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納戸の奥に眠っている箱を久しぶりに出してみると…
買い集めていた45年前の週刊ベースボールを読み返しています

# 648 週間リポート ③

2020年08月12日 | 1976 年 



広島東洋カープ:ドクター・ホプキンス帰る
公式戦がまだ残っているのにホプキンス選手が日本を離れアメリカに帰国した。怪我の治療をしにとか身内に不幸があったとかではない。入学が決まっているシカゴのラッシュ大学医学部の授業に1ヶ月遅れで出席する為だ。まだシーズン中なのに、と感じるファンも多いだろうが球団との契約条項に「優勝の可能性が低くなった場合はシーズン途中でも帰国できる」と記されてあり仕方ない。「残念ではあるが本人の勉強のことを考えるとやむを得ない」と重松球団代表も容認している帰国だ。

ホプキンスは来年の1月と5月にインターンの試験を受けるので仮に広島に復帰するとしても来年の6月以降となる。ただし復帰しても野球を続けるのは来年までと決めている。ホプキンス本人の野球への情熱は大変なもので「6月からプレーしてもカープの優勝に貢献できる自信がある。カープもカープファンも大好きなので再びカープのユニフォームを着てプレーしたい」とチーム復帰に意欲を見せる一方で「カープがダメなら他球団でプレーしても構わない。カープも好きだが日本が大好きなんだ」と。

昨シーズン悲願の初優勝を遂げた広島カープ。その陰のMVPと言われたのがホプキンス。今シーズンも10月4日現在、打率.332 で打撃10傑の4位とチームには欠かせない戦力で戦列復帰は願ってもないことだが、どうも引っかかるのが復帰が6月以降になること。「ウチでプレーするかどうかはシーズン終了後に来季のチーム構想を検討する時点で決める」と重松球団代表は慎重だ。さてさて結果はどうなるか注目である。そのチーム構想に影響しそうなのがルーキーの北別府投手。一足先に一軍入りを果たした同期入団の小林投手を追い越し、今では先発ローテーションに食い込んでいる。

14回 1/3 イニングで被安打12、失点8と数字は今一つだが長身から投げ下ろす速球は威力充分で早くも " 外木場二世 " の評判しきり。カープでは3文字姓の投手は大成すると言われている。安仁屋、外木場しかり、かつて小さな大投手と言われた長谷川良平氏も3文字。首脳陣の期待も大きく既にアメリカの教育リーグに派遣されることが決まっている。「もっと場数を踏ませたいが30イニング以上投げると新人王の資格を失ってしまう。悩みどころだね」と古葉監督も苦悩している。


中日ドラゴンズ:ウワサはバットで吹っ飛ばせ
「トレードに出されようがもう何でもいいんだ。どうにでもなれだ」という井上選手は終盤戦の大詰めになって気持ちが吹っ切れたようだ。最近はひところのような切羽詰まった表情は見受けられない。気持ちがスッキリすると不思議なもので、あれほど迷いに迷って狂いっ放しだった打棒が生気を取り戻してきたのである。9月下旬の対巨人24回戦で久しぶりに試合を決める一発を放ったと思えば、続く対ヤクルト22回戦では9回表に勝ち越し3ランを安田投手から奪った。

走者を2人置いて代打に起用されボールカウントは0-3。「こんな場面なら絶対ストレートを投げてくる。少々ボール気味でも思いっきり振ってやろうと思った(井上)」打席でこれだけ余裕が出たのは久しぶりだった。井上の3ランで勝利した与那嶺監督は口では「よくやったょ」と褒めたが内心は複雑な思いだったに違いない。というのも今回のトレード話は与那嶺監督が主導していたものだったからだ。「井上は貴重な戦力だ。来シーズンは復調して活躍してくれる筈だ。トレードなんてとんでもない」と一部球団フロントはそれ見たことか、と言わんばかりに与那嶺監督を非難した。井上にとって価値ある一発だった。


阪神タイガース:暑く長~いロードは終わった
阪神にとって今年の夏はことのほか厳しかった。長期ロードに出た23日間の戦績は6勝10敗2分けでロード前は2ゲームだった首位巨人との差も6ゲームに広がり、終わってみれば文字通り死のロードだった。阪神ナインは24日、静岡から新幹線に乗り帰阪し久々に我が家へと戻った。「いろいろとアクシデントもあってキツかったですな今年のロードは。せめて5割で乗り切りたかったけど残念です。やっと甲子園に戻って腰を据えて戦えるので仕切り直しですわ」と吉田監督は前向きだ。

確かに今年のロード期間中はアクシデントが多かった。打線の中心であるラインバック選手が右手親指の故障で欠場し、もう一人の助っ人・ブリーデン選手は妻の父親が急死し帰国を余儀なくされた。2人が抜けた打線を補う救世主も現れず攻撃陣はガタガタに。ところが甲子園に戻った25日の広島戦は水を得た魚のように打ちまくったのだから、いかに厳しいロード生活だったかが分かる。前日に戻って来たブリーデンは「チームが大事な時に帰国して申し訳なかった。この借りは返す」と即スタメンに復帰しタイムリーヒット。ラインバックも代打で登場しタイムリーを放つなど巨人を猛追する為の役者は揃った。

ダメダメな打撃陣の中で孤軍奮闘したのが21歳の若武者・掛布選手だ。ロード期間中は64打数24安打・打率.375 と打ちまくった。ロード最終戦の対大洋20回戦ではチーム全得点を1人で叩き出した。前日に受けた死球も問題なしのまさに " 群鶏一鶴 " の大活躍だった。掛布は大洋戦前の札幌からの移動日に習志野市にある実家を訪ねた。掛布は両手いっぱいの北海道みやげの他にバットを持参した。実家の庭にある素振り場でスイングの練習をする為に。こうした努力が成長の支えとなっている。「他の連中は情けないが掛布はアッパレや。普段から野球に対する取り組む姿勢が違う」と山内コーチもベタ褒めだ。

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