1日早くゴールデンウイーク入りした。
いきなり初日の早朝から大移動である。
4時半ごろ、目がさめた。
荷造りをして、前の晩に、5時半にあらかじめ予約をして、自宅まで来てもらったハイヤーに乗って、北見バスターミナルへ。
冒頭の画像は、朝5時50分、誰もいないターミナル待合室である。これは、めずらしいと思う。
どうしてこんなに早いかというと、北海道北見バスの陸別行き始発が朝5時57分発という、とんでもない早朝の便なのだ。
北海道内の主要11大都市、つまり、札幌、旭川、函館、釧路、帯広、苫小牧、小樽、北見、江別、室蘭、千歳のうち、2都市間の交通が最も不便なのが
「帯広―北見」
である。
ほかは、いずれも、JRで途中1度乗り換えるか、あるいは直通の都市間バスが走っている。
帯広と北見の間だけが、直通バスがない。
JRで行こうと思ったら、「1度乗り換え」であれば、札幌まで行くしかない(しかし、それはまともな手段とはいえではないだろう)。
第三セクター「ふるさと銀河線」廃止の後、北見から帯広へ公共交通手段を用いて行くには、陸別まで北海道北見バスの路線バスで行き、そこで十勝バスの路線バスに乗り換える以外にないのだ。
問題は、北見―訓子府―置戸―陸別は2時間半程度なのに、陸別―足寄―本別―池田―幕別―帯広は3時間近くかかることだ。
とくに、池田―帯広間は、並走するJRの特急列車に乗ると17分なのに、バスで55分もかかるというのは解せない。
時間が有り余っているときならともかく、きょうは池田からはJR普通列車を利用して、時間を20分ほど節約することにした。
これほど早い時間設定をしているのだから、予想もつかない利用者がいるのかもしれない。
そう思ってバスに乗り込んだ。
しかし、結局、始発から終点まで、乗客は筆者ただ一人であった。
ということは、通常は、誰も乗っていないということではないか。
ううむ。
置戸で、高校生が4人ほど待っていたので、これで車内の空気が変わるかも、と思ったのだが、彼らはみな、ほぼ同時刻にやってきた北見行きに乗った。
そりゃそうだ。オホーツクの高校生がわざわざ十勝の高校に通う理由はない。
ただ、陸別は、帯広より北見のほうがすこし近いので、急病人は北見に搬送することが多いらしいし、買い物も北見の大型店に来るそう。
筆者は、早朝の便はムダだから廃止してしまえ、と主張しているのではない。
現にこうして利用しているわけだし。
ただ、陸別での接続がこの便に限っては悪く、55分間も待ち時間があることを思えば、なんだかなあと思う。
こうやって考えていくと、やはり「ふるさと銀河線」の廃止は、鉄道ファンでなくても、残念であった。
いまや、線路の跡は、かなりの部分が耕地の下に埋もれつつある。
もっとも、置戸町市街地など、当時のまま残っているところも少なくない。バスの車窓から鉄橋が確認できる場合もある。
この上の画像は、置戸町境野附近の、車窓からの風景。橋脚が残っているのがわかる。
さて、筆者は、置戸までは何度かバスを利用したことがあるが、置戸―陸別間は初めてである。
この区間は、オホーツク地方と十勝地方の境界の峠道ということもあり、人家はごく少ない。以前鉄道が走っていたことが信じられないほどだ。
交通量も、置戸―小利別間はほとんどない。小利別からは訓子府に抜ける道があるため、北見・網走方面に用のある車は、この国道を通ると遠回りになってしまうためだ。
そもそも、置戸中学校などに近い「公進橋」を過ぎると市街地が終わり、のこる停留所は
実習橋
小利別
川上
分線
栄町
陸別
しかないのだ!
路線バスで、約30キロの間に、バス停が六つしかないのは、すごいと思う。
実習橋―小利別は約16キロ。路線バスでとなりの停留所まで16キロ…。
(この段落は4月27日に一部加筆しました)
筆者は、昔から地図で、整備されていない川がうねうね曲がっていたり、湿原の記号がついていたりするのを見るのが好きで、実際もそういう地形を目撃すると、わくわくしてしまう。
春先は下草や笹がほとんど茂っていないので、原始のままに蛇行したり、たまったりする雪解け水の流れを、思う存分車窓から見ることができ、実にたのしかった。
おそらく小利別の旧駅舎。
かつて、道内屈指の寒い地区として知られた。おそらく国鉄廃止後は、寒暖計を計測する人がいなくなったのだろうと思われる。
駅舎はかわいらしいが、周辺は廃屋が並び、胸が痛む。
十勝の最奥部で営農を続けていくのは、相当な困難が伴うのだろう。
銀河線廃止に、沿線7自治体で最後まで反対したのが陸別町であった。
町内にはまだかなりのレールが残り、トロッコ列車を運行するほか、研修を受ければ実際に短い区間ではあるが、ディーゼルカーを運転体験できるという。
この百恋駅も、銀河線にはなかった駅で、おそらく運転体験用に新たに作ったのだろう。
というわけで、なかなか先に進まないが、筆者ひとりを乗せたバスは、朝7:25、陸別駅に到着した。
(この項続く)