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納戸の奥に眠っている箱を久しぶりに出してみると…
買い集めていた45年前の週刊ベースボールを読み返しています

# 623 週間リポート・日本ハムファイターズ

2020年02月19日 | 1976 年 



オレたちの味方は84万人
観客動員独走!首位キラーの迫力も十分
9月12日のロッテ戦の試合前に行われた「第6回・少年ファイターズ会」の " 人工芝で遊ぼう " は大成功だった。午前11時半、ヨーイドンの合図と同時に後楽園球場の人工芝はアッという間にちびっ子に占領された。グローブとボールを持って来た子はキャッチボールを、何も持たずに来た子は人工芝の上を飛んだり跳ねたり大喜びだった。この日の参加者は少年ファイターズの会員とその保護者や友達など総勢1万8千人。中には墨田区から自転車に乗ってやって来た少年のように午前3時過ぎに球場に到着した子も少なからずいた。大盛況ぶりに球団関係者は「こんなに喜んでもらえるなら何回でもやりたいが、参加希望者が多すぎて二部制・三部制にしないと」と嬉しい悲鳴。

今や17万人を越えた少年ファイターズ会員。それに呼応するように日ハムの観客動員数は昨年の3倍増だ。この日のロッテ戦の観客は3万6千人、前日は3万5千人、前々日が1万6千人と3連戦で8万7千人を集め日ハムの観客動員数はセ・リーグの大洋を抜いて84万人に達した。「100万人は無理かも知れませんが来年には何とか達成したいです」と営業担当者は一足先にパ・リーグ制覇を成し遂げた事にホクホク顔だった。一方の現場もホクホク顔。首位のロッテを迎えての4連戦は4戦目を雨で流し3連戦となったが2勝1敗と勝ち越し、ロッテを首位から引きずり落とす上位いじめぶりを遺憾なく発揮した。

特に投手陣の踏ん張りが見事だった。10日は杉田投手がロッテのエース・村田投手と投げ合い被安打「3」に抑えたが山崎選手に2ラン本塁打を浴びて負けた。「フォークがすっぽ抜けてしまった(杉田)」と悔やんだが「杉田の悪い癖だった立ち上がりもだいぶ改善された。次は期待できる」と大沢監督も合格点を与えた。まさに後期の日ハムは首位キラー。首位チームに対して4勝3敗でロッテ戦の前にも南海を首位転落に追い込んだ。「ウチは弱い者いじめはしない(大沢監督)」とは人情家の親分らしい。多くのファンの声援を背に残りの試合も上位いじめに徹する覚悟だ。



オレ嬉しくたまらんョ
ドラフト・トレードいずれもグーで高笑いの大沢親分
「実にいい補強が出来たぜ」と大沢監督は自信いっぱいに断言した。11月19日のドラフト会議とトレードに関しての感想だ。ドラフト1位で指名したのはセンバツ優勝投手の黒田真二投手(崇徳高)。2位指名は社会人選手権準優勝投手の藤沢公也投手(日鉱佐賀関)。黒田は甲子園で一躍有名になったが藤沢はそれほど一般には知られていないが実力は折り紙付きで昭和44年にロッテ、46年にヤクルト、48年には近鉄がそれぞれ指名した過去がありプロの世界では知られた存在。3位指名は夏の甲子園大会で8打数8安打を記録した末次秀樹捕手(柳川商)、4位指名も東都大学リーグのスラッガー・大宮龍男捕手(駒大)でバッテリーを強化した。

5位指名は柿田登外野手(宇部商)、6位指名は下田充利投手(岡山東工)。下田について瓜生編成部長は「遠投105㍍の強肩、ズック靴で100㍍を12秒を切る走力。打率も5割超と投打どちらでも一流になれる素材」と絶賛する。「とにかくポジション関係なしに実力だけのランクを作り順番に指名した。彼らは上位24人に入っていた選手ばかり。ポジション的には偏った印象もないではないが満足できるドラフトだった」と大沢監督。1位の黒田は高校生では将来性がトップクラスの投手で2位の藤沢は社会人3羽ガラスの1人で即戦力とバランスも取れている。指名順が九番目にしては上々のドラフトだった。

次なる補強策はトレード。新実、皆川の新人王コンビに内田、鵜飼の4人を放出し、15勝は固いと言われる佐伯と火消し役の宮本の2投手と投手陣の強化と共に補強ポイントの一つだった内野手に久保の計3人を広島から獲得した。また佐伯の加入は副作用を生む可能性がある。それは日高を刺激することである。日高は高校時代は「広陵の佐伯」か「広島商の日高」かと広島県下で好投手の評価を二分した投手だったが、日ハム入団後に肩を怪我して現在は内野手に転向し二軍で奮闘中。佐伯の存在が好影響を与えるのを期待する。

広島から新実が欲しいと申し込まれた日ハムが「新実は出せないがウイリアムスで佐伯か外木場のどちらか欲しい」と新実以外のトレードを提案したが佐伯も外木場も出せないと答えてトレード話は頓挫した。その後、渡米先から帰国した古葉監督が改めて球団内で協議をして前述の4対3の複数交換トレードが成立した。昨年もドラフト会議後に近鉄から阪本、服部、永淵を獲得した交換トレードに続く大型トレードだった。「新実と皆川を出すのは痛いが、これで軸になる投手が高橋直、高橋一、野村、杉田、佐伯と5人揃った。来年が楽しみだよ」と大沢監督も手応えを感じている。



全面拒否
「くじ運の割に良い選手を指名できた」と今回のドラフト会議について御満悦だった瓜生編成部長だったが、1位指名の黒田投手(崇徳高)以下、3位指名の末次捕手(熊本工)らの入団拒否にあって頭を抱えている。「金銭的な条件面での難航なら交渉次第でいくらでも解決法はありますが、" プロ入りしない "・ " 日ハムには入団しない " とあっては交渉のしようがない。本当に頭が痛いですよ」と瓜生部長。ただし手をこまねいているわけにはいかない。「こうなったらじっくり腰を据えて、こちらの事情を説明して理解してもらうしかありません(瓜生)」と各担当スカウトたちは連日、広島・熊本・東京を行き来している。現状では年内の入団は難しそうだ。

一方、現役選手たちへの契約更改交渉も大きく変わった。これまでは選手が球団事務所に出向いて宮沢総務部長か三原球団社長と話し合い交渉して来季の契約を行なってきたが、今年から球団が選手宛てにあらかじめ来季の年俸を記入した契約書を郵送して選手がそれに納得すればサインをして返送するシステムに変更となった。ただしイエスかノーかの二択しかないのではなく、来季の年俸に不満があれば球団事務所に行き交渉するのも可能なのだが三原社長は「球団事務所まで来て話し合うといっても選手の方は『上げてくれ、下げないで』を言うだけ。そのために時間を割くのは無駄」と切り捨てた。


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