毎年1月に時計台ギャラリーの2階全室を借り切り、春の本展に向けた展覧会をひらいている道内の春陽会ですが、ことしは会員5人の作品がそろっている半面、会友の欠席がいつになくめだちます。筆者が気づいただけでも、漁船の巻き胴を描く飯田辰夫さん、サケの西田四郎さん、焼却炉や鉄くずの大塚富雄さん、白っぽい町の白井孝光さん、横浜美術館の内部を描く石畑靖司さん、川辺などの風景の友井勝章さんと、男性会友がだれも出品していません。女性の会友も、楽器の高野弘子さんが不出品のようです。
正直なところ、ちょっとさびしい気がします。
会友では新出リエ子さん(札幌)がF130号の「開」「護」をそろえ、がんばっています。これまでどおり種を弾き飛ばすヒマワリが題材ですが、背景を黒くしたぶん、引き締まって見えます。
豊嶋章子さん(同)「遠くに…」(会場で配布していた紙には「遠くへ・・・」となっていました)「窓から」。右には、窓の前に置いたびんなどの静物を配し、左半分は空いた空間です。この空間を、絵の具のぼかしなどによって埋めており、効果的になっていると思います。
崎山かづ子さん(同)は「輝(1)」「輝(2)」の2点ありましたが、筆者は(2)のほうが好きです。黒と朱に色をしぼり、その結果、黒い線が生きているように感じます。
一般では奥山哲三さん(同)「宙の行方」「冬日」が、明快で、こなれています。前者は、デフォルメされた雪だるまのような人物が、腹の上に小さな町を載せているというもので、メルヘンの要素もあります。
芳賀雪子さん(伊達)「縄文の丘・冬」は、壊れた巨大な土器が雪の上に横たわり、周囲でカラスが遊んでいるという夢幻的な光景を描いています。遠景には竪穴式住居も数軒見えます。透視図法にやや狂いが見られ、カラスの描写もけっしてリアルではないのですが、それがかえって絵に底知れぬ不思議さをあたえているようです。
会員では、安田完さん(網走管内美幌町)「復活について(2)」が気になります。
画面の下方にうずくまったり横たわったりしている黒ズボンの男が4人(うち1人は足だけ)いるので、そこはゲッセマネの場面だと思われるのですが、イエスは画面の最上方に、磔刑の後の格好で横たわっています。中央部分は、灰色に平滑に塗られており、思い切った構図といえます。
いわば、ふたつの場面を描いており、しかもどちらも「復活」の画像とはいえません。安田さんの言いたいところはどこにあるのか。つい考えてしまいます。
宮西詔路さん(函館)「馬」は、正面をむいた馬6頭を点描で表現。八木伸子さん(札幌)「行く雁」は、雪原の上を行く渡り鳥。谷口一芳さん(同)「道標」はフクロウ2羽を組み合わせた構図。
折登朱実さん(同)「醸造所」は、灰色の地に茶色の矩形が描かれています。右側の水色と緑の色斑が、効果的です。
他の出品者はつぎのとおり。
▽会友
安達ヒサ(旭川)「風のまゝに」
荒川敬子(札幌)「13月の風」「13月の風」
居島恵美子(苫小牧)「遠い音」
小黒雅子(函館)「景」
片野美佐子(函館)「街カト」
川真田美智子(稚内)「uramado」
佐藤愛子(函館)「犬と女と男と(1)」「犬と女と男と(2)」
佐藤かずえ(札幌)「公園へ」「魚たちと」
山形和子(函館)「市の女」
山本周子(札幌)「春の音」
▽一般
奥田順子(渡島管内上磯町)「工場」
落合輝美(札幌)「大地の樹I」「大地の樹II」
小原敦美(渡島管内森町)「冬林I」「冬林II」
加藤卓司(函館)「森のカーニバルA」「森のカーニバルB」
川股正子(函館)「鳥来る日I」「鳥来る日II」
斉藤啓子(十勝管内新得町)「風の音」
佐藤史奈(札幌)「白い海」「白が奏でる」
柴田郁子(根室)「2つの刻I」「2つの刻II」
平間文子(旭川)「風にのる花(アマリリス)」
和嶋和子(函館)「花I」「花II」
1月23日(月)-28日(土)10:00-18:00(最終日 -17:00 ">地図A)。04年の展覧会。
正直なところ、ちょっとさびしい気がします。
会友では新出リエ子さん(札幌)がF130号の「開」「護」をそろえ、がんばっています。これまでどおり種を弾き飛ばすヒマワリが題材ですが、背景を黒くしたぶん、引き締まって見えます。
豊嶋章子さん(同)「遠くに…」(会場で配布していた紙には「遠くへ・・・」となっていました)「窓から」。右には、窓の前に置いたびんなどの静物を配し、左半分は空いた空間です。この空間を、絵の具のぼかしなどによって埋めており、効果的になっていると思います。
崎山かづ子さん(同)は「輝(1)」「輝(2)」の2点ありましたが、筆者は(2)のほうが好きです。黒と朱に色をしぼり、その結果、黒い線が生きているように感じます。
一般では奥山哲三さん(同)「宙の行方」「冬日」が、明快で、こなれています。前者は、デフォルメされた雪だるまのような人物が、腹の上に小さな町を載せているというもので、メルヘンの要素もあります。
芳賀雪子さん(伊達)「縄文の丘・冬」は、壊れた巨大な土器が雪の上に横たわり、周囲でカラスが遊んでいるという夢幻的な光景を描いています。遠景には竪穴式住居も数軒見えます。透視図法にやや狂いが見られ、カラスの描写もけっしてリアルではないのですが、それがかえって絵に底知れぬ不思議さをあたえているようです。
会員では、安田完さん(網走管内美幌町)「復活について(2)」が気になります。
画面の下方にうずくまったり横たわったりしている黒ズボンの男が4人(うち1人は足だけ)いるので、そこはゲッセマネの場面だと思われるのですが、イエスは画面の最上方に、磔刑の後の格好で横たわっています。中央部分は、灰色に平滑に塗られており、思い切った構図といえます。
いわば、ふたつの場面を描いており、しかもどちらも「復活」の画像とはいえません。安田さんの言いたいところはどこにあるのか。つい考えてしまいます。
宮西詔路さん(函館)「馬」は、正面をむいた馬6頭を点描で表現。八木伸子さん(札幌)「行く雁」は、雪原の上を行く渡り鳥。谷口一芳さん(同)「道標」はフクロウ2羽を組み合わせた構図。
折登朱実さん(同)「醸造所」は、灰色の地に茶色の矩形が描かれています。右側の水色と緑の色斑が、効果的です。
他の出品者はつぎのとおり。
▽会友
安達ヒサ(旭川)「風のまゝに」
荒川敬子(札幌)「13月の風」「13月の風」
居島恵美子(苫小牧)「遠い音」
小黒雅子(函館)「景」
片野美佐子(函館)「街カト」
川真田美智子(稚内)「uramado」
佐藤愛子(函館)「犬と女と男と(1)」「犬と女と男と(2)」
佐藤かずえ(札幌)「公園へ」「魚たちと」
山形和子(函館)「市の女」
山本周子(札幌)「春の音」
▽一般
奥田順子(渡島管内上磯町)「工場」
落合輝美(札幌)「大地の樹I」「大地の樹II」
小原敦美(渡島管内森町)「冬林I」「冬林II」
加藤卓司(函館)「森のカーニバルA」「森のカーニバルB」
川股正子(函館)「鳥来る日I」「鳥来る日II」
斉藤啓子(十勝管内新得町)「風の音」
佐藤史奈(札幌)「白い海」「白が奏でる」
柴田郁子(根室)「2つの刻I」「2つの刻II」
平間文子(旭川)「風にのる花(アマリリス)」
和嶋和子(函館)「花I」「花II」
1月23日(月)-28日(土)10:00-18:00(最終日 -17:00 ">地図A)。04年の展覧会。
中井孝光さん、友井勝章さんは、昨年一昨年共に他界されたとのこと。
私、飯田は2003年の出品を最後に、健康上の都合で退会いたしました。これまでお世話になり有難うございました。
また函館の、大塚富雄、高野弘子も今回出品せず、退会を考えているのでしょうか。また石畑靖は、仕事があって制作が遅れた模様です。
札幌の西田四郎さんも体調がすぐれない様子ときいてますが?いずれにしても寂しいことです。
今後ともご指導の程よろしくお願いいたします。
中井さん、友井さんのことはまったく存じませんでした。びっくりしています。失礼なことを書いてしまい、申し訳ありません。
西田さんは先日の「三角帽子展」には鮭の絵を出品されていました。
飯田さんの退会も初めて知りました。また見る機会がありましたら、よろしくお願いいたします。
専門家にも素人にも愛される画風で注目です。
居島さんは意欲的だと思います。
最近、春陽会展を見る機会が札幌でもなくて、残念なんですが。。。
ススキノの東宝公楽も閉館してしまいました。時代は変わっていきますね。