娘と息子の誕生日と、母の日が重なるが、例年のことだ。恒例の手巻き寿しをして、皆で食卓を囲む。孫たちは、食べるのが目的だから、賑やかである。出し昆布で出汁を取って、清まし汁を作り、デザートも用意する。母の日とは程遠い。
実家の母も、同じ思いであったのか?普段は、離れて暮しているから、兄たちとも疎遠で、孫に逢えるのを殊更に楽しみにしていた。年老いていくばかりで、別れ際には、必ず道の外れまで送りに出て来た。何度も手を振り、名残は尽きない。
突然、訪ねて行くと、本当にびっくりしていた。元気でいて、と祈る気持ちで母を見ていた。言葉はなくても、母の淋しそうな横顔を忘れることができない。いつまでも兄を庇い、兄嫁に遠慮していたのも、想いだされる。
父は尚更に、テレビを観る振りをして、空元気でいた。殊細かくは言わず、また来いよ。と背中に投げる声に、父の思いがあった。故郷の風景に、そんな二人が写り出される。まるで其処に居るように、当たり前の姿で佇む。
庭の南に位置する、路地物です。陽射しを浴びて、すくすく成長している。今年は花が咲くか?