないかもしれませんけど。