一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

The Noguchi Museum (イサムノグチ庭園美術館)

2010-10-04 | うろうろ歩き
もう2週間も経ってしまいましたがやっとNYの話。

仕事の合間を縫って美術館めぐりをしました。
マンハッタンは碁盤の目になっていて、地形はほぼ平らなうえに美術館もだいたいまとまったところにあるので移動は比較的楽。車も朝晩のラッシュ時でなければけっこう使えるので時間は有効に使えます。


とはいいながら今回の目玉はThe Noguchi Museum(ガイドブックなどでは「イサムノグチ庭園美術館」と呼ばれています。)彫刻家イサム・ノグチの美術館です。

2004年に香川県牟礼町にあるイサム・ノグチ庭園美術館を訪れて以来、ぜひいきたかったところです。(そのときのエントリはこちら、ブログをはじめたばかりで文章が堅いですね(汗))
 

美術館はクィーンズにあり、Queensboro Bridgeを渡って比較的近いところにあります。地下鉄の駅からはちょっと遠いようだったので車で。
周りは自動車修理工場や金属部品工場などがある倉庫街で、美術館の建物も古い倉庫を改装したもの。



牟礼の美術館は、晩年のアトリエを改装したので作品もそこで製作されたものや製作途中のものが中心なのですが、こちらは初期の作品からそろっています。

財団の資金が潤沢なのか入場料も10$と安い割りにスタッフは沢山います。子供向けのワークショップなども開かれているようです。

禁止事項は作品に触るなというだけで、写真撮影も自由なのも牟礼とは違います(商業利用したときにはすぐに訴えたりするからなのかもしれませんが)。


展示は建物内と中庭に置かれています。


"I.N."のサイン




この中庭につくばいにinspireされた水盤があります。(中央やや左側奥)

実は、日本の最高裁判所の中に「つくばい」という作品があるのですが、非公開になっています。
そもそも最高裁判所にはめったに入れないのですが、昔仕事で入る用(幸か不幸か弁論が開かれた)があったときに中で警備員さんに聞いたところ、中に入ってもそこには行けないということでした。
裁判の公開は憲法で保障されているけど裁判所の予算で買った美術品は公開の義務がないというのなら、なんでわざわざ買ったんでしょうか。

話を元に戻します。

初期の作品群



最初に彫刻家として有名になった頭像が左奥にあります。


当時話題を巻き起こした「死」(1935年)




エナジー・ボイドの小さいもの(左奥のピンク色のスポットライトがあたっているもの)



牟礼では大きい(そして色も違います)のを見たのですが、久しぶりの対面


広島の原爆慰霊碑



当初は平和記念公園の全体計画をしていた丹下健三からイサム・ノグチに依頼があったものの、アメリカ人だという理由で不採用になり、結局丹下健三が自ら今の慰霊碑を作ったといういわくつきのもの。
結局イサム・ノグチのデザインは平和大橋西平和大橋の欄干にだけ残っています。

イサム・ノグチ自身は日米の混血児としての運命に翻弄された(第二次世界大戦中に自ら志願して日系人収容所に入ったあげくにハーフのためスパイの嫌疑をかけられたりした)人なので、本人は無念だったと思います。

ただ、最近はこんな動きもあるようです。
広島にもうひとつの原爆慰霊碑を イサム・ノグチの悲願、核廃絶のシンボルに(2010.7.30 18:05 産経新聞)


一角にはビデオ・コーナーがあり、イサム・ノグチの生涯を振り替えることができます。『イサム・ノグチ―宿命の越境者』(ドウス昌代)を思い出しながら鑑賞。

ビデオに出てきた、山口淑子(李香蘭)との新婚時代に北鎌倉の北大路魯山人宅に暮らしていたときの作品。(ビデオで紹介されてました)




さて、マンハッタンにもイサム・ノグチの作品はいくつか見ることが出来ます。
(詳しくはこちら参照)

ロックフェラーセンターのAPビルのレリーフ「ニュース」



隣にはイサム・ノグチの写真がパネルになっています。





ウォール街のワン・チェース・マンハッタン・プラザのサンクンガーデンは当日あいにく工事中だったので上からはよく見られませんでした。



なので地下1階のチェース・マンハッタン銀行の店舗に入って、中庭風になっているところを拝見(さすがに銀行店舗内部だったので写真はなし)


ちなみにこのチェース・マンハッタン銀行のビルは。1959年完成当時の会長だったデイヴィッド・ロックフェラーが専門家チームを雇って現代美術の作品をロビーや各部屋に置いた、いわば企業の文化助成のさきがけの象徴の建物だそうです。
 その後、デイヴィッド・ロックフェラーは有力企業に呼びかけて1966年にbusiness committee for the artsを設立したりするのですが、このへんのアメリカにおける美術とお金周りの話は次回。

コメント (4)
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『バイオ・ハザードⅣ』

2010-10-03 | キネマ
『マトリックス』はすごい映画だったんだなぁ。


3D映画を見るならIMAX 3D デジタルがすごい、という話を聞いて、それならいろんなものが飛び出たりドンパチやりそうなのということで『バイオ・ハザードⅣ』を観にいきました。
ただ、IMAXシアターは首都圏では川崎(ラゾーナ川崎、ウチからはこっちの方が近い)と埼玉(菖蒲という東北自動車道の久喜ICのほう)しかないのが難点。

元になったゲームもやったことがなかったので、先週はⅠ~ⅢのDVDを観て一応の予備知識を仕入れてから行きました。(2200円もするので企画物とはいえ楽しまなきゃ損)


(以下ネタばれあり)



ストーリー自体は人間をゾンビにしてしまうウイルスを開発して地上を滅亡させた後地下にもぐった巨大企業にミラ・ジョヴォビッチ扮する主人公アリス(ウイルスを身体に取り込みながらも発症せず超人的能力を持つ)をもって立ち向かう、という話の4話目です。

そもそもこの巨大企業が地上の人類を滅亡させてもなぜ企業として存続しているのかというあたりからつっこみどころは満載なのですが、この映画を観るにはそれは無粋というもの(というのを前作DVD3枚で学習)。

アリスや生き残りの人間たちが閉ざされた状況でゾンビの大群と戦うという設定や、妙な武器を振り回すボスキャラ風の奴とかはゲームとのコラボなのでしょうがそのへんはゲームをやったことがないのでわからず残念。


で、肝心の3Dですが基本CGでしかも予算使いまくりだったであろう『アバター』よりも素直に良し悪しが見えました。


<クローズアップの接写との相性はいまいち?>
主人公が拳銃を持った両手を突き出して敵を探りながら歩くシーンのアップがあるのですが、3Dで拳銃が手前に見えるもののピントが顔の部分にしかあっていなくて、拳銃の部分がぼけてしまっています。
スチールカメラでいえば焦点距離の短いレンズで絞りを絞ればいいと思うのですが映画のカメラだと技術的に難しいのでしょうか。


<FXとの相性はいいが、演出に工夫がないと陳腐化も早い?>
CGを使ったFXはさすがに迫力があるのですが、弾丸が空気を切り裂いて飛んだりそれをかわしたりするところは身のこなしや敵役のキャラも含めて『マトリックス』そっくりで、迫力はあるんだけどちょっと苦笑。
ゾンビも「飛び出る」風に進化してるけど『寄生獣』のパクリっぽいし、3Dを意識しすぎて逆に陳腐になってしまった感じです。(『寄生獣』3Dでやったらかなり怖いと思う)
道具に振り回されるようだと3Dも長続きしないかもしれません。

逆に2Dであのレベルまで達していた『マトリックス』がいかに画期的な映画だったか、改めて感心しました。


3D以外でも、主人公が背中にかついだ日本刀を二本同時に抜くところとか『キル・ビル』じゃねーかとか(これはゲームの武器のアイテムでそういうのがあるのかな?)、冒頭のシーンで中島美嘉が出てくる(製作がソニー・ピクチャーズで、中島美嘉がソニー・ミュージックだから?)とかいろんなお遊びがあって、製作側も承知のうえでお手軽に作った映画なのかもしれません。
でも、もともとゲームを元にしているんだから、荒唐無稽で「ありえねー」を連発させるような映画にすればもっと面白かったのにと思います。


書き忘れましたが、IMAX 3Dはスクリーンが縦方向にも大きく、没入感があってよかったです。『アバター』もこれで観ればよかった。


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