2008年の世界金融危機の契機となった米国での抵当証券販売方法に関して、JP Morgan Chaseと米司法省の間で、130億ドルの和解金支払い(90億ドルは罰金、40億ドルは被害をうけた住宅保有者救済のため)で合意が成立する模様。ウオール街での金融不祥事に対し、かねてより米国当局の微温的な方針が指摘されてきたが、米司法省としては今回JP Morgan Chaseの半年分以上の収益に当たる額の巨額罰金を科することにより、そのような社会からの非難をかわそうとしている。しかし、一部国内世論にある、経営者個人に対する刑事責任の追及にまでは至っていない。
JP Morgan Chaseはこのところ「ロンドンの鯨」事案をはじめ米国内、海外で相次いで司法当局の取り調べを受けており、今回の巨額和解金についても反論する余裕がないかのようだ。また、今回の和解によっても、他の損害賠償訴訟は免責となるが。カリフォルニア州検察当局による刑事裁判手続きからは解放されない。
このように米国最大の銀行が今、最大の試練に立たされている。ダイモンCEOはこれまでいくつかの危機を乗り切ってきたが、今回は逃げ切れるかどうか。いずれダイモンCEOの引責辞任も視野に入れて置かねばならないだろう。日本ではみずほ銀行の暴力団に対する融資における社内ガバナンスの欠如が指弾されているが、海の向こうのJP Morgan Chaseもそれを嗤ってはいられない。
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