昭和30年代後半から40年代にかけて、急速に電気製品が家庭に入ってきた。田舎の我が家にテレビが来たのは、随分と後だった。NHKでは、『チロリン村とくるみの木』をしていた。子供向けの番組と言うよりも、家族が茶の間で楽しめる内容だった。
本もろくすっぽ買ってはもらえない。学校に図書室ができたのは、村内にやってこられたお医者さんの寄付で、どうにか形があったような感じのもの。冊数も数えるほどで、新しい本はなく、破れたり、古くなった物であったと思うよ。それでも、本が読める喜びは、繰り返して何度でも。という便利さであろうか。
テレビはあっても、むろん録画はできなかったし、白黒画面である。漫画雑誌があるのを知ったが、買ってもらう余裕はない。兄は学習雑誌を毎月買ってもらっていたが、それは長男の特権であった。
小5の時に初めて手にした『なかよし』はさほど面白くなく、妹の手にする『りぼん』の方が圧倒的に付録とも佳いのだった。年に1回、お正月に買ってもらっていたのを覚えている。今も、当時の付録がある。
漫画家は、牧美也子氏、わたなべまさこ氏、水野英子氏。表紙を飾っていた森下洋子さんの、バレエの衣装と、トウシューズが履きたくてたまらなかった。
週刊誌が出るようになり、数年して新人漫画家発掘が始まったのも、この時期で、里中満智子氏や、大和和紀氏、青池靖子氏、忠津陽子氏にあべ律子氏などが次々に紙面を飾った。
作品で言えば『でっかいちゃんとあつまれ!』『バラが泣く時』かな?当時は男性が少女漫画を描いてもいて、『おてんば天使』『島っ子』『リボンの騎士』片端から読んでいる。
その中で、強烈な印象のある1作がある。描かれている内容もだが、作者は新人賞受賞の数ヶ月後亡くなった。数十年の月日を経て、単行本化された『エリノア』である。
あの頃は、漫画家になりたくて、高校では漫画同好会を主催し、日がな1日、ケント紙に漫画の空言ばかり描いていた。それだけに彼女の作品は新鮮で且つ繊細。また人生の生き方を変えてしまうような出来事だった。
たった1作ではあったが、心の奥深くを揺さぶり、内面の襞へと入り込んでいった。なんと言えばいいのか・・・。まるで言葉に成りきれない想いであった。
作品の表面にある思いの他に、秘められている感情が、暗黒の宇宙に向かって、迸って往くような、掴みきれない漠然としたものが体内に押し寄せた。人間として生まれし者は、きれいでなくてはならないのか?
いつも美しい心を持っていなければいけないのか? そんな人間ばかりがいたら、キリストなぞは生まれては来ない。ここまで我が身を否定して生きなければ、人間ではないのか? 多感な少女故に本気で悩んだ。
自分の容姿は、髪はちりじり、手足はひょろひょろ、一重の目は可愛いとはお世辞にも言えないものだ。今は、少しばかりの髪のウエーブに、ずっと変わらない体型で、顔の配置が少々ずれているくらい。
着る物はいただきものや、娘のお下がりが充分な年齢になった。ただ、ズボンだけは、股下が普通でないので、いつも困ってしまう。寒がりなのでこれだけは巌として譲れない。
椿の蕾。2年目ですが、たくさんつきました。これはピンクです。白い椿も植えていますよ。ほんとうは違う名前ですが、密かにエリノアと呼んでいます。Tさんという夭折した漫画家を偲んで、つけています。
本もろくすっぽ買ってはもらえない。学校に図書室ができたのは、村内にやってこられたお医者さんの寄付で、どうにか形があったような感じのもの。冊数も数えるほどで、新しい本はなく、破れたり、古くなった物であったと思うよ。それでも、本が読める喜びは、繰り返して何度でも。という便利さであろうか。
テレビはあっても、むろん録画はできなかったし、白黒画面である。漫画雑誌があるのを知ったが、買ってもらう余裕はない。兄は学習雑誌を毎月買ってもらっていたが、それは長男の特権であった。
小5の時に初めて手にした『なかよし』はさほど面白くなく、妹の手にする『りぼん』の方が圧倒的に付録とも佳いのだった。年に1回、お正月に買ってもらっていたのを覚えている。今も、当時の付録がある。
漫画家は、牧美也子氏、わたなべまさこ氏、水野英子氏。表紙を飾っていた森下洋子さんの、バレエの衣装と、トウシューズが履きたくてたまらなかった。
週刊誌が出るようになり、数年して新人漫画家発掘が始まったのも、この時期で、里中満智子氏や、大和和紀氏、青池靖子氏、忠津陽子氏にあべ律子氏などが次々に紙面を飾った。
作品で言えば『でっかいちゃんとあつまれ!』『バラが泣く時』かな?当時は男性が少女漫画を描いてもいて、『おてんば天使』『島っ子』『リボンの騎士』片端から読んでいる。
その中で、強烈な印象のある1作がある。描かれている内容もだが、作者は新人賞受賞の数ヶ月後亡くなった。数十年の月日を経て、単行本化された『エリノア』である。
あの頃は、漫画家になりたくて、高校では漫画同好会を主催し、日がな1日、ケント紙に漫画の空言ばかり描いていた。それだけに彼女の作品は新鮮で且つ繊細。また人生の生き方を変えてしまうような出来事だった。
たった1作ではあったが、心の奥深くを揺さぶり、内面の襞へと入り込んでいった。なんと言えばいいのか・・・。まるで言葉に成りきれない想いであった。
作品の表面にある思いの他に、秘められている感情が、暗黒の宇宙に向かって、迸って往くような、掴みきれない漠然としたものが体内に押し寄せた。人間として生まれし者は、きれいでなくてはならないのか?
いつも美しい心を持っていなければいけないのか? そんな人間ばかりがいたら、キリストなぞは生まれては来ない。ここまで我が身を否定して生きなければ、人間ではないのか? 多感な少女故に本気で悩んだ。
自分の容姿は、髪はちりじり、手足はひょろひょろ、一重の目は可愛いとはお世辞にも言えないものだ。今は、少しばかりの髪のウエーブに、ずっと変わらない体型で、顔の配置が少々ずれているくらい。
着る物はいただきものや、娘のお下がりが充分な年齢になった。ただ、ズボンだけは、股下が普通でないので、いつも困ってしまう。寒がりなのでこれだけは巌として譲れない。
椿の蕾。2年目ですが、たくさんつきました。これはピンクです。白い椿も植えていますよ。ほんとうは違う名前ですが、密かにエリノアと呼んでいます。Tさんという夭折した漫画家を偲んで、つけています。
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