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■栗谷川健一展 北国の空と風・雪と緑 (2018年4月2日~5月31日、札幌)

2018年05月25日 10時54分01秒 | 展覧会の紹介-絵画、版画、イラスト
 栗谷川健一(1911~99)は函館生まれ、札幌を拠点に活躍したグラフィックデザイナー。
 札幌冬季オリンピックの招致ポスターや北海道旗など、北海道を代表するデザイナーとして知られています。いま、漠然と「北海道」ということばを耳にして私たちが思い浮かべるイメージのうちかなりの部分は、彼がポスターで広めた結果、広く人々に共有されるようになったものだといっても過言ではないでしょう。もちろん、彼だけの功績ではないのですが、たとえば
「神秘のマリモ」
「ムックリを奏でるピリカメノコ(アイヌ民族の娘)」
「青空、羊の群れ、ポプラ並木」
といった、「いかにも北海道」のイメージが広まったのは、栗谷川健一の仕事による部分が大きいと思います。

 2014年には道立近代美術館で彼の大規模な回顧展が開かれました。
 画家や彫刻家ではなく、デザイナーの個展が道立の美術館で開催されたのは、これが初めてでした。
 そのときは、展示物の大半をポスターが占めていたため、縦位置の平面ばかりが並ぶという珍しい会場風景になっていました。
 しかし、この展覧会の作品はほとんどが横位置! ポスターではなく、絵画が並んでいます。

 札幌の手稲連山と羊の群れを描いた「暮色明るく」、襟裳岬で草をはむ馬たちの「落日の岬」、網走の濤沸湖と原生花園をモチーフにした「水ぬるむ頃」、能取湖畔に色づくアッケシソウ(珊瑚草)が美しい「燃える秋の入江」…。
 ほかにも、道庁赤れんが、野付半島のトドワラ、小樽運河、洞爺湖、富良野地方のラベンダー畑、白樺林などがモティーフになっており、北海道観光のダイジェストとでもいうべき構成になっています。

 道外や海外からの観光客が多い、道内有数の歴史を誇るホテルのロビーにあるギャラリーには、うってつけの展覧会だといえそうです。



 ところで、少し違う話になります。

 グランビスタ・ギャラリーは今年から運営が変わりました。
 どうやら、この展覧会については、道内の美術館やギャラリーなどに案内状を配ったり、マスコミに情報を流したりするのをやめたようです。
 札幌グランドホテルの公式サイトでも、すこしわかりにくいところに情報が載っています。
 したがって、この展示について知らなかった人が多いのではないでしょうか。

 経費を節減する狙いや、道内・札幌の人がメインターゲットではないという事情があるのだろうとは推察できますが、全ギャラリーと関係者に案内をばらまけとまで言うつもりはないものの、もう少し情報発信に積極的になってくれてもいいのになあーと思いました。


2018年4月2日(月)~5月31日(木)午前11時~午後7時(最終日~午後5時)、会期中無休
グランビスタギャラリー サッポロ(札幌市中央区北1西4 札幌グランドホテル本館1階ロビー)




栗谷川健一展 北海道をデザインした男 (2014)


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