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僕の時代にはすっかり反戦映画というのはおなじみになった。例えば第一次世界大戦を描いた西部戦線異常ないという古い名作があるけれど、ラストシーンの衝撃は忘れられない(その代わり他のシーンは忘れてしまっているが)。
他にもデビッド・リーン監督の戦場にかける橋、そしてベトナム戦争がらみではディア・ハンター、プラトーンなどまさに啖呵を切ったようにアメリカの敗戦を描いた作品が多く登場し、そして今年のアカデミー賞受賞作品ハート・ロッカーでは、ついにイラク戦争の反戦映画が生まれるようになった。
しかし、反戦映画が多く製作されていて僕らの時代(ちなみに僕は1971年生まれです)にはすっかり馴染みになっているが逆の戦意高揚映画をアメリカ映画において多々製作された現実をあまり知らない人が多いと思う
第二次世界大戦中の1940年代に多く製作されているようだが、僕が知る限りにおいて意外にも巨匠と呼ばれる監督作品の中に戦意高揚映画が多く撮られている。
例えば第一次世界大戦のアメリカの恐るべき実在のヒーローが活躍するハワード・ホークス監督のヨーク軍曹(イングロリアル・バスターズで、その映画のシーンが使われている)
そしてナチスドイツが侵攻する直前のポーランドに対する応援歌の映画であるかのようなエルンスト・ルビッチ監督の生きるべきか、死ぬべきか(反戦映画であるが、コメディとしても素晴らしい映画)
他にもアルフレッド・ヒッチコック監督の救命艇はナチス批判が目立つ戦意高揚映画だといえるだろう。
そして今回紹介するミニヴァー夫人だが、題名からは想像し難いが第二次世界大戦中に作られ、ドイツ軍の空爆に苦戦していたイギリス国民のための応援歌である戦意高揚映画。
ちなみに監督は映画界の巨匠中の巨匠であるウィリアム・ワイラー監督
嵐が丘、大いなる西部、ローマの休日、必死の逃亡者なと文芸作品、西部劇、ロマンティックコメディ、サスペンスといったあらゆる分野に傑作、名作を残した監督もこのような戦意高揚映画を撮っている。
しかし今挙げた監督たちは流石は映画史に名前を刻む名監督たち戦意高揚映画といっても僕が生まれる30年前の作品ばかりだが、これがメッセージ性は別にして単純に映画として楽しめる出来栄えになっているのが凄いところ。
それでは戦意高揚映画の傑作であるミニヴァー夫人を紹介しよう
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1939年、ナチスドイツがイギリスに開戦する直前が舞台。ロンドン郊外に住む
イギリスの中産階級の家庭においてミニヴァー夫人(グリア・ガースン)はロンドンへ行き以前から欲しかった帽子を買ってしまうが、どのようにそのことを夫のクレム(ウォルター・ビジョン)に話そうか迷っていた。
その帰りに駅長から次回の展覧会における薔薇の大会に自分の薔薇に”ミニヴァー夫人”と名前を付けさせて欲しいと頼まれるが快く自分の名前を薔薇に付けることを了承する。
一方、ミニヴァー夫人(ガースン)の夫のクレム(ビジョン)は高級車を買ってしまい、クレム(ビジョン)もミニヴァー夫人(ガースン)にいつ車を買ったことを言い出そうか困っていた。
しかし、お互いに買い物をした事を言い合い、そんな買い物が出来るこの家庭は幸せそうだ
夫婦でオックスフォード大学へ通っていた息子のヴィン(リチャード・ネイ)を駅まで迎えに行く。
夫婦とヴィン(ネイ)が家に帰って来たときに上流階級の誉れの高いベルドン夫人(デイム・メイ・ウィッティ)の孫娘であるキャロル(テレサ・ライト)が訊ねてきた。
キャロル(ライト)が訪ねてきた理由は、次回のバラの展覧会において毎年ベルドン夫人(ウィッティ)のバラが1番になるのだが、今回駅長がバラの展覧会に出品するのを止めるように言いにきたのである。
いかにもイギリスの階級社会を表すシーンである。
そんなキャロル(ライト)の申し出に今や階級社会におけるイギリスの旧態的な考えに疑問を持っていた息子のヴィン(ネイ)が、キャロル(ライト)に対して批判する。
その夜、パーティーの席においてヴィン(ネイ)とキャロル(ライト)は出会うが、気まずい雰囲気どころか2人はお互いにダンスをする。
そんな2人の姿を見たクレム(ヴィジョン)とミニヴァー夫人(ガースン)は、安心する
やがてイギリスとドイツの間で戦争が始まる。そして教会では牧師がこの戦争に対する心構えを説く。ヴィン(ネイ)は自宅の近くの空軍に入り、空軍に入ると同時にキャロル(ライト)と婚約する。
その結婚に階級の高いキャロル(ライト)の祖母のベルドン夫人(ウィッティ)は不満があったが、ミニヴァー夫人(ガースン)の説得によってベルドン夫人(ウィッティ)は孫娘のキャロル(ライト)の結婚をようやく認める。
飛行隊が上空を通るたびに息子のヴィン(ネイ)の無事をひたすら祈るミニヴァー夫人(ガースン)そして夫のクレム(ヴィジョン)もダンケルクから退却するイギリス軍を助けるために町の人々とボートに乗り込む。
夫のクレム(ヴィジョン)がなかなか帰ってこないことに不安を感じていたミニヴァー夫人(ガースン)。更にイギリスへ不時着していたドイツ兵が家の庭に倒れている姿を発見してしまい、そのドイツ兵から銃を向けられ仕方無く自宅の台所までドイツ兵を入れたミニヴァー夫人(ガースン)だったが、彼女は機転を利かして地元の警察へ電話をして、無事にドイツ兵は逮捕される。
そこへ夫のクレム(ヴィジョン)が無事に帰って来た。
しかし、やがてミニヴァー夫人(ガースン)の住んでいる場所もドイツの空爆にさらされるようになったきた。
そんなドイツの空爆の危機が迫る中で展覧会が開催される。駅長の薔薇”ミニヴァー夫人”と毎年1等賞を取っているベルドン夫人(ウィッティ)の薔薇対決の行方は審査の結果ベルドン夫人(ウィッティ)の薔薇が1等賞を得るが、彼女は意外な行動に出る
結果発表も終わった頃にドイツの空爆が激しくなってきたそんな折にミニヴァー夫人(ガースン)とキャロル(ライト)はヴィン(ネイ)を空軍に車で送り、2人は自宅に帰ろうとするがドイツの空爆は激しく・・・
2人のミニヴァー夫人(キャロルもミニヴァー夫人です)の悲劇と、そして印象的なラストシーンは映画を観てください
戦意高揚映画であるが、ドイツ兵の描き方にそれほどの悪意は無かった。むしろイギリスにおける階級社会の実態が描かれていて、日本人にはわかりにくいイギリスの階級社会を見ることが出来る。
そんな階級社会を吹き飛ばす出来事が、第二次世界大戦であり、この戦争をきっかけにヨーロッパ全体を支配していた貴族社会が滅んでいったことを感じる。
しかしミニヴァー夫人というこの題名だけれど、非常にこの題名が上手く活かされた映画作りになっている。薔薇の名前に用いられたり、実はこの”ミニヴァー夫人”の意味が息子の妻であるキャロル(テレサ・ライト)に対しても引っ掛けられている事が、薔薇の展覧会の結果に繋がっていく展開はこの映画の優れているところであり、さすがウィリアム・ワイラー監督
そして、ラストの牧師の台詞に戦争の悲惨さと同時に神様でさえも戦争による痛手を癒すことが出来ない事を痛感する。そしてあの教会から見える上空を飛ぶ飛行隊の意味するところは
戦意高揚映画であることは別にして、見所満載の映画です
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