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山本正道「すずらんに寄せて」(恵庭駅東口)

2020年05月31日 10時01分04秒 | 街角と道端のアート
 昨年、恵庭の「ユカンボシ川河畔公園彫刻広場」に行ったときに、恵庭駅東口に彫刻があることに気づきました。

 同広場にも作品のある山本正道さんの少女像です。


 少女が両手にそっとスズランの花をつつみこむように持っている可憐な造形です。

 着衣で、輪郭どりもやわらかく、こんなに甘やかな薫りのする野外彫刻は、めずらしいと思います。

「人間が生きている感じが薄い」
と批評する人もあるいはいるかもしれませんが、だいたい街角には、人間の生きている感じをむんむんとまき散らしている彫刻のほうが圧倒的に多いです。
 なので、こういう、押しつけがましさのない、優しさが前面に出た作品を見ると、むしろ筆者はホッとします。
 存在感は、ちゃんとありますよ。

 像の右手に、2枚の説明板が立っています。
 彫刻を建てた意図を現代人にもわかりやすい文章で説明していることは、案外少ないです。今後、こうした例が増えていくことを望みます。

 左側の板には、彫刻家が寄せた短い文章が刻まれています。


  朝露に光るすずらんの小さな花束を捧げ、
 少女は路傍の石に腰を下ろし
 吹き抜けて行く風の音にじっと耳を澄ます。
  北国の高く澄み切った空の下に
 広がるすずらんの野、そして少女。
 私はこの自然と人との優しい共生の姿を
 彫刻に表してみた。

  
山本正道
     


 右側の説明板には、次のように記されています。


  恵庭駅東口黄金土地区画整理事業の完成にあたり

 平成七年、恵庭駅東口地区の生活環境整備と新市街地形成を目途に、地権者六一八名による組合が設立され事業に着手された。その規模は、恵庭駅自由通路を含め面積一二〇・七ha、計画戸数二、五〇〇戸、計画人口七、五〇〇人、事業費一一三億円におよび、期間十五年を要して完成した。
 ここに組合の事業完了と解散にともない、子供たちの健やかな成長と、温かくやすらぎのある街となることを願い、「すずらんに寄せて」の像を建立する。

 平成二十二年十月      
 恵庭市黄金土地区画整理組合 



 


 ちなみに、説明板と作品の位置関係はこんな感じ。



 裏手は病院になっています。

 駅舎と作品の位置関係は、つぎの画像でわかると思います。



 人通りがなくなるまで待ったので、だれもうつっていませんが、札幌への通勤通学客が多く乗降し、ふだんから閑散としているわけではないと思います。
 快速エアポートが停車するので、札幌からも行きやすいです。

 ただ、もともとの表玄関は、反対側の西口でしょう。
 ユカンボシ川河畔公園に行くにも、西口からの方が便利で近いです。

 恵庭市内にはほかにも多数の野外彫刻があるらしく、機会があれば再訪したいです。


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