「あついもの」と「冷たいもの」の好みは人によって様々だ。
そのへんうまく人心をとらえているのが「さぬきうどん」だ。
少し前までは四国の香川、とくに丸亀あたりに行かないと、あのスピーディーで美味しいトッピングを主役にしたようなうどんは食えなかった。
今では内地のいたるところにあれが進出してきた。
「ひやあつ」とか「あつひや」とか「かまたまやま」(釜揚げうどんに生卵、トロロかけ)なんていう、ある種「専門用語」が飛び交うようになっている。
熱いもの冷たいものなど、人間の好みが優先する。
だから真冬の木枯らし吹く寒い夜でも、こたつにあたってアイスクリームを食べることも許されるようになってしまった。
真冬の冷やし中華、なんてのも許されるだろうが、そんな時季に冷やし中華を提供する店はどこにもない。
推測するに、ただ世間が何となく冷やし中華の季節は夏限定と決めつけている。
これを覆すラーメン屋はないのか
普通のラーメンのチャーシュー、メンマは強力な家臣である。
だが冷やし中華のためには死も惜しまぬ、という奴は一人もいない。
ここんところが、冷やし中華の哀れなところだ。
雪の降る日は冷やし中華がしみじみ旨い
と力強く宣言してみたいのですが。
誰も賛同してくれそうもないので、やっぱりやめとこ。