経済学者岩井克人の回顧録。
あとがきにもあるように、回顧の主題は岩井の人生ではなく学問を主題としている。
具体的には、不均衡動学から『ヴェニスの商人の資本論』(自分にとってはここがきっかけ)、貨幣論、法人論・会社統治論など現代にいたるまでの研究、思索の過程がその背景も含めて体系的に描かれていて、それぞれの著書の意味合いや位置づけが改めてよくわかる。
そして、自らの研究を発展させる中で興味と関心のある領域を次々と取り込んでいく姿からは、学者としての真摯さがうかがえると共に、本当に学問が好きなんだなぁと感心してしまう。
大学でのポストや学会の中でのポジションを求めるという競争から離れた
(本人はこれを「没落」と表現している)結果、自由に研究に取り組むことができたからであるし、岩井自身も本書をまとめるなかで「学問をする人間としては幸せであったことを再確認できた」と言っている。
こういう人でないと研究者にはなれないのかもしれないと思う一方で、ここまで純粋な研究者というのもそうはいないのではないかと思う。
世事に汚れた半可通の自分にとって、心が洗われるような本であった。
あとがきにもあるように、回顧の主題は岩井の人生ではなく学問を主題としている。
具体的には、不均衡動学から『ヴェニスの商人の資本論』(自分にとってはここがきっかけ)、貨幣論、法人論・会社統治論など現代にいたるまでの研究、思索の過程がその背景も含めて体系的に描かれていて、それぞれの著書の意味合いや位置づけが改めてよくわかる。
そして、自らの研究を発展させる中で興味と関心のある領域を次々と取り込んでいく姿からは、学者としての真摯さがうかがえると共に、本当に学問が好きなんだなぁと感心してしまう。
大学でのポストや学会の中でのポジションを求めるという競争から離れた
(本人はこれを「没落」と表現している)結果、自由に研究に取り組むことができたからであるし、岩井自身も本書をまとめるなかで「学問をする人間としては幸せであったことを再確認できた」と言っている。
こういう人でないと研究者にはなれないのかもしれないと思う一方で、ここまで純粋な研究者というのもそうはいないのではないかと思う。
世事に汚れた半可通の自分にとって、心が洗われるような本であった。