10年前の東日本大震災の余震と思われる地震がまた福島で起きた。
10年前の地震の翌日、東京都内のスーパーは驚くべき光景が広がっていた。
店内の棚という棚、見渡す限りの棚に商品がない。
あれほど溢れるように、折り重なるように並んでいた食べ物の山々が、すべて姿を消して影も形もない。
満々と水を湛えていた湖から、あっという間に水が引いて、干からびた湖底が姿を見せている。
店内は照明を落とし薄暗く、そのことがいっそう暗鬱なものにしている。
薄暗いということが、人の心を暗くみじめにする。
あんなにも光り輝いていたコンビニさえ暗い。
地震の報道のあと、スーパーに駆け込んだ人たちは、小走りに走りながら周りを見渡しては咄嗟の判断で、これは必要、これは要らないとカゴに放り込んでいった。
だが瓶詰のイカの塩辛、福神漬け、なめ茸、ザーサイ、葉ワサビ、にんにく味噌、カニ味噌、食べるラー油たちは、その咄嗟の判断で見限られた。
イカの塩辛もザーサイも葉ワサビも、ゴハンあってのものでゴハンがなければ無力である。
腹の足しにならないばかりか、どれもこれも塩っぱいばかりでノドが渇き、災害時の貴重品であるミネラルウォーターをどんどん消費してしまう、迷惑品ということになる。
災害時にスーパーに駆け込む人の頭の中にまずあるのはコメである。
コメ、水、パン、麺と続いて、野菜、肉、卵、冷凍食品と棚からなくなっていき、一番最後に残るのが瓶詰たちである。
命に関わるような地震は、その当事者でないと分からない。
まだそこまでの経験はないのだが、いつどのようなことがあってもいいように準備しなければ…
と改めて思うのであった。