一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

コンプライアンスの匙加減

2010-03-02 | コンプライアンス・コーポレートガバナンス

toshiさんの「ビジネス法務の部屋」で面白いエントリがありました。

所詮コンプライアンスとはこんなもの?(温泉偽装事件)  

岸和田市の温泉施設が近所の川の水を混入していたという事件ですが、いきり立つマスコミとインタビューに答える近所の住民の「たいしたことあらへん。そんなん、どこでもやっとるで」というコメントの対比がなかなか笑えます。  

実際問題として、風呂の湯船のお湯は基本は口に入れることはないですし、川の水だって浄水器に通したり加熱すれば実質的な危険はそんなにないでしょうから、いちいち気にするよりは浴槽が大きかったり施設がきれいだったりすることの方が大事かもしれませんね。
昔の話ですが、水道水だって、東京では金町浄水場の取水口が以前は松戸市の下水処理場の排水溝の下流だったこともあったわけで(参照)、きちんと処理をすれば、水道法などには違反しているかもしれませんが危険ではないはずです。
(そもそも川の水を勝手に利用するほうが問題だと思うのですが、水利権とかの問題はないのでしょうか。)  


過剰反応といえば土壌汚染もそうです。
今年の4月から施行される土壌汚染対策法の改正でも、現状の問題意識として

1 法に基づかない土壌汚染の発見の増加
(発見された汚染土壌の適正管理への不安)
3 汚染土壌の不適正な処理による汚染の拡散
(汚染土壌の不適正な処理事案の発生)

だけでなく

2 掘削除去の偏重
(土地の所有者等の過剰な負担:環境リスク低減の観点でも問題ある掘削除去の増加)

もあげています。(参照

もともと土壌汚染対策法は

土壌が有害物質により汚染されると、その汚染された土壌を直接摂取したり、汚染された土壌から有害物質が溶け出した地下水を飲用すること等により人の健康に影響を及ぼすおそれがある。

ことを防止するのが目的(参照)で、土壌汚染が発見された時の対策も、有害物質が飛散・溶出しないようなアスファルト舗装をするとか溶出防止の鉄板を埋め込むとかの「封じ込め」を基本にしています。 
にもかかわらず、有害物質が発見されると完全に撤去することが求められることがしばしばあります。
 
たとえば築地市場の豊洲移転についても、(そもそもの移転の当否はさておき)、土壌汚染が発覚したからといっても、きちんと舗装をして、井戸水をくみ上げて使ったりしなければいいわけで、わざわざ税金を何十億円もかけて完全に除去する必要はないように思います。  

このようにマスコミに取り上げられる以外にも、J-Reitや不動産投資ファンドなどが融資元の金融機関や所管官庁である金融庁から過剰に遵法性を求められる、または「遵法」の範囲がはっきりしないなかで将来の指摘を恐れて過剰に反応する結果のように思います。



これに限らず、リスク・危険がない世の中を目指すのではなく、リスクの分担が公平・適切になされているか、という視点が大事だと思うんですが。


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