東久留米市では、コミュニケーション支援事業は手話通訳事業しか検討していないことがわかった。
東京都中途失聴・難聴者協会では市長に要望書を出した。
同協会は、23区27市のほとんどの障害福祉課を回って、障害福祉計画に中途失聴・難聴者当事者の参画、要約筆記事業の実施、コミュニケーション方法学習支援事業の実施などを要望してきたが、唯一東久留米市だけが面会できないでいる。
ラビット 記
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都中難発06-0081
2006年7月21日
東久留米市
市長 野崎 重弥殿
特定非営利活動法人
東京都中途失聴・難聴者協会
理事長 高岡 正
東久留米市における要約筆記者派遣事業実施について(要望)
謹啓
盛夏の候、ますます御健勝のこととお慶び申し上げます。日頃は大変お世話になっております。
さて、本年10月より開始の地域生活支援事業(必須事業)に関して、私ども中途失聴・難聴者のコミュニケーション支援のために、東久留米市における
要約筆記者派遣事業の実施を要望いたします。
ご存知のように、私どもは人生の途中で聴力を失ったり、高齢で聞えにくい、聞えなくなった中途障害者です。聴覚障害者のコミュニケーションというと「手話」というイメージが一般的ですが、手帳所持者のなかでも、手話だけでコミュニケーションができるという者は15%ほどです。(平成13年度厚生労働省身体障害児・者実態調査)ほとんどの聴覚障害者は、補聴器、筆談、読話、要約筆記利用といった方法で社会生活を送っております。
要約筆記は、文字による同時通訳であり、あらゆる場で必要とされております。東京都が聴覚障害者自立支援センターに委託して行なっている派遣事業の派遣先を見ますと、企業・行政の研修、会議、保護者会、司法の場、相談、病院等、市民生活におけるあらゆる場面に派遣されていることがわかります。
聞えない、聞えにくいために社会参加が進まなかった聴覚障害者も、近年では、要約筆記をはじめとするさまざまなコミュニケーション支援を受けて一般企業、行政、社会で活躍できるようになってきました。まだまだ十分とは言えませんが、必要なコミュニケーション支援がなされれば、社会で活動することができるようになってきたのです。特に文字による支援は、中途失聴者、難聴者にとっては生活に欠かせないものです。
10月施行の自立支援法地域生活支援事業では、手話通訳者だけでなく要約筆記者派遣事業も区市町村の事業として位置づけられております。このことはたいへんに喜ばしいことと、私どもは受け止めており、区市で要約筆記者派遣事業が確実に実施されることを願っております。なお実施にあたり、派遣の対象は東久留米市民であれば、派遣の形態にはこだわらない事業実施と、現在、東京都の派遣事業を担っています東京聴覚障害者自立支援センターと契約をする方法を要望いたします。
できましたら事業実施について東久留米市のお考えをお聞かせいただけますと幸いです。
謹白
*参考資料として、昨年11月末に送付させていただきました「要約筆記者派遣事業運営要綱案」と、「東京方式による要約筆記派遣事業の構築」を同封させていただきます。