昔は夏になると、大きなやかんにいっぱい麦茶を煮出して、それをそのまんま食卓の上にどんと置かれていた。
そしてそこから各自コップに注いで飲んでいた。
ちゃんと粒の麦茶、正統派の麦茶であった。
いま正統派の麦茶の匂いを嗅いで若者は、「変な匂い」という。
やかんの麦茶ではなくペットボトルの麦茶を買って飲んでいる。
ペットボトルの麦茶は臭くないから、そっちのほうがいいという。
ご飯が炊ける匂いが大嫌いとか、青畳の匂いを嗅ぐと気持ちが悪くなるので和室に入らない人もいるという。
ペットボトル飲料は手軽だし、出先で購入するにはとても便利だが、麦茶みたいに家で手軽に作れるものも、家庭で作られなくなってしまったらしい。
これって怒るわけではないが、何かが間違っていると思うジジなのであった。