UBS「契約無効」で返上打診 誤発注巡る巨額利益
(2005年12月18日 (日) 11:59 朝日新聞)
みずほ証券による誤発注問題で、約120億円の利益を出したUBSグループが「契約の無効という形で利益を返上できないか」と日本証券業協会などに打診していることが17日、明らかになった。同協会は利益を得た証券会社が日本投資者保護基金に自主返上する形で決着を模索しているが、「それでは海外の株主に説明しにくい」というのが打診の理由とみられる。ただ、今回の取引を「契約無効」と見なすのは法的に難しく、調整にはなお時間がかかりそうだ。
先日の利益返還の報道に対していろいろ知恵を絞るもんだなとほめたのですが、実はそんなにスキームも固まってなかった、ということなんですね。
要はよくある「言質は与えないけれど同情の意を示す」(自分に全く責任のないときに言う"I am sorry."ですね)というリップサービスに乗っかって報道が先走ったわけです。
こうなると
① 総論としては利益を返還する意向がある
② ただし、一度確定した利益を返還するとなると、株主への説明が難しいし、税務上も寄付金認定をされるリスクがあるとできない。
③ なので、売買を無効にするような法的枠組みでの処理をして欲しい
という建前論で「いい子」になりながら
④ でも、個人で利益を上げている人や、みずほの誤発注を知らずに注文を出した人の取引まで無効になっちゃうよね。それに、買った人が取引再開後に売っていたとするとそれはどうなるんだろう
⑤ そうなると「無効」の枠組みができないなら、残念ながらボクは協力できないね
⑥ でも、協力したいのは山々なので、ボクのこと悪く言わないでね
という「名も実もとる作戦」なのでしょうか。
前のエントリは、UBSらは株主のほうは「日本市場の後進性とマーケットとしての大きさから、ここで利益を還元してもレピュテーションを損なうより得。損した訳じゃないんだし」というようなロジックで説得できると踏んでのコメントかと思って書いたのですが、さすがにあの時点でそこまで早い決断はできてなかった、ということだったんですね。