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十和田市現代美術館(前半)

2010年02月15日 23時11分18秒 | 道外で見た展覧会
承前

 十和田市現代美術館は2008年のオープン時には、日本ではめずらしい、現代アートの常設展示をメーンに据えた公立の美術館として、新聞などにいろいろ取り上げられました。
 屋外の庭や壁、エントランスの床などに作品が展開されている作家と、ひとり一部屋が与えられている作家が、それぞれ10人ほど。基本はインスタレーションです。どの部屋も作品に見合った大きさになっています。
 インスタレーションが各室にひとつずつというのは、なんとも見やすいというか、ぜいたくな空間というか、北海道弁でいうところの「あずましさ」を感じます。

 壁は白く塗られていますが、いわゆるホワイトキューブと異なるのは、ほとんどの展示室に大きなガラス窓がしつらえられていること。
 陽光がさんさんと差し込みますが、考えてみれば、水彩画やデッサンを展示するわけではないので、太陽光にそれほど神経質になる必要はないのでしょう。
 むしろ、外の景色と、展示作品がうまく融合して、ふしぎな眺めを生み出しているといえそうです。
 設計は、いまや日本を代表する建築家の西沢立衛。
 建築の分野からも大きく注目されたのは、記憶に新しいところです。



 こういった美術館を発足させる際に難問となるのは、作家選定だろうと思います。

 集客のことを考えると、名の通ったアーティストの作品をコレクションすることが望ましいのでしょう。しかし、有名な人は値段が高い。
 現在活躍中の作家であれば、多額の費用をかけなくても、それなりの規模と点数をそろえることができるでしょう。
 知名度の不足は、作品そのものの質で補えばいいわけです。

 ただし、これは大きなリスクを伴います。いま展示している作家が30年後には、最初に入手した価格ではとうていコレクションできないような大家になっているかもしれないし、いつのまにかアートシーンから消え去り、誰も知らない人になっているかもしれない。「現代アートの収集の醍醐味だいごみ」といってしまえば簡単ですけど、公立美術館は税金を使って美術品を購入するのです。そこでそんなリスキーなことが許容されるのか。しかも、人口7万人程度の市です。
 筆者は、そういう美術館があってもいいと思いますが、反撥はんぱつする人がいても当然でしょう。

 結果として、大ベテランのオノ・ヨーコを別とすれば、1950-70年代生まれの作家が選ばれることになりました。
 日本、スペイン、アルゼンチン、オーストラリア、台湾、米国、英国、コスタリカなど、世界各国にまたがっています。


□十和田市現代美術館のサイト http://www.city.towada.lg.jp/artstowada/



この項続く


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