難聴者の生活

難聴者の日々の生活から、人工内耳など難聴者のコミュニケーション、聴覚障害者の制度改革について語る。

闘う戦略を考える難聴者

2010年05月16日 14時48分46秒 | PHSから
今日の会社の全社員研修は、ワイヤレス送信機のマイクを発表用のマイクに付けてもらい、受信機に電話録音用のピックアップコイルをつないで人工内耳に張り付けた。

会場の反響音が入ると響いて聞き取れない。人工内耳の感度と受信機のボリウムを調整した。人工内耳はADROのまま。
ワイヤレスなしとありとでは全然違うがそれでも漢字の熟語が聞き取れない。先週なのか研修なのか・・・・

グループ討議の際にはマイクを発言者の前に置いてもらう。自分でマイクの位置をあっちこっちと動かしていたら何員かが動かしてくれるようになった。
全部は無理ですが半分以下です。懇親会はものすごい騒音なので相手にマイクを突きつけて聞いた。

難聴者は、耳が遠くなるが難聴者にはなれない。自分からどのように聞こえを確保するか、キーマンは誰か、どう理解してもらうか、今どうしても不可欠かなどを戦略的に考えられる難聴者にならなくてはならない。

これは一人暮らしの高齢者も企業に勤める難聴者も戦略とレベルが違うだけで同じだ。

社長もあと1ヶ月で退任だけれどすぐに聞こえに困ると思う。いまでも首を傾けて聞いているから。


ラビット 記

会社の研修に要約筆記はいらない!?

2010年05月16日 09時04分42秒 | 権利
今日は介護実習は休みだが代わりに勤務先の年一回の全社員研修がある。

全社員研修というとホールみたいなところで話すので拡声した声がワーンと割れて補聴器では全く聞き取れないことが多い。
昨年は要約筆記を2日間派遣してもらったので社長の話も分かり、グループ別討論も参加できた。

今年の研修にも要約筆記を頼んでも良いか管理課に聞いたら、管理課ではなく上司から時間も短いし一番前に陣取れば大丈夫とか連絡があった。
コストダウンのためと言って真っ先に要約筆記の派遣をカットしたので、大丈夫かどうかは関係なく派遣費用がかかることを避けたいのが本音だろう。

いま10日間の実習で仕事に負担をかけている手前強行に出にくい。

実習中もいろいろな反論が頭の中に渦巻いていた。
大体聞こえるかどうかは本人しか分からない。幾度となく難聴の聞こえ方を説明したが理解できていない。
名ばかり管理職のために残業手当が10年以上もカットされていることに引き替えれば些少な金額だとか、遠隔地から参加する人の交通費一人分だとか、昼の懇親会の食事は不要だから派遣してくれと言おうと考えたり、障害者の権利条約を引き合いにコンプライアンス室に苦情を申し立てようと考えたりした。

2年前の研修は現地の聴覚障害者情報提供施設の見積もりを取ったり、3年前の外部研修も上部組織のコンプライアンス部にまで言って闘った。

研修で疲れ果てていて戦闘モードになり切れず、あと4日間の研修とその後の休暇の取得にも影響があると面倒なことになる。

結局、上司のメールには返事していないまま、要約筆記はなしで研修に臨む。
ワイヤレスマイクの装着を求めたりして出来るだけのことをして結果を元に会社に「苦情」を言うことにした。

ことほど左様に、難聴社員の権利は相当の覚悟が必要だ。権利はきちんと法律に書かれ、雇用者も被雇用者も理解していないと守られない。
いや今でも残業手当を故意に支払わない企業やいきなり解雇することすら巷にはあふれているので、闘うための組織が必要だ。労働者の場合、それは労働組合だ。

駅で同僚にあったがそんな苦労を感じることはない。不合理さにどうにも抑えきれない感情をもちつつ責任のない同僚にぎこちない挨拶しか出来なかった。


ラビット 記