抗生物質の長期にわたる摂取は、大腸がんにつながる直腸ポリープの発生リスクを高める恐れがあるとした研究論文がGutに発表されたそうです(AFPBB NEWS)。これまでの研究でも、抗生物質の使用と大腸がん発症との関連は指摘されていたそうですが、ポリープとの関係は明らかではなかったそうです。この研究では、2004年の時点で60歳以上の女性1万6642人の健康診断記録を詳しく調査。対象となった女性らは、2004年から2010年の間に結腸内視鏡検査を少なくとも1回受けており、その期間にポリープの症例1195件が診断。その結果、抗生物質を20年の間に計2か月以上摂取した女性らにポリープが発生するリスクが高いことを発見。20代と30代に2か月以上摂取した女性ではポリープ発生リスクは36%、40代と50代では同70%と、抗生物質の長期摂取の無かった女性と比べてそれぞれ高い数字が示されたそうです。基本的に抗生物質は、消化管内の細菌を殺してその生息数を減らすことにより、腸内細菌叢を変化させます。抗生物質はターゲットとなる細菌を殺す働きをするが、同時に他の病原菌への腸の抵抗力も弱めてしまいます。この腸内細菌のバランスの乱れが大腸がん患者に共通していることは、先行研究でも示されていたそうです。今回の研究をめぐっては、その他要因を排除した実験を行っておらず、あくまで状況証拠に基づく結果であることから、結果の解釈には注意が必要とも。
http://www.afpbb.com/articles/-/3123974
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