庭の花に埋もれて、銀河は眠る。芍薬が芽を伸ばしている。枇杷葉も新芽を出した。アネモネにリナリア、チューリップ、撫子、庭桜にクリスマスローズ。勿忘草、水仙。ユスラ梅も咲いている。薔薇の蕾も見つけたよ。
花に戯れ、日向ぼっこをして、遊び疲れて欠伸をした。そこはやはり虎。じゃれても抓めは痛い。パソコンを始めると、膝に来て机に登る。キーが叩けない。その内に咽喉を鳴らして眠る。天上まで駆け上がる時には、地震があった。
雷も嫌いで、一目散に布団に潜り込む銀河。今は、庭に眠っていて、宇宙も翔けているんだろう。足元に擦り寄ってくると、居たんだなぁ。って。冬の間は、毛布がずっしり重たくなって、銀河の匂いがした。枇杷葉茶を飲んでいたから直ぐにわかる。
この頃は、暖かくなったのもあって、縁側でうつらうつらとしているのか。ほうれん草が、キャベツが好きだった。何よりも好物はメロンで、夕張メロンには眼がなかった。鏡に写る自分の姿にびっくりし、毛を逆立ててもいた。
実家の猫は、知らない所に連れて行かれ、隙を見て逃げ出し、我が家に辿り着いた。その時には息も絶え絶えで、寒さと飢えで死んでしまった。あの猫はシロだったんだ。父が居なくなり、母も消えて、無理矢理捕まえられて、檻に入れられていた。
シロもだが、父も母も、家で亡くなりたかっただろうにと思う。どんなにか無念であったことか。兄のしてきたことは、無慈悲な仕打ちだ。年老いた親を、数年の看取りを拒否した、酷い見せしめ。親に対する感謝の欠片もない。
枇杷葉の苞。これが膨らんで来ると、花芽になる。やがて白い花弁が開いて、花が咲く。