長い間、もう一度見たいと思っていた古いアメリカ映画に「アメリカ交響楽=ガーシュインの伝記映画(Rapsody in Blue)」というのがある。私にとっては強烈に印象に残っている映画なのだが、何故か、この映画、ついぞ私の前に現れることがなかった。TVなどで、古い所謂名画というのが時々放映される。私は、そんな映画をよく録画して、VHSに残してきたものだ。ところがこの「アメリカ交響曲」という映画、私の知る限りではTVで放映されるというようなことがついぞなかった。映画専門チャンネルとか、そういうチャンネルでは放映されたかもしれないのだが・・・。古い洋画(アメリカ映画、ヨーロッパ映画も)で名作といわれる映画は、大抵何度も何度もTVで放映された。ところが、この映画はそうではなかった。会えないとなると余計会いたくなるもの。
ところが、今回、遂にこの映画が見れることになったのだ。新聞の広告に古い映画をDVD化して販売している広告が載っていたのだが、そのなかにこの映画を発見。早速注文した。そして本日到着。長い間会うことのなかった恋人に巡り合ったような気分。胸躍るとはまさにこのことか。ところで、この映画は1945年の作品とある。第二次世界大戦が終わってすぐの時代だ。日本が敗戦で疲弊にあえいでいた頃、アメリカではこんな映画が制作されていたとは!アメリカに戦争を仕掛けるなんて、本当に狂気の沙汰だったのだ。
この映画の冒頭で演奏されるアメリカ交響楽の響き。クラリネットのあの甲高い音色がたまらない。何故にクラリネットに惹かれるのだろう。実は、中学の頃、音楽部にいてクラリネットを吹いていたことがある。中学入学の頃は、それこそ軍国主義華やかな頃だ。当時、私は音楽が大嫌いだった。女々しい、そんな感情に支配されていたのだろう。剣道部を志願したのに、音楽部に入れられた。あのショックは一生忘れない。「お前は歯並びがいいから音楽部へ入れ」と無理やり入れられ、嘆いた、嘆いた。いやいや練習していたから、上手になるはずがない。それでも最低限演奏しなくてはならない曲があった。国家(君が代」、校歌、そして閲兵分列行進曲だ。ある時、閲兵分列行進が行われ、私も担当のクラリネットを吹奏して隊の先頭を歩いていた。と言っても、どうせクラリネットの音は小さいから聞こえないだろう、などと高をくくって、指だけ動かしていたものだ。なんとその時、軍事教官が怒鳴ったのにはビックリ仰天。「クラリネットの音が聞こえないぞ!」 まあ、そういう訳で、クラリネットには特別な思いれがあるのかもしれない。
(すっかりすすけてしまった英和対訳のシナリオ本。この本で映画のシナリオを勉強した)