褒めまくる映画伝道師のブログ

映画の記事がメイン。自己基準で良かった映画ばかり紹介します。とにかく褒めることがコンセプトです。

映画 ミツバチのささやき(1973) 映像詩を感じさせます

2016年08月28日 | 映画(ま行)
 映画というのは名作イコール面白いとは必ずしもならない事が多いのは衆知の事実。俺も20年以上前の学生だった時に、この映画は名作だという評判を聞いてワクワクしながら観たのに、ワケがわからずひたすら退屈だった映画が今回紹介するミツバチのささやき。当時、大した知識も無く、血気盛んな若者だった俺が観て楽しめるタイプの映画ではないのは確かだ。しかし、20代前半の時に観ても楽しめなかった映画も数年後に観返してみると、けっこう良い映画じゃ~ん!なんて思える映画もたくさんある。今やすっかり知識も経験も豊富な四十代も半ばを迎えて本作を再見したら、アラ、ビックリ!流石は名作と呼ばれるだけの奥深さがある。

 これまた映画の法則だが、たいていの人は予備知識無しで映画を観た方が面白いと思っている人が多いと思うが、本作の場合は少々予備知識を持って観た方が少しは感動できる。ちなみに本作はスペイン映画だが、1940年のスペイン内戦の直後が時代背景にして描かれており、公開された1973年はまだフランコ独裁政権だったことを頭の片隅にでも置いて観ると、非常に深読みのしがいがある映画だ。世界史の苦手な日本人の多くは、スペインと聞いてもサッカーが強い国というイメージしかない人が殆んど。しかし『スペイン内戦』『フランコ独裁政権』この2つのキーワードをちょっと勉強すると、つい最近までスペインという国は普通の人々が暮らすには大変だったということが理解できる。

 さて、俺も後で知ったのだが、実は本作のテーマは制作当時のスペイン政権の批判映画。そんなことに気付かせないようなストーリー紹介を簡単に。
 1940年、スペインの小さな村が舞台。ある一家において、父フェルナンド(フェルナンド・フェルナン・ゴメス)は自分の部屋に籠ってミツバチの研究に没頭し、母テレサ(テレサ・ジンペラ)は誰宛てなのかはわからないが手紙を書いている日々を過ごしている。彼らにはまだ幼い姉イザベル(イザベル・テリェリア)と妹(アナ・トレント)の娘2人がいる。
 ある日のこと、この小さな村に移動映画がやってきた。上映される映画は『フランケンシュタイン』、イザベルとアナの姉妹は映画を観るが、そのことは妹のアナに心理面で様々な影響を与えるのだが・・・

 さて、何の予備知識も無く観てしまうと、本作がスペインの独裁政権に対する批判映画だと気付く人はまず居ない。本作はアナを中心に彼女の家族の出来事が淡々と描かれているだけだから。しかし、当時のフランコ独裁政権の最中のスペインで、露骨に当時の政権を批判するような映画は撮れないし、撮れても公開されない。だからかんじんのテーマに気付かない人が殆んどであることは当たり前なのだ。しかしながら、前述した予備知識を持って本作を観ると、非常にメタファーに満ちた作品だということに気付けるだろう(実際は気付けない人が殆んどだが)。
 タイトルの『ミツバチのささやき』が表わす意味は何なのか?、冗談好きの姉イザベルと純粋な妹アナの対比するところの意味は?母テレサの手紙を書く意味?そして上映される『フランケンシュタイン』は何を意味するのか?その他にも色々と暗喩的な表現を用いられているはずだが、このような描き方が映像詩を感じさせる。
 ストーリー的にはドラマチックなことが起きるわけでもないので、途中は非常に退屈。しかし、最後の方でフランケンシュタインの効果が抜群に効いてくる演出はなかなかの感動を味わえる。

 冒頭からアニメチックに始まるシーンはちょっと驚くが、その後は静かな音楽と、少ない台詞、ヨーロッパ映画らしい暗めの渋い画調と全体的に静かな印象を受ける映画。しかし、意外にこの静寂さが、政権批判という内容が込められている作品に感動を与える効果を発揮しているような気も今観れば思ったりした。
 ハリウッドのド派手なアクション映画に飽き飽きしていた人、ヨーロッパ映画の名作を観たいと思っている人、そして何よりスペインという国に対して熱い気持ちを持っている人にはミツバチのささやきを今回はお勧め映画として挙げておこう

ミツバチのささやき HDマスター [DVD]
アナ・トレント、イザベル・テリェリア、フェルナンド・フェルナン・ゴメス
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 監督は本作が長編第一作であるビクトル・エリセ。今まで長編映画はたったの3作という超寡作ですが、エル・スールもスペイン内戦をテーマにしていてお勧めです。








 
 
 
 
 
 

 

 
 
 

 
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映画 めぐり逢い(1957) これこそ大人の恋愛です

2015年06月17日 | 映画(ま行)
 わか~い美男美女があらゆる障害を乗り越える情熱的な恋愛映画も良いが、ちょっと渋いオジサンと気品溢れる中年女性の恋愛模様が楽しめる映画が今回紹介する映画めぐり逢い。お互いに婚約者が居ながらも、ニューヨーク行きの航海中の豪華客船でめぐり逢った2人が本当の恋愛を求め合い、愛の絆の強さを確かめ合うストーリー展開。前半の航海中のシーンでは一方的に押しまくる男性とそんな男性の気持ちを見透かしたように焦らしまくる女性の駆け引きが大人の気分を感じさせ、なんだか都合好く進展していく様子がけっこう楽しい。
 ところが後半は打って変わったように試練が襲い掛かってくるのは恋愛映画のド定番を見せられている気分になる。そんな試練に対して、全く空気の読めない男性とあくまでも気丈に振舞い、崇高な精神を持ち続ける女性。2人の男女の描き方が対照的だが、もちろん多いに共感し、感動させてくれるのは女性の方だ。

 さて、豪華客船内で起こった恋愛映画ならば濃厚なラブシーンぐらいは出てきそうなものだが、そんなシーンが無くても充分に綺麗な恋愛模様を描くことが出来る事を証明したかのようなストーリーとは如何なるものか。
 ニューヨーク行きの豪華客船内において、世界中でプレイボーイとして有名なニッキー(ケーリー・グラント)と麗人テリー(デボラ・カー)はひょんなことから出会い、ニッキー(ケーリー・グラント)はいつも通りにあの手この手でナンパする。両者ともに婚約者がいる身であり、テリー(デボラ・カー)はニッキー(ケーリー・グラント)の猛プッシュをなんとか避けていた。しかしながら、テリー(デボラ・カー)はニッキー(ケーリー・グラント)の中に画家としての才能を知り、婚約者が居る者同士なのに2人は次第に愛し合うようになってしまう。
 ついにニューヨークに着く頃、港ではお互いの婚約者が迎えに来ているのだが、すっかり忘れられない者同士の存在になっていた2人は、今日から6ヵ月後にエンパイア・ステート・ビルディングで再会することを約束して別れるのだが、運命は皮肉なことに・・・

 この映画の面白さは次が気になるストーリー展開以外に、演出の妙を挙げることができるだろう。タバコケースや白いスカーフや絵画などの小道具を使った楽しさ、特に映像の写っている場面以外も想像させる階段の使い方なんかは熟練のテクニックを感じさせる。そしてキングコングがぶら下っているシーンで有名なエンパイア・ステート・ビルディングの出し方も上手い。
 なんだか心に響いてくる音楽は良いし、粋でお洒落な台詞がポンポン飛び出してくるのも良い。そして女同士だからこそ理解できるような心が通じ合うシーンなんかは非常に奥が深く感じるし、その後のストーリー展開の伏線になっているのも良い。そして、デボラ・カー演じる女性が本当に顔も心も美しくてサイコ~。そして、パッと見は根性の悪そうな婚約者達だが案外善人だったりするのもポイントが高い。まだまだ褒めないといけない所が、たくさんあったような気がするが、チョッピリ大人になった気分を味わえる恋愛映画を観たい人、なんだかとっても素敵な気分になれる映画を観たい人には映画めぐり逢いはお勧めだ

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映画 真夜中のカーボーイ(1969) これがニューヨークです

2015年05月22日 | 映画(ま行)
 まあ俺なんかは昔から都会に憧れて、東京でバリバリ仕事をこなし、またはアメリカンドリームという言葉に憧れてニューヨークで国際ビジネスマンとして世界を相手に戦ってやる、なんてことを思ったりしていた。しかし、結論から言うと自虐的になってしまうが俺ってやっぱり所詮は田舎者で成金になりたいだけ。そんなことをハッキリわからせてくれた映画が今回紹介するアメリカン・ニューシネマの傑作として誉れ高い映画真夜中のカーボーイだ。
 俺の中では、ニューヨークと言えばウォール街、5番街、億ション、ヤンキース・スタジアム等、ひたすら華やかなイメージがあったのだが、実はそんなものはメイクアップされたニューヨークで、勝ち組みに属する富裕層なんて、たかがしれている。むしろ夢破れてドブネズミのごとく暮らしている極貧困層に属している人間の方が圧倒的多数で、そちらの方が素顔のニューヨークと言えるだろう。

 自分はイケてると思っている馬鹿男が俺の周囲にはたくさん居るが、そんな根拠無き自信に満ち溢れた野朗どもに鉄拳を食らわせるかのように感じるストーリーとは如何なるものか。
 俺ってセックスアピールが有るんだ、と思い込んでいるジョー(ジョン・ヴォイト)はテキサスからカウボーイ姿の出で立ちでニューヨークにやって来た。ジョー(ジョン・ヴォイト)はニューヨークのマダムたちとセックスをして金を儲けようと企むが、ところが最初にナンパして相手にした女性は娼婦上がりで、逆に金を分捕られてしまう。
 そんな折に、ジョー(ジョン・ヴォイト)はラッツォ(ダスティン・ホフマン)という足を引きずっている小男と出会う。ラッツォ(ダスティン・ホフマン)は売春の斡旋人であり、俺と手を組めば女なんかいくらでも紹介してやると言われ、すっかりその気になったジョー(ジョン・ヴォイト)だったが、実はラッツォ(ダスティン・ホフマン)は小汚い詐欺師。
 騙されたことに腹を立てたジョー(ジョン・ヴォイト)は、ニューヨーク中を駆けずり回りラッツォ(ダスティン・ホフマン)を探し出すのだが、既にラッツォ(ダスティン・ホフマン)の手元にはカネが無い。しかも哀れな姿にジョー(ジョン・ヴォイト)はラッツォ(ダスティン・ホフマン)を殴る気力も失せてしまった。
 それ以来、2人は奇妙な友情で結ばれ、ラッツォ(ダスティン・ホフマン)が住んでいた廃墟同然のビルで共同生活を始めることになるのだが・・・

 いくら人種のルツボであるニューヨークでも、あの大都会においてカウボーイ姿の格好はさすがにダサい。ところが当の本人はカウボーイ姿はイケてると思っているのが、けっこう笑える。昔の事だが、俺も侍の格好をして外国に行けば、人気者になれるかな?と思ったが、本当に止めておいて良かった。
 だいたい昔のハリウッド映画といえば、ノーテンキでハッピーな作品が多いが、全ての人がハッピーになれるような世界など無い。勝ち組みが居れば、当然負け組みも出てくる。本作において、負け組みに陥った2人が、極貧生活から抜け出ようともモガキ続ける姿を見て、あ~アメリカ人じゃなくて良かったと思えると同時に、ひたすら夢を諦めようとしない行動力、精神力は見習うべき点が多々ある。まあ~、生きぬく為に盗みをすることが良い事とは思わないが。
 心情風景を表わす映像は今見ても斬新だし、主題歌はなんだか心地良いカントリーミュージックなのが良いし、それでいて娼婦、レイプ、ゲイ、盗み、カネ等といったモラル崩壊の数々のシーンは刺激的であり、この映画が製作されたのが1960年代後半であり、当時のアメリカ情勢を考えると色々と想像をめぐらしてしまう。
 身も心もすっかりボロボロになってしまった2人の男がたどり着いた場所は一体何を表わすのか?この世の中で最も大切な事は決して富や名誉では無いことを死ぬ瞬間になってやっと気付く人もいるが、本作を見ればそのことに今すぐ気付ける非常に有り難い映画。
 今や日本は若者の都会流出による一極集中ですっかり地方は疲弊してしまった。そして世界のモラル低下を及ぼしている拝金主義は今の日本にも蔓延っている。ちょっと古いアメリカ映画ではあるが、さすがは名作と呼ばれるだけに本作が問いかける普遍性は今の日本人にも通じる。これからの日本を背負っていく若者はもちろんだが、既に観たことがあるという年配の方々も再度観ると新しいことを発見できる。と言うことで今回は映画真夜中のカーボーイをお勧めの映画として紹介しておこう

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 監督はイギリス人であるジョン・シュレンジャー。彼の他のお勧め映画として本作と同じくダスティン・ホフマン主演のマラソンマンがお勧めです。

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映画 ミッドナイト・ラン(1988) ロバート・デ・ニーロ出演作品では1番楽しめる?

2015年03月25日 | 映画(ま行)
 今やすっかり70歳を超えて、流石にかつてのようなストイックな役作りは困難になってきたようだが、その代わりと言うべきではないだろうが近年は役柄、内容かまわず出演しまくっている印象すらある超大物俳優であるロバート・デ・ニーロ。まさに彼が最も脂の乗り切った頃の作品で、それまでシリアスでクラ~イ映画ばかり出演していた印象があったが、まるで『俺だってアクションやコメディの演技ぐらいはできるんだぜ!』と言いたげな演技を見せてくれるのが今回紹介する映画ミッドナイト・ラン。チョッピリお茶目なシーンを見せてくれたりするように笑わせてくれる。

 本作におけるロバート・デ・ニーロの役柄はバウンティハンター(日本語では賞金稼ぎと訳されることが多い)を職業としているのだが、日本では馴染みがないので少しばかり説明しておこう。犯罪大国アメリカにおいては刑務所のどこもかしこも犯罪者で満杯。仕方なく刑務所から溢れてしまった犯罪者は、保釈金を払ってとりあえず出所するのだが、ところがこの保釈金がやたら高かったりする。そして、これまた日本では馴染みのない保釈金融会社なる物が存在するのだが、そこから金を借りて仮釈放されるのは良いのだが、だいたいの犯罪者はそんなものは踏み倒して逃亡してしまう奴が多い。
 そこで保険金融会社の委託を受けて、決められた期日までにトンズラした奴を捕まえて戻してくるのがバウンティハンターの役目。まさに犯罪者で溢れかえっているアメリカだからこそ繁盛する職業だ。

 さて、肝心のストーリーの方だがバウンティンハンター(賞金稼ぎ)と賞金首による二人三脚のニューヨークからロサンゼルスまでのアメリカ横断ロードムービー。捕まえる側と捕まえられる側という立場が反対であり、そんな2人が最初は仲が悪くても次第に心を通わせていくとういう展開はロードムービーとして、目新しさなど全く無いように思える。しかし、名作とよばれる多くのロードムービーには感動はあっても娯楽要素が足りない作品が殆んど。感動させることよりも楽しませることを重視した本作のストーリー紹介を簡単に。
 
 元シカゴの警察官だったジャック・ウォルシュ(ロバート・デ・ニーロ)だが、今ではロサンゼルスで保釈金融会社の仕事を請け負い、バウンティンハンター(賞金稼ぎ)として生計を立てていた。ある日、ジャック・ウォルシュ(ロバート・デ・ニーロ)は保釈金融会社の社長エディ(ジョー・パントリアーノ)から仕事を依頼される。
 その内容はシカゴを縄張りとするマフィアであるジミー・セラノ(デニス・ファリーナ)の金を横領し、そして慈善事業団体にその金を寄付する非常に心優しい会計士であるジョナサン・マデューカス(チャールズ・グローデン)を5日間以内に連れ戻すこと。
 ジャック(ロバート・デ・ニーロ)は簡単にジョナサン(チャールズ・グローデン)がニューヨークに居ることを突き止めて、彼を捕まえる事に成功。あとは飛行機でロサンゼルスまで戻ってエディ(ジョー・パトリアーノ)に差し出すだけで任務終了のはずだったのだが、ここからが思いもしなかった困難の連続。
 飛行機恐怖症だとわめき立てるジョナサン(チャールズ・グローデン)のせいで、結局列車と車を使ってロサンゼルスまで戻ることになる羽目になるのだが、ジョナサン(チャールズ・グローデン)を消したいセラノ(デニス・ファリーナ)のマフィア組織、そしてセラノ一味を壊滅させたいFBI、さらにはジャック(ロバート・デ・ニーロ)と同業種であるマービン・ドーフラー(ジョン・アシュトン)からも追いかけられることになってしまい・・・

 ジャック(ロバート・デ・ニーロ)にとっては真夜中の数時間で終われる仕事のはずが、ジョナサン(チャールズ・グローデン)の我が儘のせいで、とんでもないことになってしまう。マフィアとFBIから追いかけられるという絶望的な状況に陥ってしまうのだが、幸いなことにマフィアもFBIもドジな奴ばかり。特にFBIの現場指揮担当の間抜けっぷりが凄く、本当にこんな奴がFBIのエライさんだったら、アメリカ国民は不安で眠れない。

 とにかく無事に仕事を終えて大金を得たいジャック(ロバート・デ・ニーロ)と何とかその場から逃げ出したいジョナサン(チャールズ・グローデン)の道中の駆け引きが楽しいが、この映画がどことなく哀切を感じさせるのがジャック(ロバート・デ・ニーロ)のこの世の中に懐疑心を抱いているキャラクター設定。
 元シカゴの警察官でバツイチというジャック(ロバート・デ・ニーロ)だが、なぜそのような境遇に陥ってしまったのか。シカゴの警察内に蔓延る、マフィア絡みの腐敗、賄賂、買収に屈しなかった正義の漢なのだが、アッサリ仲間に裏切られ警察官を辞めしてしまうことになり、しかも元嫁は自分を裏切った奴と結婚してしまっているように、踏んだり蹴ったりの人生。そりゃ~、こんな目に遭ったら誰だってひねくれてしまう。そんなキャラクター設定を更に浮き彫りにするのが、ときどき流れてくる音楽。この音楽が切なさを更に強調させる。
 さて、この2人に訪れる結末は果たして・・・。観終わった後に大きな感動が込みあがってくるのとは違うが、あったかいんだから~と歌いたくなる気分に包まれる感じ。登場人物達のキャラが濃くて、どいつもこいつも面白いことを言うし、特にチャールズ・グローディンは芸達者なところを見せてくれる。
 笑い、アクション、サスペンス、そして人情を感じることができる映画ミッドナイト・ランはロバート・デ・ニーロの主演作品の中でも特に娯楽要素が満載で万人にお勧めできる傑作です

ミッドナイトラン [DVD]
ロバート・デ・ニーロ,チャールズ・グローディン,ヤフェット・コットー,ジョン・アシュトン,デニス・ファリナ
ジェネオン・ユニバーサル


 監督はマーティン・ブレスト。エディ・マーフィーを一躍大スターに押し上げたビバリーヒルズ・コップ、アル・パチーノ主演のセント・オブ・ウーマンがお勧めです。

 出演者で注目したいのが保釈金融会社の社長を演じているジョー・パトリアーノ。脇役でも強烈な個性を発揮する俳優さんですが、この人のお勧めはウォシャウスキー姉弟監督のバウンド、クリストファー・ノーラン監督のメメントがお勧めです。

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映画 マルタの鷹(1941) これぞハードボイルドです

2014年08月29日 | 映画(ま行)
 決して感情に流されることがなく、絶対絶命のピンチに陥っても顔色一つ変えず、精神的肉体的にタフで、背中から哀愁が漂っている俺のような男こそハードボイルドという言葉がよく似合う。ハードボイルドに憧れている男性諸君は多いが、正しきモラルが崩壊してしまっている現代社会においては、ハードボイルドな俺達のような男どもには非常に世知辛い世の中になってしまっている。逆に口八丁手八丁、八方美人の人間の方が楽に生きていけるように、もはやハードボイルドな俺達のような人間は時代遅れなのか?いやいや、こんな堕落しきった時代だからこそハードボイルドな俺達のような人間は今の時代に必要なはずだ。
 今やハードボイルド小説なんて言葉を聞くことも少なくなったような気がするが、ハードボイルド小説の先駆者であるのがダシール・ハメット。そんな彼の代表的作品の同名タイトル小説の映画化作品が今回紹介するマルタの鷹。メチャクチャ古い映画だが、今でもサスペンス映画の傑作として燦燦と輝き続ける名作だ。

 とにかく本作の特徴はストーリーがテンポ良く進み、威勢の良い台詞がポンポン出てくること。鋭い切れ味を感じさせるストーリー展開は、なかなか最近の映画ではお目にかかれない。それ以上に魅力的なのがハンフリー・ボガード演じる私立探偵の主人公スペードのキャラクター。時には冷酷非情さを見せつけ、早口でまくし立てて相手をやり込める。『俺の言葉が早口過ぎて、わからないのか』と言う台詞があるが、それはまるで観ているこちら側が言われたような気分になる。拳銃を突きつけられてもビビル素振りは少しも見せずにニヤリと笑って見せるように態度はふてぶてしいし、腕っぷしもめっぽう強い。
 そして、損得勘定に惑わされずに自らの美学を貫き通してみせるハードボイルドの真髄をラストで魅せる。きっと俺なら違う選択をして、今までの我慢が吹っ飛びドツボに嵌まるような気がする。

 さて、ハードボイルドな私立探偵が大活躍するストーリーとは如何なるものか。
 サンフランシスコにおいて、サム・スペード(ハンフリー・ボガード)は相棒のマイルズ・アーチャー(ジェローム・コーワン)と共同で私立探偵事務所を開いている。彼の事務所にワンダリーと名乗る女性がやって来て、サースビーと言う男に連れ去られて行方不明になっている妹を救い出して欲しいと頼まれる。今夜、ワンダリーはサースビーと会うことになっているが、身の安全と行方不明になっている妹の情報を得るために、アーチャー(ジェローム・コーワン)がワンダリーとサースビーの尾行を買ってでた。しかし、その晩アーチャー(ジェローム・コーワン)は何者かに心臓を撃たれて死亡。さらにサースビーの死体も発見される。
 アーチャー(ジェローム・コーワン)の奥さんと不倫の関係だったスペード(ハンフリー・ボガード)は、警察からアーチャー殺しの疑いを掛けられている事を知らされる。なんとか疑惑を晴らそうとするスペード(ハンフリー・ボガード)はワンダリーと名乗っていた女性がオショーネシー(メアリー・アスター)という名前であることを突き止め、しかもスペード(ハンフリー・ボガード)の前にカイロ(ピーター・ローレ)という背の低い男が現われる。
 オショネシー(メアリー・マスター)とカイロ(ピーター・ローレ)の2人の間には何か関係があると探ったスペード(ハンフリー・ボガード)は、2人を会わす事に成功。この殺人事件の裏には、純金で出来ており莫大な価値がある『マルタの鷹』の像が絡んでいることを知るのだが・・・

 サスペンス、推理の要素も含まれているが、正直そんなものは二の次。もうハンフリー・ボガードの言動だけ見てれば楽しめる映画。『マルタの鷹』を手に入れようと躍起になる連中は「お前ら本当に盗む気があるのかよ~?」なんて思わせる行動する奴ばかり。まあ、観ている最中は前述したように、そんなことを考えるヒマが無いぐらいテンポよく話が進む。
 すっかり古典的映画の部類に入るが、そんな古臭さを感じさせない面白さがあるし、何と言ってもハンフリー・ボガードが格好いい。ハードボイルドの真髄を感じることができるマルタの鷹は男の美学を学べる映画としてお勧めだ

マルタの鷹 [DVD]
ハンフリー・ボガード,メアリー・アスター
ファーストトレーディング


 監督は映画史に名を残す名監督ジョン・ヒューストン。一級の娯楽作品を撮り続けているが、お勧めは欲望に駆られた男たちの野望と虚無感を描き出した黄金、ハンフリー・ボガードとキャサリン・ヘプバーンの丁々発止のやり取りが堪能できるアフリカの女王、強奪犯罪映画の傑作アスファルト・ジャングル、殺し屋同士の男女の騙しあい、駆け引きが堪能できる女と男の名誉等がお勧め。

 主演のスペードを演じるのがハンフリー・ボガード。渋くて、ダンディな魅力が映える銀幕の大スター。この人のお勧めはシリアスからコメディまでお勧め多数。今回はコメディ路線で俺たちは天使じゃないをお勧めしておこう。後にロバート・デ・ニーロ、ショーン・ペンでリメイクされていますが、だんぜん基ネタの方が面白いです。

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映画 街角 桃色の店(1940) 軽妙なルビッチ・タッチが楽しめます

2014年06月04日 | 映画(ま行)
 今ではSNS(ソーシャル・ネット・ワーキング・サービス)(FB、LINEなど)を通して出会ったことも無い人なのに、知り合いになった気分になることがある。俺なんかはよくFB(フェイスブック)を利用するのだが、そこで顔の面識は無いがお互いにコメントを書き込んだりして言葉を交わしたりすることがある。ちなみに俺のブログの文体やFBに投稿する内容から、どうやら俺は相当な癒し系の人間だと思われているみたいだ。しかし、俺と出会ったことのある人ならわかっていることだが、実際の俺は渋くて、クールなキング・オブ・スーパーイケメン。なかなかその人の書く文章からだけでは人物像はわからないというのが本当のところだ。
 比較的最近のニュースでも猫の首輪にSDメモリーカードを仕込み、遠隔操作を行った元IT会社の社員が逮捕される事件があったが、俺はもっと背か高く、格好良い容姿を想像していたのだが、実物をテレビで見てビックリ。ポッチャリでオタクっぽいし、年齢の割に老けているし、想像していたのとは違ってなんだかガッカリした気分になった。しかし、それ以上にガッカリしたのが、こんな奴に騙される弁護士が居るということ。日本の弁護士は本当に大丈夫なのか~。
 それはさておき、今ではそれが良いのか悪いのかわからないが、多くのSNSの発達によって多くの人がつながり、そして好きな人への告白も電子メール(e-mail)を使うことによって簡単になった?しかし、昔はそんな電子メール(e-mail)なんてものが無かった時代は好きな人への告白及び呼び出す手段は文通。そんな文通手段が大いに活かされたロマンチック・コメディ映画の傑作が今回紹介する街角 桃色の店。この邦題だとなんだか怪しいお店での出来事を想像してしまいそうになるが邦題をつけるセンスが悪過ぎ。店員6人?だけの雑貨店を舞台に庶民の悲喜こもごもの様子が描かれる。

 際立った個性的な人物は登場しないが、なかなか愉快な奴らが登場する。チョッと見たところ頑固そうだが実は寂しがり屋の雑貨店のボスであるマトチェック氏、ボスが現われるとついつい隠れてしまう少々年齢のいった店員、自転車で使いっパシリをさせられる生意気な若造、チョッとした根性悪な店員など脇役たちが盛り上げ、笑わせてくれる。
 そして主役がジェームズ・スチュアート演じる雑貨店を仕切る責任者であるクラリク。このジェームズ・スチュアート演じるクラリクの設定だが、ボスが言うことでも間違っていると思えば反論する正義感に溢れる好人物。そんなクラリクだがマトチェック氏からの信頼は篤く、しかも店の店員で唯一人だけマトチェック氏からディナーに誘われているように非常に気に入られている。そんなクラリクだが新聞の広告で知り合った女性の文通相手とは、なかなか会う勇気が出ない。本作品は1940年制作の映画だから相当古いが、文通をメールに置き換えたら現在でも通じる設定だ。

 さて、殆んどが雑貨店の中で物語が進むこじんまりとした内容だが、ところどころでは軽妙な笑いが繰り広げられるロマンチックコメディのストーリーとは如何なるものか。
 ハンガリーの首都ブタペストのある街角の雑貨店において。決して大きくはない雑貨店を経営しているオーナーであるマトチェック(フランク・モーガン)は見た目は頑固そうな老人だが、実際は奥さんは居るが、子供が居らず少々寂しそう。雑貨店には店員が6人いるが、その中でも責任者であるのがこの店に働いてから9年になるクラリク(ジェームズ・スチュアート)だ。クラリク(ジェームズ・スチュアート)は見知らぬ女性と文通しているが、その文章からきっと素敵な女性に違いないと確信しているのだが、なかなか会う勇気が出ないでいた。
 ある日のこと、クララ(マーガレット・サラヴァン)という名の女性が半ば強引に雇ってもらおうと押しかけてきた。店は6人の店員でも多過ぎるぐらいなのでクラリク(ジェームズ・スチュアート)は彼女の申し出を断わるのだが、そこへマトチェック(フランク・モーガン)がふらっと現われ、クララ(マーガレット・サラヴァン)は得意の売り込み及び接客業をマトチェック(フランク・モーガン)に見せつけ、見事に店員になる。
 ところがクラリク(ジェームズ・スチュアート)とクララ(マーガレット・サラヴァン)はウマが合わず2人はケンカばかりしていたのだが、実は・・・

 ハッキリ言ってストーリーの結末は予想通りで、斬新さなど全くない。しかし、冒頭から店の前での店員たちの会話は笑えるし、クララ(マーガレット・サラヴァン)がマダムに商品を売りつけるシーンなど爆笑できるシーンが多くある。途中からマトチェック(フランク・モーガン)とクラリク(ジェームズ・スチュアート)の仲が、ある勘違いから重苦しい雰囲気になるが、それを吹き飛ばすような顛末は非常に心地良い。そして、使いっパシリの少年の結末も観ている我々を幸福感に満たしてくれる。
 もちろんクラリク(ジェームズ・スチュアート)とクララ(マーガレット・サラヴァン)の恋の結末なんて、それまでの展開が馬鹿馬鹿し過ぎて逆に胸がキュンとなってしまう。それまでは女の方に対して、早く文通の相手に気づけよ!なんてイライラするが、これも素敵なラストシーンに対する前フリだったのかと大いに納得した。

 全体的に軽妙なタッチで笑わせて泣かせるし、昔の映画の方がロマンチックコメディの分野では上なんじゃないの?なんて俺なんかは思っているのだが、本作を観ればきっと多くの人が俺に賛同してくれるはず。昔の映画でロマンチックコメディと言えばローマの休日しか知らない人には、ぜひお勧めしたいし、エルンスト・ルビッチ監督の名前を聞いた事はあるが、まだ彼の作品を観たことが無い人は、まずこれから観たらどうだろうか
 ちなみにトム・ハンクス、メグ・ライアン競演のユー・ガット・メールは本作のリメイクです。

街角 桃色の店 [DVD] FRT-143
ジョセフ・シルドクラウト/ジェームズ・スチュワート/フランク・モーガン/マーガレット・サラヴァン
ファーストトレーディング


 監督は前述したようにエルンスト・ルビッチ。軽妙にして笑わせる作風はルビッチ・タッチと呼ばれるが、お勧め作品は生きるべきか死ぬべきか、そしてグレタ・ガルボ主演のニノチカ、そして天国は待ってくれる等。この人の映画はけっこう笑えます。

 主演はハリウッド黄金期に活躍した大スタージェームズ・スチュアート。フランク・キャプラ監督の素晴らしき哉、人生!、同じくキャプラ監督で、きっとこんな生活をしてみたいと思える我が家の楽園。ビリー・ワイルダー監督で、殆んど一人芝居の翼よ!あれが巴里の灯だ、アルフレッド・ヒッチコック監督の裏窓、同じくヒッチコック監督のめまいがお勧めです。

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映画 ミリオンダラー・ベイビー(2004) ヒューマン・ボクシング映画です

2014年05月15日 | 映画(ま行)
 昔からのハリウッド映画の得意分野にロッキーなどに代表されるようなボクシング映画があるが、一攫千金、アメリカンドリームを描くのにボクシングはとても扱いやすい素材であることは確かだろう。貧困から抜け出して成功者へ駆け上がるストーリーを描くのにボクシング映画はまさにうってつけ。そして今回紹介する映画ミリオンダラー・ベイビーも表向きはボクシングをする選手が女性というのが珍しいぐらいでタイトルから想像されるように従来通りのボクシングを題材にしたサクセスストーリーに思える。
 しかし、本作の監督であるクリント・イーストウッドは現実のアメリカを極めて冷静に描くことができる映画監督。そんな彼の手に掛れば、ボクシング映画を題材にしてもアメリカンドリームと言う名の夢物語をぶっ飛ばしてしまう。
 確かに中盤過ぎまではクリント・イーストウッド演じるジム経営が火の車である老トレーナーとヒラリー・スワンク演じる貧困生活から這い出そうとする30歳過ぎの女性ボクシング選手の二人三脚による世界チャンピオンを目指すボクシング映画の王道的ストーリー。しかし、後半は世界チャンピオンを目指すどころではなくなってしまう事態に陥ってしまう。この映画の本領発揮するのは勿論後半の方。アメリカン・ドリームを目指す部分は所詮は後半のインパクトを高めるための前振りの要素に過ぎないわけだ。
 この映画の衝撃的な結末は色々なところで語られていて、俺自身も脳ミソが揺れるぐらいの衝撃を受けたひとり。しかし、実のところ多くの日本人はこの映画の本当の凄さを理解できていない。なぜならカトリックに対する宗教知識、アイルランドの民族及び歴史、プアホワイトに属するアイリッシュ系アメリカ人のこと等を理解していないと衝撃的な結末の凄さを理解できないからだ。特に日本人は宗教に対して無関心な人が多いために、クリント・イーストウッドヒラリー・スワンクの選択した行動の重さが理解できない。ちなみにこのような偉そうなことを書いている俺自体が肝心な知識が欠如してしまっているというのが1番の問題だ。

 さて、スポコン、サクセスストーリーを期待させておいて、観ている者をボロボロに打ちのめすストーリーとはいかなるものか。
 ボクシングジムを経営しているトレーナーでもあるフランキー(クリント・イーストウッド)は多くの優秀なボクサーを育てるが、マネジメントの拙さがたたり、ジムの経営はニッチモサッチモいかない状態の上に家族からも見捨てられているのも同然の生活をしていた。 
 ある日のこと、彼のジムに30歳過ぎの女性マギー(ヒラリー・スワンク)が彼の門をたたきにやって来る。当初フランキー(イーストウッド)は女性の入門はお断りと頑なに彼女を無視し続けるが、次第に彼女のボクシングに対する熱心さに惹かれコーチすることになる。フランキー(イーストウッド)の指導のもとでメキメキ頭角を現すマギー(スワンク)はやがて世界チャンピオンの座を狙うまでに成長。そして、いよいよ百万ドルのファイトマネーを賭けた戦いに臨むのだが・・・

 この映画の前半はひたすらアイルランドを強調するシーンが度々出てくる。クリント・イーストウッド演じる老トレーナーが読書する本は英語で書かれた本ではなく、古きアイルランドの母国語であるゲール語。いかにイーストウッド演じる老トレーナーがアイリッシュ系(アイルランド系)であることに民族的な誇りを持っていることがわかる。
 そしてアイルランドと言えば宗教はカトリック、そして長年に渡りイギリスと戦争を繰りひろげてきた因縁がある。そのような背景があるからこそ、ヒラリー・スワンク演じるボクサーがアイルランドの象徴である緑色のガウンをまとい、イギリス人ボクサーと戦うシーンは観客も観ている我々も大いに盛り上がる。
 そしてアイリッシュ系アメリカ人のアメリカ国内での立ち位置もこの映画では知らされる。ヒラリー・スワンク演じる女性の出自が貧困生活から抜け出せない白人社会の最下層に属するアイリッシュ系であることが、それとなく知らされる。貧乏生活から抜け出そうとボクシングに活路を見いだすヒラリー・スワンクと、すっかり働く意欲を無くし、福祉に頼りきった生活に満足している彼女の家族たちの対比が非常に意味深だ。このことが後半の悲劇的なシーンを大いに増長させる。
 そしてやはりと言うべきか本作に限らずクリント・イーストウッド作品の全般のテーマである宗教について。この映画でもカトリックの教会のシーンが度々出てくる。この宗教的な背景、特にカトリックを強調することによって、ラストシーンの行動の重さが際立ってくる。
 俺から見れば全く希望の欠片も感じられない救いようのない映画だが、本国アメリカでは大ヒットした。後味が悪いという理由で大ヒットするわけがなく、しかもアカデミー賞では作品賞、監督賞などに輝いているように名作の扱い。なぜこの映画が大ヒットしたのか、多くの映画賞を受賞したのか。そのようなことを考えるだけでも多くの時間を費やしてしまう。

 正直お気楽に観られる映画では無いが、民族、歴史、家族愛、チャレンジ、社会、尊厳死等など、あらゆるテーマが内包されている映画。何だか他にもこの映画について書かなければならないことが抜け落ちているような気もするのだが。とにかく思いっきり余韻に浸ることをできる映画としてミリオンダラー・ベイビーはお勧めだ

ミリオンダラー・ベイビー [DVD]
クリント・イーストウッド,ヒラリー・スワンク,モーガン・フリーマン
ポニーキャニオン


 監督、主演は今さらこんなところで説明する必要がないクリント・イーストウッド。比較的初期の彼の監督、主演作品でガントレットをお勧めしておこう。ツッコミどころ満載ですが、かなり面白い部類に入るアクション映画です。

 女性主人公を演じるのが今や名女優として風格すら漂うヒラリー・スワンク。クリストファー・ノーラン監督、アル・パチーノ、ロビン・ウィリアムズ競演のインソムニア、ブライアン・デ・パルマ監督、ジョシュ・ハーネット、アーロン・エッカート、スカーレット・ヨハンソン競演のブラック・ダリアがお勧め。他にボーイズ・ドント・クライを観れば、この人の凄さがわかる。

 そしてこの映画のナレーター的な役割を担っているのが名優モーガン・フリーマン。多くの名作に出演する名優。今回はベン・アフレックが監督したゴーン・ベイビー・ゴーンを超お勧め作品として挙げておこう。

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映画 マリリン 7日間の恋(2011) とっても羨ましい7日間です

2014年03月10日 | 映画(ま行)
 昼は綾瀬はるかとデートして、夜は壇蜜と・・・。ついつい、こんな妄想をしてしまう俺ってアホか伝説的なハリウッド女優として今でも何かと語り継がれることの多いマリリン・モンロー。モンロー・ウォークに代表されるようなあのセクシーな歩き方、そして可愛い声、キュートなしぐさ、屈託のない明るさ等で今でも多くの男性を魅了する1950年代のハリウッドを代表する大女優だ。今、フッと思い出したのだが実は俺とマリリン・モンローには、ある共通点があることに気が付いた。片いっぽうは世界的に呼ばれ、もう片いっぽうは巷の間だけ?という違いはあれど、それは両者ともにセックスシンボルと呼ばれていることだ。
 さて、少々話は変わり、マリリン・モンローが主演した1957年制作の王子と踊り子において第三助監督を務めたコリン・クラークが、映画製作の舞台裏及び彼女と夢のような1週間を過ごした様子を鮮明に描いた原作の映画化が今回紹介する映画マリリン 7日間の恋。今でも存在するマリリン・モンローのファンの人は、嫉妬半分でコイツの書いていることホントかよ!と思えたりするが、ストーリーはなかなかの純愛の展開を魅せる。
 しかも、世界的に超有名女優と世間的には全く知られていない男性の身分違いの恋愛映画と聞けば、「な~んだ、またか」なんて思ったりで新鮮さがまるでないが、この映画で見ることができるマリリン・モンローの大スターゆえのプレッシャーに押し潰されそうになる様子、単なるカワイ子ちゃんのイメージの強い彼女だが本当は女優としてのプライドを人一倍持っていたことに対する驚き、そして演技法をめぐっての名優ローレンス・オリヴィエとの対立など、非常に多くの見せ場がある。マリリン・モンローに興味がある人限定ではなく、イメージしているよりかは万人向けに仕上がっている映画だ。もちろん目の前に突然、憧れている女優が現われることを妄想、では無く願望を持っている人は当然の如く必見だ。

 世紀の大スターとごく普通の青年との恋、そして映画の中では決して見せないマリリン・モンローの苦悩する姿に驚きを感じざるを得ないストーリーとは如何なるものか。
 1956年、ローレンス・オリヴィエ(ケネス・ブラナー)監督、主演の映画『王子と踊り子』に出演するためにハリウッドからイギリスにマリリン・モンロー(ミシェル・ウィリアムズ)が劇作家でもある夫アーサー・ミラーセールスマンの死で有名)(ダグレイ・スコット)と一緒にやって来る。
 しかし、マリリン・モンロー(ミシェル・ウィリアムズ)はローレンス・オリヴィエ(ケネス・ブラナー)とは全くソリが合わず対立を繰り返し、しかも夫のアーサー・ミラー(ダグレイ・スコット)とは、ちょっとした疑惑から不仲になってしまい夫は帰国してしまう。
 ますます精神不安定になっていくマリリン・モンロー(ミシェル・ウィリアムズ)だったが、そんな彼女の唯一の慰めになったのが第三助監督という使いパシリに過ぎない下っ端の若造であるコリン・クラーク(エディ・レッドメイン)とのラブラブデートだったのだが・・・

 とにかくミシェル・ウィリアムズのマリリン・モンローそっくりさんの演技が凄い。最初、この人がマリリン・モンローを演じると聞いた時は嘘だろ~と思ったりしたのだが、全くの俺の不徳の致すところ。今度はこの人にオードリー・ヘプバーンを演じてもらおう。
 しかし、この映画は脇役も豪華。イギリスを代表する名優ケネス・ブラナー、人気バリバリのアイドル的な若手女優エマ・ワトソン、近年益々出演作品が多くなっているような気がする重鎮的存在のベテラン女優ジュディ・デンチなど英国出身の俳優達がしっかりと脇を支えている印象だ。
 そしてロケ現場にイートン校ウィンザー城が使われているのも見どころの一つ。そしてマリリン・モンローと噂になったフランスのシャンソン歌手のイヴ・モンタンの名曲枯葉の使い方なんかは泣かせる。
 単なる恋多き女性のマリリン・モンローの7日間を描いただけの伝記映画として片付けるのが勿体ない映画。本当は彼女の生き様が7日間に凝縮された人間ドラマとして観るのが正しい観賞方法。マリリン・モンローに興味がある人は勿論だが、それほど彼女に興味が無い人にとってもマリリン 7日間の恋はお勧めだ

マリリン 7日間の恋 [DVD]
ミシェル・ウィリアムズ,ケネス・ブラナー,エディ・レッドメイン,ドミニク・クーパー,エマ・ワトソン
角川書店


 マリリン・モンローを演じるのがミシェル・ウィリアムズ 。正直ナイスバディだと思えませんが、やたら裸のシーンが多い印象がある女優さん。ライアン・コズリング主演のブルーバレンタイン、アン・リー監督のブロークバック・マウンテンは一度は観ておきたい作品。

 ローレンス・オリヴィエを演じるのがシェイクスピア俳優として英国で最も尊敬されている俳優と言っても過言ではないか。ロバート・デ・ニーロ、ヘレナ・ボナム=カーター共演で監督をこなしたフランケンシュタインがお勧め。

 ベテラン女優のジュディ・デンチが出演しています。007シリーズのMが有名。彼女のお勧め作品は心暖まるチョコレート映画のラッセ・ハルストレム監督、ジュリエット・ビノシュ、ジョニー・デップ共演のショコラ、ケイト・ブランシェット共演のこわ~い女の戦いが堪能できるあるスキャンダルの覚え書き、エリザベス女王1世を演じた恋におちたシェイクスピアがお勧め。

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映画 マンデラの名もなき看守(2007) 感動的秘話です

2013年12月26日 | 映画(ま行)
 先日、偉大なる政治家でありノーベル平和賞受賞者でもあるネルソン・マンデラ元南ア大統領が亡くなられた。御歳95歳と聞けば大往生であるが、その内の27年間を刑務所暮らしを強いられたことを想うと彼の人生は苦難と戦いの日々。特に反アパルトヘイト運動の急先鋒として戦ってきた闘士から南アフリカ共和国初の黒人大統領にまで登りつめた彼の生き様は、俺のように平々凡々にただ時が過ぎていく人生を送っているだけの人間にとっては想像を絶するような人生だったことは確かだ。
 もし彼の存在が無ければアメリカも今頃はまだ黒人の大統領が誕生していない可能性が高いし、南アフリカにおいては未だにアパルトヘイト政策(人種隔離政策)が続いているかもしれない。そういう意味では現在の世界に多大な影響を与えた人物であるともいえるだろう。
 そして彼の偉大であるところは決して長生きしたことでもなければ、刑務所生活が長かったことでもない。自分たち黒人を虐げた白人社会との融和を図ったこと。白人に対し復讐する気など毛頭も見せず、決して怨み事も言わない。彼のような人間が世界各国のリーダーになれば戦争など無くなってしまうのではないかと思わせる。ノーベル平和賞を『お前がもらう資格があるの?』なんて思える奴が多く居るが、彼のノーベル平和賞受賞に関しては俺も文句の言いようがない。
 過去の出来事についてグタグタ文句を言うような日本のお隣の国に、ネルソン・マンデラの偉大なる思想を誰か教えてやれ

 そんなネルソン・マンデラの刑務所生活及び彼の偉大さがよく理解できるのが今回紹介するマンデラの名もなき看守。よ~くタイトルの意味を考えればわかるのだが、実は本作はネルソン・マンデラを主人公にした映画ではない。ネルソン・マンデラの刑務所生活の担当になった白人の名もなき看守が主人公。ネルソン・マンデラ名もなき看守の実話を基にしている交流が描かれた作品というのが本当のところだ。

 さてネルソン・マンデラと彼の担当となった看守の感動的秘話とでも言うべき知られざる交流とは如何なるものだったのだろうか。
 1968年、アパルトヘイト政策が真っ只中の南アフリカ共和国において。白人の看守であるジェームズ(ジョセフ・ファインズ)は幼い頃に黒人の少年と遊んでいた時に身につけたコーサ語を話せる能力を認められて、反アパルトヘイト政策運動の指導者であり、国家反逆罪で終身刑になっているネルソン・マンデラデニス・ヘイスバード)の担当者として、彼が収監されているロベン島の刑務所に妻グロリア(ダイアン・クルーガー)と息子と娘と一緒にやって来た。コーサ語を話せることから、マンデラ(ヘイスバード)や他の黒人の話をスパイすることが目的でジェームズ(ファインズ)にとっては出世街道であり、妻のグロリア(クルーガー)ともども喜んでいた。
 しかし、刑務所内でのネルソン・マンデラ(ヘイスバード)の威風堂々たる姿及び人間性に触れていくうちに、いつしかジェームズ(ファインズ)はマンデラ(ヘイスバード)の理想とする南アフリカの将来像に自らも共感を抱くようになって行くのだが・・・

 実はこの映画の大きな見どころの一つとして、ジェームズ(ジョセフ・ファインズ)がマンデラ(ヘイスバード)に対して、ほんの少しの思いやりを見せた行動によって自らを危機に陥れることになってしまうところ。白人優遇の人種差別政策と言っても、時にはその政策が白人自身にも刃を向けることがあるということがよくわかる。ジェームズ(ファインズ)が次第にマンデラ(ヘイスバード)に心酔していくと同時に自らの境遇も危なくなっていく場面は非常にサスペンスフルに描かれていて退屈しない。
 そしてネルソン・マンデラを演じるデニス・ヘイスバードの演技が存在感が抜群で良い。ネルソン・マンデラを描いたもう一つの映画であるインビクタス/負けざる者たちでマンデラを演じたモーガン・フリーマンの評価がかなり高いが、個人的な見解としてデニス・ヘイスバードの演技の方が勝っているし、マンデラ自身にやや似ている雰囲気が彼の方がある。
 そして本作のネルソン・マンデラの台詞や行動は我々日本人にとっても色々と教えられることがたくさんある。特に爆発テロが起きる件で『暴力には暴力で対抗する』なんて台詞があるが、非武装論を唱える日本人のバカ左翼に聞かせてやりたい台詞だ。さらに獄中に居続けていても南アフリカに居る黒人運動家に指示を行うことができて、彼を死刑にできない(彼が獄中で死んだとなると黒人達の暴動を抑えることができないため)白人達の苛立ちを見ていると恐るべきカリスマ性を備えていたことがよくわかる。
 
 偉大なる政治家の条件として単に頭が良いだけではダメであり、自らの命を投げ出す覚悟、更にはそれ以上に己の家族が犠牲になる事でさえも覚悟しなければならないということがこの映画を観ればよくわかる。そしていかなる困難があってもブレない信念。そして祖国を想う愛国心も必要だ。オッと今気付いたが最近の日本の総理大臣に全く欠けている条件ばかりじゃないか。
 ネルソン・マンデラの凄みを多少なりとも理解したい人、人種差別政策の愚かさをもっと知りたい人、いつまで経っても過去の恨みを忘れる事ができない人にはマンデラの名もなき看守は感動的なシーンも多くお勧めだ

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 監督はデンマーク映画界と言うより世界的有名なビレ・アウグスト。マックス・フォン・シドー主演のペレがお勧め。そしてミュージカルではないリーアム・ニーソン、ジェフリー・ラッシュという本格的実力派同士の熱演が見れるレ・ミゼラブル(1998)、そしてメリル・ストリープ、グレン・クローズ、ジェレミー・アイアンズ、ウィノナ・ライダー、アントニオ・バンデラスなどの超豪華キャストが楽しめる愛憎の大河的ドラマの愛と精霊の家がお勧め。

 主演のジェームズ看守を演じるのがジョセフ・ファインズ。この人を有名にした恋に落ちたシェイクスピアがお勧め。他にケイト・ブランシェット主演のエリザベス、チェン・カイコー監督がハリウッドで撮ったキリング・ミー・ソフトリーはへザー・グラハムとのエロシーンが楽しめるだけでお勧め。

 ネルソン・マンデラを演じるのがデニス・ヘイスバード。ジュリアン・ムーア、デニス・クエイド共演のエデンの彼方にがお勧め。

 ジェームスの奥さんを演じるのがドイツの美人女優ダイアン・クルーガー。ちょっと渋いドラマから大作に出演する現在ノリノリの女優。第一次世界大戦における感動的な裏話を描いた戦場のマリア、ブラッド・ピット、エリック・バナ、オーランド・ブルーム共演の歴史劇トロイ、ニコラス・ケイジ主演のナショナル・トレジャー、ベルギーの奇才ジャコ・ヴァン・ドルマル監督のミスター・ノーバディ、クエンティン・タランティーノ監督、ブラッド・ピット主演のイングロリアス・バスターズなどお勧め多数です。

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映画 道(1954) フェリーニと言えばこれ!

2013年07月31日 | 映画(ま行)
 映画の常識として必ずしも名作イコール面白いとは限らないということが挙げられる。俺もこれは名作だと聞いてワクワクしながら観たものの、あまりにものつまらなさにショックを受けて、立ち上がれない事がよくあった。しかし、今回紹介するは名作と呼ばれることに誰もが納得し、自分の人生を登場人物に重ね合わせることができる傑作だ。

 
 実はこの映画は5、6回ぐらいは観ているのだが、何だか観るたびに印象が変わる。絶望的に感じる時もあれば、意外に楽しいじゃんと思ったり、どうしてこうなるの?と思ったり。やっぱり名作と呼ばれる映画は、これぐらい奥が深くないといけない。ちなみに今回観て感じたことは、大いなる人生賛歌の映画のように思えた。確かにラストはハッピーエンドとは言えないが、人生に絶望している人が観ると、私だってこの世の中の役に立っているんだと思えるシーンや台詞がたくさん連発する

 そして何と言っても、バンクーバー五輪のスケートでも高橋大輔選手が起用した音楽が、とにかく名曲過ぎる。ゴッド・ファーザー、太陽がいっぱい等の映画音楽の巨匠として知られるニーノ・ロータの最高傑作だと個人的には思っている。本当に心に染みるし、一人でボッ~としていると勝手に心の中で流れてくる音楽だ。

 さて、きっと誰もがこの映画は本当に名作だ、と思えるストーリーとは如何なるものか?
 ぼろいオートバイで旅回りをしている大道芸人ザンパノ(アンソニー・クイン)は、安いお金で助手として、少々頭は弱いが純粋な心を持ったジェルソミーナ(ジュリエッタ・マシーナ)を雇う。
 しかし、ザンパノ(クイン)は粗野で横暴な上に、ジェルソミーナ(マシーナ)はまるでザンパノ(クイン)のストレス解消の道具のような扱い。たまらずにジェルソミーナ(マシーナ)は逃げ出すのだが、捕まっては酷い仕打ちを受けてしまう。
 
 ザンパノ(クイン)とジェルソミーナ(マシーナ)はキ印(リチャード・ベイスハート)と呼ばれるチョット口数の多い陽気な綱渡り芸人のいるサーカス団と合流する。ジェルソミーナ(マシーナ)はキ印(ベイスハート)と親しく話したり、彼の弾くバイオリンの音楽(この音楽が良い!)に心が惹かれたりするのだが、ザンパノ(クイン)とキ印(ベイスハート)の折り合いは悪く、2人は警察沙汰の事件を起こしてしまう。
 サーカス団は去っていき、ザンパノ(クイン)が刑務所の中にいる間、キ印(ベイスハート)はジェルソミーナ(マシーナ)に素晴らしいアドバイスをして去っていき、ジェルソミーナ(マシーナ)はザンパノ(クイン)が刑務所から出てくるのを一人で待ち続けるのだが・・・ここから先は感動的なシーンが連発だ

 キ印(リチャード・ベイスハート)が、何の取り得も無いどころか自分の人生に絶望しているジェルソミーナ(ジュリエッタ・マシーナ)に語る台詞には涙が出る。キ印(ベイスハート)が石ころを取り出して『こんな石ころでも、たぶん何かの役にたっているんだよ』。ひたすら軽くて、ノーテンキそうなお前が言うな!とツッコミを入れたくなるが、こんな軽い奴が言うからこそ逆にたまらない。だからこそジェルソミーナ(ジュリエッタ・マシーナ)みたいな、純真な人間には心に響くのだ。そしてその台詞は、多くの人生に絶望している人、自分の存在意義がまるでわからなくて悩んでいる人には勇気を与えてくれるはずだ。

 しかし、この映画はそんな素晴らしい台詞が出てきてからも、その後の展開も辛辣だ。再び笑顔と生きる希望を見出したジェルソミーナ(マシーナ)のその後にたどる運命は悲しく、そしてひたすら横暴だったザンパノ(アンソニー・クイン)が最後にやっと人間らしさを取り戻すが、その後の彼の人生を想像すると、ひたすら棘の道を歩くのみ。生きて罪を背負う人生を想像させる。
 しかし、この映画には人間愛が詰まっている。ジェルソミーナ(マシーナ)が時々見せる笑顔、そして楽しい動き、彼女の純真さに感動し、大きな罪を犯してしまったザンパノ(クイン)に対してはペナルティを与えられながらも、人間らしさを取り戻せた。
 絶望的なぐらい真っ暗な中に、ほんの僅かな小さな光が輝いている映画、ちなみに俺もこの映画を観るたびに生きる気力がフツフツと湧いてくるし、何の取り得も無い俺でも、きっと役に立っているんだと気持ちが前向きになれる。最近はショックなことが多すぎて立ち直ることが出来ない人には是非お勧めしたい映画。もちろん未だ本作を観たことが無い人にもお勧めです

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ジュリエッタ・マシーナ,アンソニー・クイン,リチャード・ベースハート,アルド・シルヴァーナ
IVC,Ltd.(VC)(D)


 監督はイタリアが生んだ世界映画史に名を残す巨匠中の巨匠フェデリコ・フェリーニ。個人的には初期の作品に感動する映画が多いし、俺の好みの映画が多い。苦しみ、もがきながらもダラダラした時を過ごしている大人達を描いた青春群像、こんな純粋な心を持った女性が居るのか、と思わせるカビリアの夜、イカサマ宗教家を描いた、そして我々日本人が大好きなローマを舞台に自暴自棄な人生に身を費やすマルチェロ・マストロヤンニ主演の甘い生活がお勧め。

 主演のザンパノはアメリカの俳優アンソニー・クインが演じています。この人の他の有名作はデヴィッド・リーン監督のアラビアのロレンスが有名でお勧め。他にあんまり有名では無いですが、ヘンリー・フォンダ、リチャード・ウィドマークと競演している西部劇ワーロックは、なかなか現代のアメリカの問題を考えさせられる作品でお勧め。

 ジェルソミーナを演じるのがフェリーニ監督の実際の奥さんでもあったジュリエッタ・マシーナ。本作品でも彼女は奇跡的な名演技を披露しています。同じくフェリーニ監督のカビリアの夜がフェリーニ監督のところでも述べましたが、やっぱりお勧め。

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映画 モーターサイクル・ダイアリーズ(2004) 革命家チェ・ゲバラの若き日の旅行映画

2013年07月21日 | 映画(ま行)
 ちょっと昔にスティーブン・ソダーバーグ監督、ベニチオ・デルトロ主演のチェ 28歳の革命チェ 39歳の別れと今でも南米を中心に世界中で人気のある革命家チェ・ゲバラを描いた二部作があり、日本でもヒットしたのはまだ記憶に新しい?。
 しかし、正直なところあの映画を観ただけでは、どうしてチェ・ゲバラが本気で世界を変えようと革命に情熱を燃やしたかは、わかりにくいと思う。
 そんなチェ・ゲバラニ部作の前日譚にあたり、彼の中に革命家としての熱い情熱を突き動かす切っ掛けが描かれているのが、今回紹介する映画モーターサイクル・ダイアリーズ
 実は俺の本名をこんな所で明かすことは出来ないが、昔、南米出身の人達と仕事をしていた時に、俺の事をチェ・バラダと呼ばせていたのが非常に懐かしい思い出だ

 個人的な余談はどうでも良く、本作についてだがチェ・ゲバラが前述したとおり革命家に目覚める前の話。南米大陸を友人と2人で12,000キロもの距離を縦断するストーリー。その後の彼の革命家としての果てしなき闘争、そして過酷な運命を知る者にとっては、なかなか意味深で感動的シーンが連発だ。

 チョイチョイ喘息を起こしてしまうチェ・ゲバラの人生に多大な影響を与えた南米大陸縦断旅行とは如何なるものか。
 1952年、アルゼンチンのブエノスアイレスに住む医学生エルネスト(チェ・ゲバラ)(ガエル・ガルシア・ベルナル)は、少々調子乗りの友人アルベルト・グラナード(ロドリゴ・デ・ラ・セルナ)と一緒に、1台のぼろバイクで南米縦断12,000キロ極貧旅行に出かける。
 しかし、2人は旅行中に最下層の労働者、ハンセン病患者等との出会いを通して、南米諸国の社会、文明などあらゆる問題点に直面する・・・

 途中でバイクが動かなくなったり、南米独特の大自然の脅威に曝されたり、金が無くてマトモな所で泊まれなかったりでけっこう大変な目に遭っている。しかし、青春映画っぽさも感じるから大して悲壮感もないので決して途中で見飽きることもない。そしてマチュピチュ遺跡が見られるなど、南米大陸を感じられるのもこの映画の魅力の一つだ。

 正直、本作を観る前にチェ・ゲバラの事をちょっとぐらいは勉強してから観た方が良いと思うが、チェ・ゲバラと言う名前を聞いても全くピンと来ない人でも、青春ロードムービーとして楽しめ、ちょっと旅行した気分にぐらいはなれる映画です

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 ちなみに監督はブラジル人のウォルター・サレス。この人のお勧めはビハインド・ザ・サン。マジでこの映画は心が震える超お勧め映画だ

 主演のチェ・ゲバラを演じるのがガエル・ガルシア・ベルナル。ちょっとひ弱そうなイメージが女性の心を鷲掴みにしている印象のあるラテン系俳優。この人のお勧めは、犬好きにお勧めのアモーレス・ペロス、そして抜群に面白いサスペンス映画Dot the i ドット・ジ・アイがお勧め

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映画 ミスター・ノーバディ(2009) 人生選択の連続です

2013年06月23日 | 映画(ま行)
 今までの人生を振り返ると『あの時、ああすれば良かった、こうすれば良かった、それなのに、ああ~それなのに』と後悔することの連続。しかし、人生なんていうのは常に選択の連続。たとえ違う選択をしたとしても果たして現在よりも良い結果が出ただろうか?その一瞬では正しい選択をしたとしても、次から次へと膨大な枝分かれ状になって選択肢が増えてくるが、その時果たして自分は正しい選択を常に行えるのか?そもそも正しい選択とは何か?俺の人生において、目の前に一本道が開けていれば、こんなにも悩むことは無いのに。例えそれが地獄へ向かう一本道でも

 そんな俺と同じような悩みを抱える人間にお勧めしたいのが、今回紹介する映画ミスター・ノーバディ。ゆうに百歳を超えた老人が死を迎える寸前に語る、今まで経験した数々の選択場面とは如何なるものだったのか?人生の選択の意味をわかったとき、悩める観客は大いに感動する。逆にサッパリ意味がわからなかった人は、更なる深い悩みに陥ってしまう。

 
 しかし、この映画の凄いところは選択肢の結末を全てを140分で描き切ってしまうところ。普通の映画なら二者択一の選択があれば、どちらか片一方しか描かない。しかし、この映画は最初に二つの選択肢があれば、両方とも描いて、さらにその先に枝分かれになっていく選択肢の結末を全て描き切ったこと。140分の中で一体何本のストーリーを作ってしまったのか?

 
 どれだけ長生きしても人生はたった1つだけのはず、果たしてこの老人が語る普通の人間には理解できない凄まじい人生とは如何なるものか?
 時代は2092年の近未来。科学の大いなる進歩のおかげで人間は死ぬことがなくなった素っ頓狂な世界。しかし、たった1人だけ、そんな有り難い恩恵を受けずに、118歳まで生き続けている老人ニモ(ジャレッド・レト)は今や死ぬ寸前。最後の死人となるニモ(レト)の様子は全世界的に報道されていて、死なない人間たちの間では大いなる興味の的だ。

 ご臨終間近のニモ(レト)の元に記者がやって来て、彼のこれまでの人生を知るためにインタビューするのだが、ニモ(レト)の語る今までの人生はどう考えても論理破綻している。両親が離婚したとき『父に付いて行ったのか、母に付いて行ったのか』『いったい、3人のオネエちゃんのうち誰と結婚したのか、または愛し合ったのか』等が全く理解できない。
 まるで、あらゆることを同時進行でこなしてしまったニモ(レト)とは、そもそも何者なのか、それともすっかりボケてしまった老人の話を聞かされただけなのか?
 果たしてニモ(レト)が語る多くの人生のうちで、真実は一体・・・

 冒頭から鳩がエサを食べる実験が出てくるなど、色々とイマジネーションを刺激するシーンがたくさん出てくる。そして何だか色々と哲学的な台詞が出てくるのが非常に印象的。そんな印象的な台詞として一つ例を挙げると・・・悲しいことに何一つ覚えていない。
 カメラワーク、色彩の使い方、映像など色々とテクニックを使っているところも、この映画の見所の一つ。いくつかのストーリーが平行に進み、先へ進むほどさらに枝分かれ状になっていくストーリーは観ていてパニックになるどころか、色々な映像テクニックの御かげで、それほどややこしくも無いので、1人だけ意味がわからず置いてけぼりを喰らうことはないだろう。

 しかし、ニモ(ジャレッド・レト)の彼女役が3人出てくるが、その内の1人であるサラ・ポーリーが、えらく太ったように見えたのが気になった。あれはマジで太ったのか、それとも役作りか?個人的には非常に気になった。
 今までの人生を大いに後悔している人、これからも続く人生について不安に感じている人、きっとミスター・ノーバディを観れば、まるで仏陀のごとく煩悩から解放されると思います

ミスター・ノーバディ [DVD]
ジャレット・レト,ダイアン・クルーガー,サラ・ポーリー
角川書店


 監督はベルギーの俊英、ジャコ・ヴァン・ドルマル。まだ3本しか監督していませんが、トト・ザ・ヒーローはお勧め。ミスター・ノーバディと同じような場面もありました。これからも期待できる映画監督です。

 主演のニモを演じるのがジャレッド・レト。この人のお勧めはダーレン・アロノフスキー監督、ジェニファー・コネリー競演の麻薬、薬物の怖さを描いたレクイエム・フォー・ドリームがお勧め、他にアンドリュー・ニコル監督、ニコラス・ケイジ競演のロード・オブ・ウォーがお勧め。

 ニモの彼女役でダイアン・クルーガーが出演しています。金髪碧眼の俺の好みにドストライクの女優。ハリウッド以外にもあらゆる国の映画に出演する国際女優。ブラッド・ピット主演のトロイ、ニコラス・ケイジ主演の大ヒット映画ナショナル・トレジャー、クエンティン・タランティーノ監督のイングロリアス・バスターズで有名。ここでお勧めするのは戦場のマリア、そしてビレ・アウグスト監督の主にネルソン・マンデラの刑務所生活を描いたマンデラの名もなき看守がお勧めです。

 チョッと前述したサラ・ポーリー。最近は監督にも挑戦するなどマルチな活躍をしています。ちなみに死ぬまでにしたい10のことでスターになった印象があります。
 他にイザベル・コイシェ監督、ティム・ロビンス競演のあなたになら言える秘密のこと、そして子役時代に出演したテリー・ギリアム監督のバロンがお勧めです

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映画 ミザリー(1990) 売れっ子作家ならではの恐怖が・・・

2013年05月14日 | 映画(ま行)
 超売れっ子作家であるスティーヴン・キングの原作は多くが映画化されているが、ちまたの評判ではほとんどの映画は失敗作という烙印を押されてしまっている。しかし、彼の小説の面白かった映画化作品を思いつくまま挙げてみるとスタンド・バイ・ミーグリーン・マイルショーシャンクの空にキャリーデッドゾーンシャイニングミスト。これだけ多くあれば個人的には充分だろうと思うのだが、なかなか世間の目は非常に厳しい。

 ホラー小説家として著名なだけに映画も怖い内容の作品が多いが、今回紹介するミザリーは現実に起こっても不思議ではないリアルさがある怖い映画だ。しかし、本作の主人公のような怖いおもいをしてしまうのは、超売れっ子作家限定。スティーヴン・キングだからこそ書けた小説であり、売れない小説家はこの映画の主人公のような心配は全くの無用。
 
 さて、売れっ子作家に襲いかかって来るとんでもない悪夢のようなストーリーとは如何なるものか。
 ポール・シェルダン(ジェームズ・カーン)はミザリー・シリーズでベストセラーをかっ飛ばした超人気作家。しかし、彼は次へのステップとして新作を創るために、ミザリー・シリーズの主人公ミザリーを死なすことで、このシリーズを終りにする。
 ポール(カーン)は題名はまだ決まってないが新作を書き上げて、ニューヨークにいる編集長の元へ向かおうとする。しかし、雪道を楽しい音楽を流しながら猛スピードで突っ走ると、崖から転落してしまい意識不明の重体に陥ってしまう。

 ポール(カーン)が意識を取り戻すと、ベッドの上。足を動かせない重傷を負いながらも、事故現場の近くで暮らす元看護婦でポール(カーン)の大ファンで熱狂的なミザリー・シリーズの愛読者であるアニー(キャシー・ベイツ)によって助けられたのだ。
 彼はアニー(ベイツ)のおかげで命が助かり、しかも彼女は自分の本の熱狂的なファンであり、しかも献身的な介護をしてくれてラッキーだと思ったのも束の間、ミザリー・シリーズの結末を知ったアニー(ベイツ)は突如、狂気的な態度に変わり、ポール(カーン)に悪夢が襲い掛る

 とにかくアニー(キャシー・ベイツ)の顔のドアップのシーンが多いのだが、その表情が怖い。しかし、個人的にもっと怖かったのが彼女の台詞。全く身動きが出来ないうえに、しかも外界と連絡が取れない状況でにおいて、あのような台詞を聞かされ続けられたら、俺だったら雪山で意識不明のまま凍えて死んだ方がマシだと思うくらい怖い。
 しかしながら、俺と違って決して諦めないポール(カーン)は自由に身動きが出来ないながらも、あの手この手と反撃の手段をひねり出す。どれもあと一歩のところで不発に終わり続けるのが、この映画の楽しいところ。万策尽きたと思ったいたら、売れっ子作家の設定が最後の最後にやっと効果が出てくるのだ。
 かなり痛いシーンも出てきますが、意外にバイオレンスは少なめ。日頃の男性の行動にうっ憤がたまっている女性にこそミザリーは、お勧めしたい映画です

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キャシー・ベイツ,ジェームズ・カーン,ローレン・バコール
20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン


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キャシー・ベイツ,ジェームズ・カーン,ローレン・バコール
20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン


 監督は名作、ヒット作多数のロブ・ライナー。大人の恋愛映画恋人たちの予感、音楽が有名な青春映画の代表作スタンド・バイ・ミーがお勧め。

 悲惨な目に遭う売れっ子作家ポール・シェルダン役に名優ジェームズ・カーンゴッド・ファーザーでの気性の激しい長男ソニー役が有名でお勧め。他にゴッド・ファーザーと同じくフランシス・フォード・コッポラ監督の友よ、風に抱かれてが渋い反戦ドラマです。

 こわ~いアニーを演じるのがキャシー・ベイツミザリー以降、一躍トップスターの仲間入りを果たした名女優で現在も活躍中。保守的、偏見的なアメリカ南部を舞台にしながらも心暖まるユーモアが光るフライド・グリーン・トマト、ジャック・ニコルソン主演のアバウト・シュミットでの彼女はトンデモないシーンを見せ付けますが、映画自体は生きる希望に溢れた内容でお勧めです。

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映画 マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙(2011) やっぱり凄い女性です

2013年04月24日 | 映画(ま行)
 20世紀を代表する政治家であるマーガレット・サッチャー元首相が先日亡くなられた。経済から精神までズタボロになった英国を救った偉大なる女性首相だと個人的には尊敬しているのだが、意外にも本国では相当な不人気振りなのが報道されている。
 徹底した新自由主義経済を推し進めた結果、大きな格差社会を生み出してしまったのは政治家として大きな失点だが、最近の日本の首相がどんな政策を行ったのかサッパリ思い出せない状態に比べれば、サッチャーが行った政策は非常に明快だ。

 
 スト権を行使して無茶苦茶な賃上げを要求する労働組合と徹底的に対峙し、『ゆりかごから墓場まで』と呼ばれる手厚すぎる社会福祉政策の縮小、大胆な規制緩和及び徹底的な国営化から民営化、そして自らの命を狙ってくるテロリストに屈しない態度、世界中に植民地を作ってしまったことに対する自虐史観からの脱却、そして領土侵犯に対しては戦争も辞さず軍隊を投入して奪還したフォークランド紛争等など。
 ちょっと、やり過ぎじゃねぇ~と思われる政策もあるが、ぶれない信念、強烈なリーダーシップは良くも悪くも日本の政治家も見習う点が多々あるのではないだろうか
 そんな英国のみならず世界中にも多大な影響を与えたマーガレット・サッチャーを描いた伝記映画が今回紹介するマーガレット・サッチャー 鉄の女の涙だ。

 
 その強硬的な振る舞いから鉄の女と呼ばれたサッチャー。そんな彼女の強烈な個性が発揮された政治姿勢、ドラマチックな展開を期待していたのだが、意外にも彼女の政治家としての描き方がアッサリ風。むしろ認知症を患い、既に亡くなっている夫の幻と会話をしているシーンが大部分を占めており、なんだか観ていて痛々しい。夫デニスとの微笑ましいやり取り、一国のリーダーとしての悩んでいる姿は従来の彼女のイメージとは異なる。個人的には政治家サッチャーとしての凄みをもっと観たかったのだが、とりあえずサッチャーと言う名前だけを知っている映画好きにはこれぐらいの描き方が妥当か。

 さて、強い女性の代表格とされるサッチャーだが、そんな彼女の内面に迫るストーリーとは如何なるものか。
 食料雑貨店を営む家庭に生まれたマーガレット・サッチャー(メリル・ストリープ)。彼女は同じ年頃の女性がお洒落をして楽しんでいる時、店の手伝いをしていた。そんな経験が彼女に質素倹約、自助の精神をもたらす。
 大学を卒業した彼女は、後の夫となるデニス(ジム・ブロードベント)と出会い、途中で選挙の落選を経験するも保守党の党首を経て、イギリス初の女性首相にまで駆け上がる。
 政治家として様々な困難な場面にも強烈なリーダーシップを発揮して克服していくが・・・

 男性社会の政治の世界に飛び込み、英国首相として国内のみならず世界を変えた女性マーガレット・サッチャー。日本の政治の世界ではまだ女性首相は誕生していないが、優秀な女性政治家がたくさんいる。日本も初の女性首相及び総理大臣誕生までもう少しだ、頑張れ。
 1人の人間の栄光と挫折を描いた伝記映画マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙。本来の政治主導とは如何なるものか、国民に媚びてばかりいるポピュリズム政治の愚かさ、本当の国益とは何か等々を考えさせられます

マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙 コレクターズ・エディション [DVD]
メリル・ストリープ,ジム・ブロードベント,アレキサンドラ・ローチ,ハリー・ロイド,オリヴィア・コールマン
Happinet(SB)(D)


 主演は本作品でもアカデミー主演女優賞に輝いたハリウッドを代表する名女優メリル・ストリープ。多くの名作に出演する彼女ですが、本作品でもマーガレット・サッチャーを見事に演じています。この人のお勧め作品はたくさんありますが、あえて1本だけ挙げるとソフィーの選択がお勧め。やっぱり1本だけでは足りないのでディア・ハンター永遠に美しく黄昏に燃えてマディソン郡の橋プラダを着た悪魔もお勧めしておきます

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映画 ミッドナイト・イン・パリ(2011) 古き良きパリを体験できる?

2013年04月12日 | 映画(ま行)
 毎年1~2本の映画を撮っているような気がする非常に多忙で多作なウディ・アレン監督。もう既に70歳代半ばを過ぎているが、最近の作品を観ていても、頭の柔軟さ、アイデアの豊富さには感嘆するばかり。しかも自虐ネタがますます絶好調で笑える。そんなウディ・アレン監督の作品の大ファンだと公言する人の期待に見事に応え、あるいはそうでも無い人にとっても、きっと楽しめるのが今回紹介する映画ミッドナイト・イン・パリだ。
 タイムトラベルを扱っている映画という点では、その種の作品ではバック・トゥ・ザ・フューチャーバタフライ・エフェクトなどのような多くの傑作があるのでそれほど大したアイデアを用いているわけではないのだが、世界中の人々が憧れるパリを舞台にしたことで、非常にお洒落で粋な映画が出来あがった。

 映画脚本家として、そこそこの成功を収めているギル(オーウェン・ウィルソン)だっただが、今は処女小説の執筆中でパニック気味。ギル(ウィルソン)は婚約者のイネス(レイチェル・マクアダムス)と彼女の両親と一緒にパリに旅行として来ていた。ギル(ウィルソン)はパリに憧れていて、特に世界中から芸術家達がやって来た1920年代のパリに憧れている。小説が売れたあかつきにはパリで暮らすことまで夢見ている。
 パリでの滞在中にイネス(マクダムス)の友人であるポール(マイケル・シーン)と出会い、一緒に観光するがギル(ウィルソン)は何かとポール(シーン)がデタラメな知識を語るのに嫌気がさし、しかもイネス(マクダムス)がそんなポール(シーン)に対して、尊敬の眼差しで見ているのにイラついてくる。

 そんなある日のこと、何かとイライラしていたギル(ウィルソン)は真夜中のパリを1人で歩いていると、見知らぬ人から車に乗るように誘われ、そのまま乗車すると行き着いた先は、驚いたことに憧れていた1920年代のパリ。そこには実在のF・スコット・フィッツジェラルド、アーネスト・ヘミングウェイ、パブロ・ピカソ、サルバドール・ダリ、ルイス・ブニュエル・・・等の錚々たる芸術家たちがいた。
 しかも、当時ピカソの愛人だったアドリアナ(マリオン・コンティヤール)の美しさに、ギル(ウィルソンン)は惹かれてしまい・・・

 冒頭でパリの街並みを写しだし、著名な芸術家がたくさん出て来たりするシーンはパリ好き、芸術好きにはたまらない。たくさん登場する実在した芸術家を全員知らなくても、1人でも知っていたらチョッとしたエピソード?が出てきたりして楽しめる。憧れの人に出会いたいという想いを叶えてくれるのが楽しい映画だ。
 他にも苦い恋愛、アメリカ人のパリに対する憧れ、逆に保守的アメリカ人のパリに対する考え方、時代的ギャップ、懐古主義的な考え方に対する皮肉なども描かれていて、インテリ層の人が観ても楽しめる。
 またウディ・アレンが出演している映画を多く観ている人には、オーウェン・ウィルソンの演技が笑える。

 文学、絵画、フランス史に詳しい人には大いに満足できて、所々では笑える。それでいてちょっぴりホロ苦いラストシーンも印象的。ウディ・アレン作品のファンは勿論楽しめ、そうで無い人も楽しめそうなミッドナイト・イン・パリはお勧めです

ミッドナイト・イン・パリ [DVD]
キャシー・ベイツ,エイドリアン・ブロディ,カーラ・ブルーニ,マリオン・コティヤール,レイチェル・マクアダムス
角川書店


ミッドナイト・イン・パリ [Blu-ray]
キャシー・ベイツ,エイドリアン・ブロディ,カーラ・ブルーニ,マリオン・コティヤール,レイチェル・マクアダムス
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 監督は前述したウディ・アレン。自分で監督した作品に出演することが多いことでも知られているが、実は出演していない時の方が面白い映画が多い。
 彼が出演している時の作品ではマンハッタン、ダイアン・キートン競演のマンハッタン殺人ミステリーが面白い。比較的最近ではヒュー・ジャックマン、スカーレット・ヨハンソン競演のタロットカード殺人事件がお勧め。
 彼が出演していない作品ではカイロの紫のバラがお勧めで、個人的に彼の作品では1番好きです。他にブロードウェイと銃弾がお勧め。

主演のギルを演じるのがオーウェン・ウィルソン。ウェス・アンダーソン監督のザ・ロイヤル・テネンバウム、ロバート・デ・ニーロ競演のミート・ザ・ペアレンツがお勧め。

 主人公が憧れてしまうアドリアナ役でマリオン・コティヤール。笑えるカーアクション映画のTAXiシリーズでのヒロインで有名。エディット・ピアフ〜愛の讃歌〜ではアカデミー主演女優賞に輝いてからは、今やノリノリの女優。クリストファー・ノーラン監督のインセプションダークナイト ライジングといった大ヒット作にも出演しています。

他にも多くの有名俳優が出演していますが、個人的には笑えたのがサルバドール・ダリの役でエイドリアン・ブロディが出演しています。彼の代表作となるどロマン・ポランスキー監督の戦場のピアニストが有名です。

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