後志管内余市町在住で、北海道を代表する墨象作家のひとり馬場怜さん(1925年生まれ)が、札幌で個展をひらいています。
この個展に関しては、9月7日の毎日新聞北海道版に詳細な記事が出ており、筆者ごときがくだくだしく解説を加えるよりも的確な紹介がされていますので、長くなりますが、大半を引用させていただきます。
2003年 「咆」(140×240センチ)「淵」(同)「信」(180×120センチ)
04年 「生」(112×140センチ)「忘」(140×120センチ)
05年 「串(つらぬく)」(140×72センチ)「無」(69×45センチ)
06年 「死」(180×280センチ)「無」(145×120センチ)「奔」(135×69センチ)「無」(90×70センチ)「愛」(90×60センチ)「夢・佛・泉・鬼」(27×23センチ)
やはり「死」の迫力はすごいです。
作者が、従容として晩年を迎えているのか、それとも、死と格闘しあくまで生の側にあらんとしているのか、そのどちらともとれる深みをたたえているようです。
また、馬場さんが書く「無」は、「了」のようなかたちに見えます。仏教的な世界観を宿した精神性が感じられるようです。
「奔」は、その文字らしくスピード感にあふれ、「淵」は余白の取り方に森厳としたたたずまいを感じました。
スカイホール(中央区南1西3、大丸藤井セントラル7階 地図B)
火曜から日曜 原則10:00-19:00(最終日-18:00)
スカイホールでは、読売書法展理事の戸澤秋亭さんによる「書と俳句展」もひらかれていました。
毎月4点、計48点の掛け軸に自詠の句を書き、季節感を表現しています。
特徴的なのは、墨色が色とりどりなこと。緑や青など、さまざまです。
ただ、俳句というより、川柳っぽい作品が目立ちました。
ギャラリー大通美術館(中央区大通西5、大五ビル 地図A)では、「第3回 羊城会道展会友有志展」が10日までひらかれています。
羊城会のメンバーのうち、北海道書道展の会友を対象とした会で、23人が出品しています(毎日新聞によると、このほかに会員が11人もいるそうです)。
漢字が多いですが、かなや近代詩文もあります。
今回の出品者で、逆三角形の安定した書体が目を引いた「馨」を書いた樋田香雪さん(札幌)は、毎日展では会員だそうです。ううむ。美術の道展や全道展も、中央の公募展で会員になった人がなかなか会員になれない、ある意味恐ろしい団体ですけど、北海道書道展もすごいですね。
筆者はこのほか、兵藤洋子さん(同)の近代詩文「秋空に三線の音響きけり友等と遊ぶ美瑛の空に」、小坂梨華さん(北見)「懺」が気に入りました。
この個展に関しては、9月7日の毎日新聞北海道版に詳細な記事が出ており、筆者ごときがくだくだしく解説を加えるよりも的確な紹介がされていますので、長くなりますが、大半を引用させていただきます。
怜さんは岩内町生まれ。軍隊生活を経て教職に復帰。42歳で小学校長になり、5校の校長を勤めた。戦後間もなく始めた書は宮城野書人会の加藤翠柳(すいりゅう)(仙台市)師を経て大沢雅休(がきゅう)に師事。5年後(28歳)に書道芸術院展最高賞を受賞して中央書壇にデビュー。翌年には審査員推挙賞を獲得して理事審査員に昇格している。出品作は次のとおりです。
しかし、雅休の死(53年)や抽象画の影響を受けて文字から離れていく(非文字の墨象)同院の流れに疑問を持ち退会。「文字を書く」にこだわる墨人会に活動の場を求め、「墨人賞」を2年連続獲得して会員に昇格している。
一方、東京や札幌で個展を次々と開催、書に対する姿勢を世間に問うとともに塩田慥洲(ぞうしゅう)、佐藤大朴(たいぼく)と「北海道墨象会」を立ち上げ、本格的に研究活動を開始。墨象の普及に努めてきた。
作品は最近4年間の作品。会場を圧倒する「死」(180×280センチ)を中央に据え、周りに大小の作品を配置している。「生」(112×140センチ)はニカワを強めに配合した青墨作品。鮮明な筆跡が躍動感を表出、生きることの喜びを伝えている。「愛」(90×60センチ)は伸びやかでゆったりとした書。眺めるほどに慈しみがわいてくる。
比較的少ない展示作品を補って余りあるのが書家・怜の60年の軌跡を一冊にまとめた作品集(1万円)。デビュー作で雅休に「書家としては不可欠なスケールの大きさを持っている」と言わしめた「書道芸術院賞」受賞作「造像臨」「諸行無常」に始まり、毎日前衛書展出品作で煉墨をキャンバス全体に厚く塗り込み、生渇きのうちに引っかいた非文字の墨象「作品NO5」。墨人展初出品で墨人賞を獲得した「命」は「やせても枯れても元書道芸術院審査員。同院の名を汚したくないと自分そのものをたたきつけた」と話す出世作。「〓(つち)」は退職後7年目の作で、「年齢を重ねて物事が分かってきた中で自分の思いを素直に表現した。森田子龍(しりゅう)に激賞されてうれしかった」という代表作だ。
他にも、今展に向けて作成した「無」など80点を収めており、「これを機に何事にも制約されることなく自分の好きな作品を書いていきたい」と穏やかに語る。
2003年 「咆」(140×240センチ)「淵」(同)「信」(180×120センチ)
04年 「生」(112×140センチ)「忘」(140×120センチ)
05年 「串(つらぬく)」(140×72センチ)「無」(69×45センチ)
06年 「死」(180×280センチ)「無」(145×120センチ)「奔」(135×69センチ)「無」(90×70センチ)「愛」(90×60センチ)「夢・佛・泉・鬼」(27×23センチ)
やはり「死」の迫力はすごいです。
作者が、従容として晩年を迎えているのか、それとも、死と格闘しあくまで生の側にあらんとしているのか、そのどちらともとれる深みをたたえているようです。
また、馬場さんが書く「無」は、「了」のようなかたちに見えます。仏教的な世界観を宿した精神性が感じられるようです。
「奔」は、その文字らしくスピード感にあふれ、「淵」は余白の取り方に森厳としたたたずまいを感じました。
スカイホール(中央区南1西3、大丸藤井セントラル7階 地図B)
火曜から日曜 原則10:00-19:00(最終日-18:00)
スカイホールでは、読売書法展理事の戸澤秋亭さんによる「書と俳句展」もひらかれていました。
毎月4点、計48点の掛け軸に自詠の句を書き、季節感を表現しています。
特徴的なのは、墨色が色とりどりなこと。緑や青など、さまざまです。
ただ、俳句というより、川柳っぽい作品が目立ちました。
ギャラリー大通美術館(中央区大通西5、大五ビル 地図A)では、「第3回 羊城会道展会友有志展」が10日までひらかれています。
羊城会のメンバーのうち、北海道書道展の会友を対象とした会で、23人が出品しています(毎日新聞によると、このほかに会員が11人もいるそうです)。
漢字が多いですが、かなや近代詩文もあります。
今回の出品者で、逆三角形の安定した書体が目を引いた「馨」を書いた樋田香雪さん(札幌)は、毎日展では会員だそうです。ううむ。美術の道展や全道展も、中央の公募展で会員になった人がなかなか会員になれない、ある意味恐ろしい団体ですけど、北海道書道展もすごいですね。
筆者はこのほか、兵藤洋子さん(同)の近代詩文「秋空に三線の音響きけり友等と遊ぶ美瑛の空に」、小坂梨華さん(北見)「懺」が気に入りました。
cocovinus@msn.com
馬場さんはまだまだお元気です。