「冬来たりなば春遠からじ」と言われるが、このところの天気と、耳を塞ぎたくなるような事件、感染者数記録を更新するコロナなど、どうも今年は春の気配がどこにも感じられない。月が替わったので、少しは気分が変わると期待したいが・・・
以前シンガポールに出張した時、彼の地は一年中30℃前後であまり季節感がなく、日本のように四季がはっきりしているのが羨ましい、と現地の人に言われたことがあった。四季があるのはいいとは思うが今のような時期にはあの暖かなシンガポールが懐かしく感じる。シンガポールは1819年、イギリスの植民地行政官トーマス・ラッフルズが港を開き、以後イギリスのアジアの拠点となったところだ。
イギリスのような寒冷なところからシンガポールに来たイギリス人はこの気候にずいぶん戸惑ったのだろうなと思う。しかし、そこは七つの海を支配した彼らのこと、何とか快適に暮らせるように知恵を絞ったに違いない。彼の名前を冠したラッフルズホテルにもいろいろと暑さしのぎの工夫がなされていたのがわかった。高級ホテルにもかかわらず天井にシーリングファン(プロペラのような換気扇)が回っていたところがあったのは、南国の雰囲気を出すためだろうか。
「冬来たりなば春遠からじ」は、イギリスの詩人パーシー・ビッシュ・シェリーの「西風に寄せる歌 Ode to the West Wind」の最後の一節「If winter comes, can spring be far behind?」から来ている。この詩がフィレンツェ近郊で書かれたのは、たまたまラッフルズがシンガポールを開港したのと同じ1819年だ。
レーモン・ルフェーブルが演奏したポップス調の四季のジャケット