霊長類の中で人間に最も近い種のオランウータン、チンパンジー、ボノボなどの大型類人猿は、人間と同じように、他者が間違った考えを持っているのを見分ける能力があるとの研究論文がPLOS ONEに掲載されたそうです(AFPBB NEWS)。大型類人猿は、物の在りかについて思い違いをしている他者を進んで手助けするというのです。実験に使用したテストは、1歳半前後の人間の幼児向けに開発されたもので、他者が誤った考えを持っていることを理解できるかどうかを判定するもの。まず、類人猿が見ている前で、1人目の人間が2つの箱のどちらか一方の中に物を入れてその場を離れ、2人目の人間がその物を箱から取り出し、もう一方の箱の中に入れる。戻って来た1人目は、物が移動されたことを知らず、こちらに入っているはずだと考えて初めの箱を開けようとする。これが誤信念のテストとされるもので、対照実験として、1人目が室内にとどまり、2人目が物を入れ替えるのを確認する状態でもテストも行う。ドイツLeipzig Zooで行われた今回の研究には、チンパンジー、ボノボ、オランウータンなど合計34匹の大型類人猿が参加。物が入れ替えられるのを1人目が見ていない誤信念のテストでは、猿たちは偶然よりも有意に高い頻度で実際に物が入っている箱を的確に選んだそうです。類人猿が人間の幼児と同じように、どちらの箱に物が入っているかについて誤った考えを持っている人が物を見つけ出すのを手助けする傾向が強いとしています。これまで研究者らの間では、このように他者の意図を理解する、いわゆる心を読む能力は類人猿には備わっていないと考えられていたそうです。類人猿は、社会的交流の中でこの種の理解を利用する能力があると結論付け、今後、研究の裏付けが得られれば、社会的認知に関する大型類人猿と人間との間の明らかな違いは、他者の心を『読み取る』基本的な能力ではなくて、どこか別のところにあると考えられるようになるだろうとと述べているそうです。
http://www.afpbb.com/articles/-/3124094
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