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■紺野修司展 (2024年11月2~15日、深川)ー11月15日納内→深川→岩見沢(4)

2024年11月21日 06時48分00秒 | 展覧会の紹介-絵画、版画、イラスト
(承前)

 紺野修司さんは1933年(昭和8年)深川生まれ。
 高校在学中に道展に入選し、武蔵野美術学校(現武蔵野美大)で三雲祥之助、山口薫、森芳雄、麻生三郎の教えを受けます。また在学中に札幌・富貴堂書店で、同じ札幌西高の出身である笠井誠一、上野憲男と3人展を開いています。
 56年の卒業後、東映動画に入り『安寿と厨子王丸』や『西遊記』などの動画に携わります。61年には虫プロの創設に参画し、世界で初めてテレビで毎週放送されたアニメ『鉄腕アトム』の原画や動画を担当します。

 一方、武蔵野美術学校在学中の54年に自由美術展に初入選。その後は出品できない年もありましたが、62年に2点入選し会員となります。
 64年に主体美術協会(主体展)の創立に加わり、自由美術協会を退会します。翌65年には虫プロもやめ、3月から66年8月までパリを拠点に欧洲を回ったことが画家の転機となったようです。
 帰国後は日動画廊や名古屋画廊、日本橋三越、銀座和光ホールで自作を発表し、第一線の洋画家として活躍します。

 
 筆者が紺野修司と聞いてまず思い出すのは、この「遠くの風景」(1984)のような、室内と屋外の風景がつながって描かれている一連の作品です。

 外へ向かって空間がひらかれていることによる一種の開放感。
 そして、人間は描かれていないにもかかわらず、そこまで誰かがいたかのような親密さ。

 紺野作品から感じ取れるそのような感覚はおそらく、道具を配置して綿密につくられる構図や、薄塗りの絶妙な色調ももちろんですが、斜めにくりかえされる筆触(タッチ)によるものではないかと、筆者は思います。

 そのなんともいえない空気感を漂わせる画面を見つめていると、セザンヌのサンサシオンという語を想起するのです。
 
 
 右は「冬の日」(1985~86)。
 これも、室内と屋外の空間がむりなく接続されています。

 左は「森」。
 塗りのこしとタッチは水彩画のようでもあります。  
 
 
 右は「緑色の椅子」。

 ラウル・デュフィの画集が卓上に置かれています。
 フランスの画家デュフィ(1877~1953)といえばバイオリンの静物画が有名ですが、この会場にも「ヴァイオリンのある卓上」という作品がありました。

 左は「緑色のある室内」。


 紺野さんは1989年、札幌時計台ギャラリーで大規模な回顧展的な個展を開いています。
 また、道展では57年に知事賞を得て、58年に会友に推挙されています。ただ、その後に出品を再開したあとも、ずっと会友のままで、道展の皆さんには悪いのですが、「見る目ないなあ~」と正直なところ思っていました。
 紺野さんは2003年に全道展に出品し、いきなり新会員となりました。

 2013年に亡くなりました。

 他の出品作は次の通りです。

女(1962)
教会
音・声
器・絨毯
窓(1986)
白き喪の花(2006)
冬の日・1(1986)
夜月
休息
テーブルのある一隅
緑色のある室内・1
ヴァイオリンとケースのある静物(1983)

 いずれも、アートホール東洲館の所蔵品です。


2024年11月2日(土)~15日(金)午前10時~午後6時、月曜休み
アートホール東洲館(深川市1条9番 深川経済センター2階)

過去の関連記事へのリンク
第6回主体美術北海道グループ展(2006年、画像なし)


・JR深川駅からすぐ

・沿岸バス、空知中央バス「深川十字街」から約350メートル、徒歩5分

(この項続く) 


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