褒めまくる映画伝道師のブログ

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映画 独裁者(1940) チャップリンの怒りが伝わる

2010年09月16日 | 映画(た行)
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 原題はTHE Great Dictator直訳すれば、”偉大なる独裁者”と言う意味になるのだろう。
 日本語のタイトルはGreat(偉大な)という部分を省略してしまっているが、実はこのGreatの部分に大いなる風刺、皮肉が込められている。
 確かに僕も”偉大な”人間を何人も見てきたが、彼らは偉大すぎて頭の中はどのような思考回路になっているのか理解不能
 そんな理解不能な偉大なる独裁者を一刀両断のもとにスパッと斬ってしまうチャールズ・チャップリンを”偉大”という形容で片付けてしまっては失礼なのかもしれない。

 独裁者という言葉から現代の人間はすぐさまアドルフ・ヒトラーを思い浮かべる。
 21世紀に入ってようやく彼の呪縛が解けたかのように、ドイツという国においてアドルフ・ヒトラー、ナチス、秘密国家を描いた映画が製作されてきた。
 そんな中でも、アドルフ・ヒトラーの死ぬまでの12日間を描いたヒトラー~最期の12日間~は非常に見ごたえのある映画だった
 そこに描かれているヒトラーは歴史上で語られるようなユダヤ人大量虐殺、世界大戦を引き起こした人物、権力闘争と言ったダーティーなイメージで語られることが多いが、この映画では実はヒトラーとは孤独な人物で、家族を愛し、独裁者であるが故の悩み多き人物として描かれていて、そこには人間ヒトラーが描かれていた
 極悪人を軽く通り越してしまったイメージのある人物を、人間らしく描いた映画だけに世界中から賛否両論の映画だけれど、このような映画を製作したドイツの映画人の勇気に対して拍手を送りたい

 しかし第二次世界大戦勃発時期に、ナチスがヨーロッパ全土を戦争に巻き込んだ時期にアドルフ・ヒトラーの人権政策を大いに批判したのが、今回紹介する映画独裁者
 この映画において監督、製作、脚本、主演をこなしてしまったチャールズ・チャップリンのメッセージが伝わる。
 チャップリンはサイレント(無声映画)において、数々の傑作がある。僕はサイレント映画は見ていて睡魔に襲われる確率が高いので好きではないのだが、街の灯は、例外的作品で感動させられる映画。弱者の立場から描いたこの映画の感動は今観てもこれ以上の感動作には、滅多にお目にかかれない。
 そしてトーキー(有声映画)全盛になりつつある時代に、頑なにサイレント映画にこだわったモダンタイムスも機械化された文明を彼らしく笑いを入れて皮肉的な視点で描いたこの映画も面白い。

 そして”モダン・タイムズ”の次にチャップリンが撮った映画が彼の初のトーキー作品が今回の独裁者だ。
 もうこの独裁者では、チャップリンが黙っていられなくなった。
 そんなチャップリンの怒りがこの映画からはほとばしる。この映画においてチャップリンの演技も鬼気迫るものがある
 確かにチャップリンらしい大笑いできるしコメディのジャンルに入る映画であるが、単なるコメディで終わらせないのがこの映画の凄いところ。
 ラストのチャップリンの演説シーンは単なる当時のヒトラーを批判する範疇にとどまらずに、人権問題、民主主義(デモクラシー)を訴えかけるメッセージは現代人にも警告を鳴らす。
 それでは、僕が最も好きなチャップリン映画である独裁者を紹介しよう

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 第一次世界大戦において、架空の国であるトメニア軍において床屋(チャップリン)が一兵卒として戦闘にいた。
 床屋(チャップリン)はシュルツ中佐が負傷しているのを助けようと軍用機で戦場から二人で脱出する。重要な機密を持っていたシュルツ中佐だったが、彼ら2人が帰って来たときには既に第一次世界大戦は終わっていた。
 
 そして20年後において、床屋(チャップリン)はすっかり記憶喪失になっていて入院していたがその間にトメニアは政変が起きて、ヒンケル(チャップリンが二役)が独裁者として君臨していて、彼は国内のユダヤ人を圧制する人権政策を行っていた

 その時床屋(チャップリン)は病院を抜け出し、自分が住んでいたユダヤ人ゲットーの自宅に戻って来るが、ヒンケル(チャップリン)支配下の軍人が自分の自宅にユダヤ人の印をペンキで描いていたのに、床屋(チャップリン)は怒り、軍人と衝突する。
 床屋(チャプリン)は20年間記憶喪失で入院していたため、政変が起きていたことを知らなかった。
 軍人たちに囲まれ床屋(チャップリン)は殺されそうになるが、たまたま通りかかった隊長に助けられるその隊長は第一次世界大戦において命を助けてあげたシュルツ中佐だった。2人は再会を喜び、床屋(チャップリン)は無事に助かる。

 その頃ヒンケル(チャップリン)はユダヤ人迫害を狙っていたが、国家の予算が破産状態である事を知り、ヒンケル(チャップリン)はユダヤ人からお金を引き出させるために、ユダヤ人圧政を緩和していた。
 その時はユダヤ人ゲットーも穏やかな状況であり、床屋(チャップリン)も隣人の娘ハンナとの恋を育んでいた



 ところがヒンケル(チャップリン)の部下である宣伝大臣からユダヤ人からお金を引き出す事に失敗した事を聞くと、怒りからユダヤ人ゲットーへの暴行に出ようとシュルツ中佐に命令するが、シュルツ中佐はその命令を断り、彼は強制収容所へ送り込まれる

 シュルツ中佐は強制所を脱出してユダヤ人ゲットーの床屋(チャップリン)の隣人のもとに匿われる。しかし、何処からの情報か?シュルツ中佐はユダヤ人ゲットー内で匿われている噂が流れ、ついにヒンケル(チャップリン)の軍隊が押し寄せてきた。
 床屋(チャップリン)の恋人のハンナは家族と隣国のオストリッチに逃亡するが、床屋(チャップリン)とシュルツ中佐は捕まってしまう

 やがてオストリッチ侵攻を企むヒンケル(チャップリン)だったが、先にバクテリア国の独裁者であるナバロニ(ジャック・オーキー)にオストリッチを攻め込まれる。
 ヒンケル(チャップリン)とナバロニ(オーキー)はオストリッチの処遇を求め会談するが、難とかナバロニ(オーキー)をオストリッチから撤退させる条件を引き出し、その隙にヒンケル(チャップリン)はオストリッチ侵攻しようとするが・・・



 その頃シュルツ中佐と床屋(チャップリン)は強制収容所から脱出する。彼らはオストリッチへ脱出しようとするが、ヒンケル(チャップリン)の軍隊が居る場所を通りかかってしまうしかし、偶然にも床屋(チャップリン)と独裁者のヒンケル(チャップリン)は・・・続きは映画を観てください

 それにしてもチャップリンは上手いタイミングで初トーキー作品を撮りあげたものだ。確かのこの映画をサイレントで撮っても説得力が無いね
 僕はチャップリン映画の本質は優しさだと思っている。それは街の灯であったり、ライムライトのような優しさ

 今回の独裁者や、殺人狂時代においての、チャップリンの映画にはメッセージ性がかなり色濃く出ている。
 そのような強烈なメッセージが印象的な独裁者が僕はチャップリンの映画では1番好きだけれど、もしかしたら街の灯のような優しさ溢れる恋愛映画が1番好きだという人もいるだろうし、老境に達したチャップリンの心情を伺い知れるライムライトが1番好きな人も居ると思う。
 しかし、抜群のコメディーセンス、そして毒のあるブラックユーモアを1番感じることが出来るチャップリンの作品といえば今回紹介した独裁者だと思う

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