風は強いものの春の日差しが暖かかった一昨日、かつての同僚二人と丸の内の三菱ビルにあるガストロパブ・クーパーズへ。薄暗い店内にはイギリスの国旗が掲げられていて本場とは少し違ってはいるもののたしかにパブの雰囲気がある。イギリスのパブではまだ見かけなかった、最近のレストランではすっかりおなじみとなったタッチパネルでの注文。フィッシュアンドチップスと、アンガスビーフのステーキと、やはりここでは本家の例に倣ってぬるめのギネスを飲んでみた。
丸の内で働いていたのは15年ほど前になる。あの頃は時間に追いまくられて全く余裕がなかった。古びた中央郵便局のビルや、復元途上だった東京駅の、いつもどこかで工事が行われていた落ち着きのなさは今では想像もできない。
かつては丸ビルの隣でそれなりに存在感のあった、三菱グループの総本山ともいえる三菱ビルは新しく建てられた高層ビル群にかこまれてなんだか背が縮まってしまったようにみえる。そして、肩で風を切るようにさっそうと歩く丸の内のOL(古い表現だ!)たちを見ていると時代の変遷を目の当たりにしたように感じる。ふと、あと30年も経ったらこのビル群も色あせて(今歩いている彼女たちが年を重ねていくのと同じように)しまうのだろうか、とも。
気ぜわしく歩いていた自分を、過ぎた時代を感傷的な目で眺めていただろう誰かがきっといたに違いない、と思うと一寸幻想的。
家の植込みに咲いている甘い、というよりは今はまださっぱりした香りのする沈丁花と、真っ白なこぶし。