一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

原因の想定より結果の想定

2012-05-12 | 原発事故・節電・原発問題

メモ
日経ビジネスオンラインでの池上彰と齊藤誠一橋大学大学院経済学研究科教授の対談
原発是非論の前に知っておくべき福島原発2つのミス 経済学者・齊籐誠さんに聞く「原発事故」【その2】

齊藤:繰り返しますが、東電福島原発事故については、工学的な技術の面でいうと、時代遅れで、安全性のチェックを自前でやらないままに古い設備を使い続けていた、という工学的視点がないままで運用していたという問題と、いざ事故が起きたときにどのように対処するか、という経営面から見たリスクマネジメントの欠如という問題があった。  

工学的視点の欠如とリスクマネジメントの欠如という経営やガバナンスのまずさが惨状を招いたわけです。原発の是非を問う前に、そもそもこの2つのミスが事故を起こした、という明確な認識を共有すべきではないでしょうか。

(中略)

池上:「何メートルの津波が来る」「震度いくつの地震が来る」という事故の原因となる方を想定しろ、というのではなく、原因が何であれとにかく「1次冷却系が全く機能しない」という事態の方を想定しろ、というわけですね。

齊藤:その通りです。「原因が何であれ、1次冷却系が完全に動かなくなった」という状態は、工学的に考えれば平常時に十分予見できる、いや、しなければいけないことです。さらに詰めていくと、「完全に動かなくなった」ときに何をどうすべきか、命令系統をいつどんなかたちで本社から現場に移すか、周辺住民や政府とのやりとりはどうするか。あらかじめ行動パターンをシミュレーションできたはずなのです。

池上:今回の原発事故で東電経営陣が口にした「想定外」とは、津波や地震の規模といった「事故原因」のことを指していましたが、「1次冷却系が完全に動かない」という「結果」はどう考えても十分「想定内」にしなければいけなかった。でも、していなかったから事故が起きてしまった。

「こんなに高い津波が来るとは想定外だった」という主張は一定の共感を呼ぶと思いますが、津波だろうが某国のミサイルだろうが、原因はさておき不具合が起きた場合(機械を使っている以上理論的には起こりうる)の対処法を決めていなかったのはまずかった、という指摘は、実はあまりされていないのではなかったでしょうか。

 

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