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納戸の奥に眠っている箱を久しぶりに出してみると…
買い集めていた45年前の週刊ベースボールを読み返しています

# 600 新戦力 / 大洋・中日・ヤクルト

2019年09月11日 | 1985 年 



木田の加入、斉藤の転向で先発グループはかなり充実。抑えは石川だ !
こと投手陣だけを比べたら最下位ヤクルトに鼻で笑われるような実情だ。今季二桁勝利したのは遠藤投手ひとり。いくら遠藤が日本一の投手だと近藤監督が言おうが遠藤ひとりではチームを優勝させるなど無理な話。そこで球団が打った手が今ドラフトで1位指名の中山投手(高知商)をはじめ6人全ての選手が投手という荒療治。また今季絶不調に終わった金沢投手とプロ入りして3年が経過しても芽が出ない大畑投手に見切りをつけ、日ハムと交換トレードを行ない木田投手と高橋正投手を獲得した。「チームを強くするにはある程度の思い切りは必要。血の入れ替えで根本から手直しをしないと。目先に拘る余裕は今のウチにはない」と近藤監督は言い切った。

先ずは木田。左の先発としての期待が大きい。確かにここ数年はかつての輝きには程遠くすっかり低迷しているが、日ハムの大沢元監督(現育成強化部長)によれば「環境が変わればアイツはまだまだやれる。簡単にくたばるような投手じゃねぇよ」と太鼓判を押す。投手を見る目に長けている近藤監督もその点では同じ意見だ。だからこそ今季は低迷したとはいえ一昨年まで2年連続二桁勝利をした金沢投手を放出してまで木田を獲得したのだ。また近藤監督は密かにロッテの石川賢投手の獲得を画策している。石川は昨季15勝したが今季は2勝と低迷。原因は右肩の故障で完治しておらず来季も登板は難しいと言われているが近藤監督は田代選手を見返りに石川を獲る覚悟でいる。

先発転向を希望している斉藤明投手も加えると来季の先発ローテーションは格段に厚くなる。更に高卒ルーキーの中山に関して近藤監督は「早ければ6月に出て来る」と考えている。中山と久保投手を中継ぎに、石川を抑えに使えればかなり勝ち星が計算できる。それもこれも石川を獲得できればの話なのだが。守備面では3位で指名した大川投手(銚子高)を外野手として1年目から使う腹づもりだ。「大川は100m を11秒で走る足を持っている。彼をライトで使えば右中間は抜けませんよ(近藤監督)」と。ここまでの話が近藤監督の思惑通り全て上手くいったら今年の阪神のような奇跡が起きても不思議ではない。笑うことなかれ。思えば昨年の今頃、誰が阪神の優勝を想像していたか…。



来シーズン「サード・中尾」が登場すれば中日は手強いゾ !
来季の中日にアッと驚く三塁手が誕生するかもしれない。ただしそれには条件がある。今ドラフトで3位指名した内田強捕手(日立製作所)、もしくは阪急から移籍して来た有賀佳弘外野手が捕手としての起用に目途が立てばの話である。「来春のキャンプが待ち遠しいよ」これが現在の中日首脳陣の話題の中心である。退団したモッカ選手の後釜に誰が三塁の定位置を手にするのか。それは藤王選手か、伏兵の古谷選手か。いずれにしても現状は決まっていない。ポスト・モッカは中日の最重要課題なのだ。山内監督は以前から中尾捕手を三塁で起用したい考えを持っていたが、中尾をコンバートすると頼りになる捕手が大石選手ひとりになってしまい二の足を踏んでいた。

そこで球団は手を打った。ひとつはドラフトで社会人屈指の捕手と定評の内田選手を3位で指名し、もうひとつが元捕手だった有賀選手を阪急から獲得した。有賀については肘を故障し外野手に転向したのだが「調査した結果、回復したと判断したので獲った。阪急では1年目から捕手として出場し注目していた。怪我さえ治れば充分戦力になる」と田村スカウト部長。元々投手陣は小松投手を筆頭に粒ぞろいで他球団に引けを取らない。課題は野手。一塁手は谷沢選手、左翼手は川又選手、右翼手はゲーリー選手と3選手は定位置を確保しているが他は未確定。特に三塁手は決め手を欠いていた。内田なり有賀が大石の控え捕手として計算できれば中尾を三塁手として起用でき、数年来の課題は一気に解消する。

「これはチームの問題だから僕の口からは何も言えない。ただ何処を守りたいか、と聞かれればサードですよ」と球団の㊙作戦に渦中の中尾は控え目に答えた。「中尾が捕手じゃなかったら3割・30本塁打・30盗塁だって夢じゃない。彼はセンスの塊みたいな男だよ」と山内監督。来季へ巻き返しを図る山内監督としては投手力に関しては不安はなく、もっぱら打線の強化が不安材料。特に飛躍を期待した藤王が守りの不安が得意の打撃にまで影響を及ぼし今季は結果を残せなかった。西武へ移籍した田尾選手の後釜に右翼を守らせたが元々内野手でとてもプロのレベルとは言えなかった。中尾の三塁コンバートが実現しなければ藤王を再び内野手に戻すしか手はない。



マジで優勝の予感がしてきたぞ ! コラッ ! 笑っちゃイカン !!
今年のドラフト会議は大成功だった。1位指名が社会人ナンバーワン投手の伊東昭光投手(本田技研)。弱体投手陣立て直しにこれ以上ない即戦力投手。更に2位には全日本の四番・荒井幸雄選手(日本石油)の指名に成功した。これらに新外人の加入も決まり、土橋監督は最下位脱出どころか優勝も視野に入れた??伊東に関して多くの評論家が来季の新人王候補で最低でも5勝、二桁勝利も可能と評価している。「開幕一軍?いやいや開幕からローテーションに入ってもらわなければ困る」と片岡チーフスカウト。来季の先発ローテーションは尾花・梶間・高野・荒木は既に決定し、これに伊東が加わると盤石になる。

「伊東は高校時代から荒木と投げ合ってた実力派。荒木と同等以上にやってくれる筈」と土橋監督もベタ褒めだ。先発陣は伊東の加入で大きく若返る。更に4位指名の矢野和哉投手もワンポイント起用で一軍に近く、弱体投手陣返上に確かな手応えを感じている。野手に関しても同様だ。2位指名の荒井は昨年の全日本の四番を務めた超大物。身長170cm と小柄だがパンチ力は抜群で早くも " 若松二世 " の呼び声が高い。本家の若松選手に衰えが見え始めており荒井にかかる期待は増すばかり。また打線には新外人のブロハード選手が加わる。一番打者の若松から角・ブロハード・杉浦・広沢・八重樫・新外人(未定)・水谷と続く来季のツバメ打線。

「とにかくウチには走れる選手が少ないからパンチ力のあるブロハードを三番に入れて得点をアップするしかないんだ。あとはチャンスに右の代打陣(渡辺・小川・杉村ら)と左の代打陣(岩下・秦・玄岡ら)や池山・荒井の奮起を期待している」と土橋監督。今季は投手陣が踏ん張れず大量失点で大敗を喫した。「バースやクロマティのような選手が一人でもいればガラッとチームの雰囲気は変わる(土橋監督)」と過去の助っ人外人の失敗も大きい。マニエル選手やヒルトン選手以降はハズレが多かった。ハーロー、ダントン、スミス、ビーンなど枚挙にいとまがない。来季は伊東や荒井の加入で期待は大。最下位脱出どころかAクラス、いやいや優勝争いだって。誰ですか、そこで大笑いしているのは!

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