もう2週間も経ってしまいましたがやっとNYの話。
仕事の合間を縫って美術館めぐりをしました。
マンハッタンは碁盤の目になっていて、地形はほぼ平らなうえに美術館もだいたいまとまったところにあるので移動は比較的楽。車も朝晩のラッシュ時でなければけっこう使えるので時間は有効に使えます。
とはいいながら今回の目玉はThe Noguchi Museum(ガイドブックなどでは「イサムノグチ庭園美術館」と呼ばれています。)彫刻家イサム・ノグチの美術館です。
2004年に香川県牟礼町にあるイサム・ノグチ庭園美術館を訪れて以来、ぜひいきたかったところです。(そのときのエントリはこちら、ブログをはじめたばかりで文章が堅いですね(汗))
美術館はクィーンズにあり、Queensboro Bridgeを渡って比較的近いところにあります。地下鉄の駅からはちょっと遠いようだったので車で。
周りは自動車修理工場や金属部品工場などがある倉庫街で、美術館の建物も古い倉庫を改装したもの。

牟礼の美術館は、晩年のアトリエを改装したので作品もそこで製作されたものや製作途中のものが中心なのですが、こちらは初期の作品からそろっています。
財団の資金が潤沢なのか入場料も10$と安い割りにスタッフは沢山います。子供向けのワークショップなども開かれているようです。
禁止事項は作品に触るなというだけで、写真撮影も自由なのも牟礼とは違います(商業利用したときにはすぐに訴えたりするからなのかもしれませんが)。
展示は建物内と中庭に置かれています。

"I.N."のサイン

この中庭につくばいにinspireされた水盤があります。(中央やや左側奥)
実は、日本の最高裁判所の中に「つくばい」という作品があるのですが、非公開になっています。
そもそも最高裁判所にはめったに入れないのですが、昔仕事で入る用(幸か不幸か弁論が開かれた)があったときに中で警備員さんに聞いたところ、中に入ってもそこには行けないということでした。
裁判の公開は憲法で保障されているけど裁判所の予算で買った美術品は公開の義務がないというのなら、なんでわざわざ買ったんでしょうか。
話を元に戻します。
初期の作品群

最初に彫刻家として有名になった頭像が左奥にあります。
当時話題を巻き起こした「死」(1935年)

エナジー・ボイドの小さいもの(左奥のピンク色のスポットライトがあたっているもの)

牟礼では大きい(そして色も違います)のを見たのですが、久しぶりの対面
広島の原爆慰霊碑

当初は平和記念公園の全体計画をしていた丹下健三からイサム・ノグチに依頼があったものの、アメリカ人だという理由で不採用になり、結局丹下健三が自ら今の慰霊碑を作ったといういわくつきのもの。
結局イサム・ノグチのデザインは平和大橋と西平和大橋の欄干にだけ残っています。
イサム・ノグチ自身は日米の混血児としての運命に翻弄された(第二次世界大戦中に自ら志願して日系人収容所に入ったあげくにハーフのためスパイの嫌疑をかけられたりした)人なので、本人は無念だったと思います。
ただ、最近はこんな動きもあるようです。
広島にもうひとつの原爆慰霊碑を イサム・ノグチの悲願、核廃絶のシンボルに(2010.7.30 18:05 産経新聞)
一角にはビデオ・コーナーがあり、イサム・ノグチの生涯を振り替えることができます。『イサム・ノグチ―宿命の越境者』(ドウス昌代)を思い出しながら鑑賞。
ビデオに出てきた、山口淑子(李香蘭)との新婚時代に北鎌倉の北大路魯山人宅に暮らしていたときの作品。(ビデオで紹介されてました)

さて、マンハッタンにもイサム・ノグチの作品はいくつか見ることが出来ます。
(詳しくはこちら参照)
ロックフェラーセンターのAPビルのレリーフ「ニュース」

隣にはイサム・ノグチの写真がパネルになっています。


ウォール街のワン・チェース・マンハッタン・プラザのサンクンガーデンは当日あいにく工事中だったので上からはよく見られませんでした。

なので地下1階のチェース・マンハッタン銀行の店舗に入って、中庭風になっているところを拝見(さすがに銀行店舗内部だったので写真はなし)
ちなみにこのチェース・マンハッタン銀行のビルは。1959年完成当時の会長だったデイヴィッド・ロックフェラーが専門家チームを雇って現代美術の作品をロビーや各部屋に置いた、いわば企業の文化助成のさきがけの象徴の建物だそうです。
その後、デイヴィッド・ロックフェラーは有力企業に呼びかけて1966年にbusiness committee for the artsを設立したりするのですが、このへんのアメリカにおける美術とお金周りの話は次回。
仕事の合間を縫って美術館めぐりをしました。
マンハッタンは碁盤の目になっていて、地形はほぼ平らなうえに美術館もだいたいまとまったところにあるので移動は比較的楽。車も朝晩のラッシュ時でなければけっこう使えるので時間は有効に使えます。
とはいいながら今回の目玉はThe Noguchi Museum(ガイドブックなどでは「イサムノグチ庭園美術館」と呼ばれています。)彫刻家イサム・ノグチの美術館です。
2004年に香川県牟礼町にあるイサム・ノグチ庭園美術館を訪れて以来、ぜひいきたかったところです。(そのときのエントリはこちら、ブログをはじめたばかりで文章が堅いですね(汗))
美術館はクィーンズにあり、Queensboro Bridgeを渡って比較的近いところにあります。地下鉄の駅からはちょっと遠いようだったので車で。
周りは自動車修理工場や金属部品工場などがある倉庫街で、美術館の建物も古い倉庫を改装したもの。

牟礼の美術館は、晩年のアトリエを改装したので作品もそこで製作されたものや製作途中のものが中心なのですが、こちらは初期の作品からそろっています。
財団の資金が潤沢なのか入場料も10$と安い割りにスタッフは沢山います。子供向けのワークショップなども開かれているようです。
禁止事項は作品に触るなというだけで、写真撮影も自由なのも牟礼とは違います(商業利用したときにはすぐに訴えたりするからなのかもしれませんが)。
展示は建物内と中庭に置かれています。

"I.N."のサイン

この中庭につくばいにinspireされた水盤があります。(中央やや左側奥)
実は、日本の最高裁判所の中に「つくばい」という作品があるのですが、非公開になっています。
そもそも最高裁判所にはめったに入れないのですが、昔仕事で入る用(幸か不幸か弁論が開かれた)があったときに中で警備員さんに聞いたところ、中に入ってもそこには行けないということでした。
裁判の公開は憲法で保障されているけど裁判所の予算で買った美術品は公開の義務がないというのなら、なんでわざわざ買ったんでしょうか。
話を元に戻します。
初期の作品群

最初に彫刻家として有名になった頭像が左奥にあります。
当時話題を巻き起こした「死」(1935年)

エナジー・ボイドの小さいもの(左奥のピンク色のスポットライトがあたっているもの)

牟礼では大きい(そして色も違います)のを見たのですが、久しぶりの対面
広島の原爆慰霊碑

当初は平和記念公園の全体計画をしていた丹下健三からイサム・ノグチに依頼があったものの、アメリカ人だという理由で不採用になり、結局丹下健三が自ら今の慰霊碑を作ったといういわくつきのもの。
結局イサム・ノグチのデザインは平和大橋と西平和大橋の欄干にだけ残っています。
イサム・ノグチ自身は日米の混血児としての運命に翻弄された(第二次世界大戦中に自ら志願して日系人収容所に入ったあげくにハーフのためスパイの嫌疑をかけられたりした)人なので、本人は無念だったと思います。
ただ、最近はこんな動きもあるようです。
広島にもうひとつの原爆慰霊碑を イサム・ノグチの悲願、核廃絶のシンボルに(2010.7.30 18:05 産経新聞)
一角にはビデオ・コーナーがあり、イサム・ノグチの生涯を振り替えることができます。『イサム・ノグチ―宿命の越境者』(ドウス昌代)を思い出しながら鑑賞。
ビデオに出てきた、山口淑子(李香蘭)との新婚時代に北鎌倉の北大路魯山人宅に暮らしていたときの作品。(ビデオで紹介されてました)

さて、マンハッタンにもイサム・ノグチの作品はいくつか見ることが出来ます。
(詳しくはこちら参照)
ロックフェラーセンターのAPビルのレリーフ「ニュース」

隣にはイサム・ノグチの写真がパネルになっています。


ウォール街のワン・チェース・マンハッタン・プラザのサンクンガーデンは当日あいにく工事中だったので上からはよく見られませんでした。

なので地下1階のチェース・マンハッタン銀行の店舗に入って、中庭風になっているところを拝見(さすがに銀行店舗内部だったので写真はなし)
ちなみにこのチェース・マンハッタン銀行のビルは。1959年完成当時の会長だったデイヴィッド・ロックフェラーが専門家チームを雇って現代美術の作品をロビーや各部屋に置いた、いわば企業の文化助成のさきがけの象徴の建物だそうです。
その後、デイヴィッド・ロックフェラーは有力企業に呼びかけて1966年にbusiness committee for the artsを設立したりするのですが、このへんのアメリカにおける美術とお金周りの話は次回。
先日D.C.出張の空き時間に、ナショナルギャラリーに束の間立ち寄ったのですが、イサムノグチの作品があることを閉館時に気づき、作品にお目にかかれませんでした。で、このエントリーを拝見し、見ることができなかったことがますます悔やまれ、思わずコメントさせていただいた次第です(笑)。
そういえば、イサムの母レオニーの人生を題材にした『レオニー』が上映されていますね。作品鑑賞の一助になるのなら(映画も)見てみようかと気になっています。ほかに何かおすすめ書籍などありましたら是非教えてください!
(元「主任」さんってこのブログ当初からごらんいただいている方ですよね?)
残念でしたね~
映画、僕も暇を見つけて見に行こうと思ってます。
僕も何冊も読んでいるわけではないのですがエントリの中でも言及している「イサム・ノグチ―宿命の越境者」はレオニーと米次郎の関係までさかのぼって書いているので映画を見るには参考になると思います。
すっと拝読しているのですが、コメントもせずに失礼いたしました。
レオニー情報ありがとうございます。読んでから鑑賞したいと思います。
そう、映画といえば、あちらで『Inside Job』という映画を観ました。監督自らが2008年のFinancial Crisisの当時insideにいた関係者へのインタビューを重ね真相を知ろうとしたドキュメンタリーです。題材が題材だけに、いろいろ考えさせられるんですが、なんだか笑っちゃうような場面も多かったような。機会があれば、是非チェックしてみてください。
日本では未公開のようですね。
ぐぐってみたらtrailerはあったのですが面白そうですね。
レンタルに回るか、MXTVの松嶋×町山未公開映画を見るTVで取り上げられるのを待つとします。